<線路配置の詳細>
今回は線路の配置プランの説明をさせていただきます。線路配置の詳細を下に示します。使用線路はMärklin Kトラックで、1350㎜X300㎜の9㎜のシナ合板で作成したベース板上に直接取り付けてあります。使用した線路は以下のものです。
2272/2273は長さ225㎜の分岐器が22715/22716に置き換わる前の製品でFrogが可動式になっています。Frog部が可動式の分岐器は実物では新幹線に使用されているようですが、以前カツミ(エンドウ)から発売されていた金属道床線路も構造は違うもののFrog部が可動式でした。Märklinのものは枕木部分に仕込まれたリンクでFrog部の尖った側を動かしているためこのリンクのためにバラストの散布範囲が限定されてしまいます。それはさておき、線路配置を下図に示します。
上の2線はALTENHOF機関区の入れ替え用の引込線で今回使用しませんのでカバーで隠してあります。また角引き込み線の終端部は適宜線路を切断して長さを合わせてあります。なお、この線路配置の描画にはApp Storeで購入したRailmodeller ProというApplicationを使用しています。私は普段Macを使用していますので、使用できる線路描画のためのアプリは限定されてしまいます。Windows PC用のWintrackに比較して決して機能が多いアプリではありませんが、線路配置を検討するのには十分であり、また下記のような3D表示もできますので、以前掲載したようなイメージイラストもこの図を利用して作成できます。
線路配置が決まったら次に信号機、コンタクトトラックの位置を検討します。以前記載したように自動運転における列車への指令は ”Trigger>Delay>Event” が基本です。そして、今回上記のTriggerは列車の進行方向最前部の車輪がコンタクトトラックの最前部に到達したときに限定します(この状態をContactがOFFからONになると表現します)。ContactがONからOFFになる事によるTriggerも可能ですが、一つのプログラムの中に混在させるとプログラミングが複雑になる可能性があると考え、使用をすることはやめました。また、少し前のCS3のソフトのバージョンアップにより複数のコンタクトの状態を条件としたEvent Triggerを設定できるようになった様ですが、こちらも最初の段階ではプログラムが複雑になるので避けた方が良いと思います。現在のCS3にはイベントのSave/Save as 機能やCopy/Pasteの機能は無いと思われますので、プログラミングの手間も大変です。また、それ以前に、そのプログラムの考え方をフローチャート等で明確に記載しなければならず、それには簡単なプログラミングの知識が要求されます(この機能が追加されたときのリリースノートにもそのようなことが記載されています)。そこでTriggerは列車の進行方向最前部の車輪がコンタクトトラックの最前部に到達したときに限定することにしました。そして”Contact ON > Delay > event”での運転を前提として決めたコンタクトの位置が下記になります。
写真は下記です。ピンクのテープが貼ってある所がコンタクト区間になります。
各引き込み線で列車を停止させるためにはContact C7-1 / C8-1 / C12-1を使用します。厳密に言えばこれらのコンタクトは停止のトリガーではなく、減速開始のトリガーですので、ホームが長い#2はホームの終端部手前にも列車を停止させることを考えてコンタクトを#3よりコンタクトを手前に設置してあります。またコンタクトから終端までの距離を長く取るということは減速開始から停止までの速度パターンにバラエティーをつけることができるという利点もあります(プログラミングは少し大変ですが)。一方各シグナル(SIG)を進行(入換許可)現示から停止現示に切り替えるにはそれぞれC9-2 / C10-2 / C11-2 を使用します。この設定で信号出発現示>発車>信号停止現示というプログラミングを行うためには、各番線に許容される列車の長さは線路終端部からこれらのコンタクトまでの長さとなります。なお、停止から進行(入換許可)への切り替えは分岐器の切り替えをトリガーとします。駅への進入部にあるコンタクトC13-1は列車が駅に進入する際のSIG1の停止現示への切り替えに使います。次にアンカプラー上での連結部の停止を行うコンタクトを説明します。貨物ホームに貨車を留置させるためのUC4上への停止はC11-1で行います。UC2とUC3は、ホーム上に客車を残して機関車が出発し、別の機関車がやってきて(一度出発して行った機関車が戻ってきて)連結する作業を行うことを想定し、機関車を先頭に終端側からやって来た列車の連結開放部ををアンカプラー上に停止させることを想定しています。またこの作業は主に#3番線で行うこととし、機関車がC10-2をONにした後、十分低速で所定位置に停止できる様、C10-2は#3の終端側に寄せた位置に配置しました。これはALTENHOF機関区の自動運転を行う際、すべての機関車の減速開始から停止までの速度パターンを同じにしてしまうと機関車がただ機械的に行ったり来たりしている印象となってしまったのでそれを避けるため停止時の停止パターンに変化をつけたいと考えたためです。ただ、そのために停車できる列車の有効長は短くなってしまっています。この長さは、レールバスや蒸気動車貨車1両を牽引してやってきて入換作業をする、あるいは長さ15㎝程度のタンクロコが貨車1両を牽引してやって来て入換作業をする様な場面を想定しています。一方、#2番線は#3番線に比較して長い列車を止めたかったので、UC2開放用のC9-2はUC2の下流側に配置しました。
以上がコンタクトトラックの配置を最初に決めたときの「理屈」です。なお、これらのコンタクトトラックはもちろんサウンド制御用にも使用できます。
今回も「理屈」で終わってしまいましたが次回より実際の工作を説明させていただきます。