レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<5>

<線路配置>
線路はMärklin Kトラックです。このレールは50年以上前の1969年から発売されているレールで、”K” はドイツ語のプラスチック(Kunststoff)の意味だそうです。ちなみにMトラックのMはメタルのMだそうです。最近のTMS誌に篠原のフレキシブルレールの製作法を紹介した記事がありましたが、このような構造の線路の製造方法は結構複雑なようです。当時樹脂と金属でレールを製造するということは画期的であったので、プラスチックを強調した名称にしたのでしょうか。発売年が正しければ昨年で 発売50年になりますが、Märklinもそのことををあまり話題にしておらず、他社からは発売されているコンクリート枕木の線路も無い等、先行きがちょっと心配です。それはさておき、使用したレールの品番は以下のとおりです。バックが白くなっている部分が線路を敷設したベースのサイズで、1330㎜x300㎜です(グレーの部分の細線は100㎜間隔です)。ただ、後で述べますが、後から右下の部分に小さなスペースを追加してあります。数字は品番ですが、端部の数字が重なっているところは品番#2200(180㎜)のレールを切断して長さを合わせてある部分ですので番号は無視してください。作図は前述のRailModeller proで作図したものです。また、今回使用するのは下側の2線です。

<コンタクトトラックの製作>
線路を敷設前にコンタクトトラックを製作します。このコンタクトトラックはもともとはレイアウト上に固定するのではなく、線路配置に応じて色々な位置に配置できるものとして作成したので外観等をあまり考慮しておらず、当初この部分を機関区の入換線として使用していた時はこの線路をそのまま使用していました。今回のコンタクトトラックはこの線路をを一部流用しましたのでまずはその製作法を説明します。写真を下に示します。

まず糸鋸で赤矢印の部分のレールを切断し、写真の上側のレールに絶縁区間をつくります。その絶縁区間のレールに黄色の矢印で示した#110のファストン端子(Cトラックについている端子と同じサイズの端子)をはんだ付けします。また、この加工によりレール単体で見ると絶縁区間の両側のレールには電源が供給されませんので、絶縁区間の外側のレールと反対側のレールの間に0.8㎜の真鍮角線(青矢印)をはんだ付けしてあります。Märklin Kトラックの線路の材質は何かがわからないのですが、ファストン端子や真鍮角線ははヤニ入りはんだや無酸ペーストでははんだ付けすることができませんでした。そこで真鍮工作用の塩化亜鉛溶液を用いたところ、はんだ付けすることができました。ただし、はんだ付け後には十分な洗浄が必要です。なお、レイアウト部分への流用に際しては、ファストン端子部分を短く切断し、そこにリード線をはんだ付けしています。

<線路の敷設>
上記のコンタクトトラックも含め、配線図にしたがて線路を敷設します。接続するALTENHOF機関区の線路はベースと線路の間にコルク板を挟んでありますが、騒音防止にはあまり効果がないのと、今回後ろ側の2線はそのまま使用しますので、線路はベース板上に直接篠原製のスパイクで枕木部を固定しました。なお、長さの調整が必要で、切断して使用した線路は、品番#7596の joiner とThard Rail Clipで接続してあります。

線路を敷設し終わったらコンタクトトラックの絶縁区間が正しく絶縁されているかをチェックします。

コンタクトトラックの絶縁区間が正しく絶縁されているかのチェックは重要です。過去CS3による自動運転で車両が意図通り動かなかった原因に、絶縁区間の絶縁不良がありました。原因は切断後のレールが動いて接触してしまうことと、糸鋸で切断したときの小さなバリが対向している線路と接触し、見た目では線路の間が離れているように見えても絶縁されていないことが原因でした。この不具合に気づかないと、列車が正常に動かない時にプログラムをいくらチェックしても意図通りに列車が動かず、その原因調査が難航します。そのため今回はギャップ部分に絶縁材を挟んで接着剤で固定することとしました。この絶縁にはドライクリーニングの仕上がり品についているタグを利用しました。このタグは紙ですが、水分で濡れても膨らまず、耐溶剤製があるのでよりも使い勝手が良いと思い採用しました。

線路を接続したら試運転を行います。試運転とはいってもまだ自動運転用の制御機器は接続していないので、すべての領域のレールに電源が供給されて脱線せずに走るかを確認するレベルです。注意するところはアンカプラートラックの機構部が入っているところと台車側面の接触です。アンカプラートラックと機構部がベースに密着していないと車両によっては干渉することがあります。私の手持ち車両の中ではレールバス(VT95)の台車が干渉し、線路側の調整(線路の浮きの修正)が必要でした。

<配線>
線路が固定できたら配線を開始します。コンタクトトラックの端子部やアンカプラートラック、ポイントマシンの接続部のベース板に穴を開け、リード線を通します。フィーダー部もサーキトとトラックと同様、レールにファストン端子を半田付けして配線しました。また、サードレールは、線路の接続部の直下に穴を開け、接続部にはんだ付けしたリード線をベースの下に通してあります。この程度のレイアウトでも、線は結構な本数になるので各線には接続の表示を確実につけておくことが必要です。

サーキットトラック絶縁区間の配線。線路へのフィーダー線も同じ方法で配線します。
アンカプラートラックは線が出る位置にに穴を開けて線を下に通します。動作表示用の接点は使用しません。
ポイントマシンは両側から線がでます。

配線をベース板の下に通したら、それらの線を自動運転用の制御機器と接続します。写真は、配線が修了した後の写真です。

分岐器制御用のm83デコーダーと信号機のデコーダー
コンタクトトラックからの情報を受信するS88LINKデコーダーとm84アクセサリーデコーダー(未配線)。m84デコーダーは、アクセサリー動作用の電源をユニバーサル電源から取る必要がありますので、そのスペースを確保するために将来位置を移動する予定です。
アンカプラー制御用のm83デコーダーと信号への電源供給用の基板

実際の配線方法の詳細については次回説明させていただきます。