デジタル制御で何ができる?(3):海外メーカー製デジタル仕様の車両の紹介) -デジタル仕様の機関車に実装されている機能の実例(蒸気機関車等)-

デジタル仕様の機関車をどのように楽しむかを考えるにあたり、もう少し機関車に実装されている機能を紹介したいと思います。前回は電気機関車に実装されている機能(Function)を紹介しましたが、今回は蒸気機関車に実装されている機能を紹介します。今回も動画を多数掲載してしまいましたが、お許しください。

この機関車は戦後に製造されたドイツ国鉄のBR065(#39651)で、蒸気機関車の中では比較的多くのFunctionが実装されています。まず紹介するのは走行音と汽笛とブレーキの軋み音です。動画ではわかりにくいのですがこの製品には発煙装置が組み込まれており、発煙のON/OFFが可能です。なお、動画に収録されているポツポツという音は発煙装置が発する音です。M¨arklinの蒸気機関車はほぼ全てに発煙装置が設置可能ですが、この製品は工場出荷時に取り付けられています。なお、発煙装置はドイツのSEUTHE社からのOEM品です(SEUTHE社が発売している装置も取り付け可能です)。

出発時の長い汽笛はパネルのタッチ(クリック)により長さの調整が可能です. 短い汽笛は1回のタッチ(クリック)のみで鳴らすことができます. ブレーキの軋み音はON/OFFが可能です.

ライトは進行方向に応じたヘッドライトのON/OFF,コールバンカー側のテールライトのON/OFF、キャブライトのON/OFF,入替作業時の点灯モードが可能です。

進行方向に応じて天道するヘッドライトはON/OFF可能です
コールバンカー側のテールライトはON \OFF可能です。進行方向には依存しません。
キャブライトもON \OFF可能です
電気機関車同様, ライトを入替時の点灯モードに切り替えた時には自動的に低速モードに切り替わります.

実装されている主なサウンドを以下の動画で紹介します。実物もそうですが、同時代の機関車の音は機種間の差は比較的小さくなっています。

ベル, コンプレッサ, 給水ポンプの音です. コンプレッサ, 給水ポンプの音は形式ごとに差があります. 実物を見たことがありませんので詳細は不明ですが多分実物の音が収録されているのではないかと思います.
安全弁の動作音,発電機の動作音です
石炭の補給音と灰箱のを落とす音です.
周囲音としては発車時の車掌の笛の音, 踏切の警報音と遮断機の動作音が入っています.

なお、この機関車のControllable Functions は以下のとおりです。F3をONに設定するとコンプレッサ、給水ポンプ等の音がランダムに発生します.

また、客車の中にもサウンドデコーダーを搭載し、ライトの制御だげではなく車内音が発生する製品もあります。ライト関連の制御は、客室の室内灯、客室のテーブルランプ、調理室の室内灯が個別にON \OFFできるほか、同電カプラーで連結した他の客車の照明を一括してON/OFFできる機能があります。サウンドは客室内と調理室内の音が実装されています。中には調理室のに火が入り、調理員が叫ぶ声と赤い光が発するFunctionも実装されています。また、欧州の食堂車の中にはパンタグラフを装備し、機関車が連結されていない停車中にはパンタグラフを上げて集電する(機関車から給電を受けているときはパンタグラフか下降している)タイプの食堂車がありますが、このパンタグラフが昇降可能な食堂車も発売されています。

客室内の会話, 乾杯の音, シャンパンの栓を開ける等が聞こえます. 音はクリック音ごとのFunctionとして実装されています.
調理室内の音です. 何かを切る音, 鍋を扱う音, 何かを揚げる音が聞こえます. 鍋に火が入った場面のFunctionを起動すると鍋の音とともに調理員の叫び声が聞こえ, 赤い光が発生します(赤い光を目立たせるため調理室の室内灯は消灯しています).

以上で車両に搭載されたFunctionの紹介を終わりますが、このほかにも電気機関車ではピエゾモーターを使用して音とともにパンタグラフが上下する機能、進行方向に応じて運転席に運転士が現れる機能が実装された機関車もあります。また貨車では荷物を積み下ろしする際の音が実装された貨車も存在します。
今回紹介した車両はいずれもMärklin製の車両で、中には「こんなものいるの?」と感じるものもあります。米国で主流の2線式のDCC制御についてはNMRAの標準がありますが、その中ではライトの制御やサウンドは直接運転に関連するものが多いようです。欧州ではRoco社等、2線式でDCCに対応しているメーカーも交流仕様の製品を発売していますのでMärklin社は自社開発のデコーダーの利点を活かしてそれらのメーカーとの差別化を図っているのかもわかりません。一方日本でデジタルシステムを販売しているKATOのコントローラーの説明書を見ると、DCCはギャップなしで線路上に複数の車両を置いてそれらを選択的に制御できること、ライトの制御ができること、分岐器にデコーダーを装着してコマンドステーションから分岐器を制御できることなどが謳われていますが、Functionについてはそのような機能があること以上の説明はありません。製品はDigitraxx社製製品のOEMですのでデコーダーの選択によりDCCのフル機能が使用できます。別途解説書はありますが、普通に鉄道模型を楽しみたいと思っている一般のファン向けではありません。サウンド付きという意味ではT社のQuantum Systemを使用した車両がありますが、アナログ運転にサウンド機能を付加したもので、DCCではありません。
DCCの基本機能はKatoの説明書のように複数列車を選択的に運転できること、ポイントデコーダーにより配線尾追加をすることなく多数の分岐器を制御できることだと思いますが、今回紹介させていただいたように近年のサウンドデコーダーの進歩によりDCC(デジタル)運転の楽しさ格段に向上しています。とは言っても今回紹介した動画のように車両を机の上に敷いた線路上に置いて往復運転を行ったり音を出してみたりするだけでは宝の持ち腐れで、その動作を見ていても早晩飽きてしまうことは必定のような気がします。そこで次回はどのようにしたら限られたスペースでこのような「芸」を披露することが可能なデジタル仕様の車両を楽しむことができるかを考えてみたいと思います。