鉄道写真:50年前の東京の鉄道(1)

今回は今から50年前、私が鉄道写真を撮り始めた頃の写真を紹介したいと思います。当時私は小中学生の時代で、自宅にあったカメラを使用し、東京駅や上野駅で写真を撮っていました。当時はまだいわゆる『SLブーム』が起こる前で、駅で写真を撮影している鉄道ファンは少ない時代でした。当時は鉄道ファンの数は非常に少なく、今よりコンプライアンスが緩かった(そもそもそのような言葉はなかった)時代でしたので、駅で小学生が写真を撮影していると運転士さんが声をかけてくれて運転席に座らせてくれたり、電車区を尋ねると職員さんに中を案内してもらえるような今では考えられないような時代でした。乗せてもらう小学生の方も機器には絶対に触らない等の節度は守って乗せてもらっていました。撮影したカメラは主にOlympus Pen だったと記憶しています。当然撮影技術などと呼べるものは何もなく、下手な写真ばかりでお恥ずかしい限りですが、当時の鉄道風景を知っていただくために恥を忍んで写真を掲載したいと思いますので、ご笑覧ください。ただ、当時のフィルムは当時使用していた素材に起因する”ビネガーシンドローム”が発生してしまい、フィルムのカールが激しく、表面に汚れが見られますがご了解ください。当時の国内のモノクロフィルムは 大手2社以外にもあまり聞いたことがないメーカーのフィルムも販売されていました。小学生の私は当然お金がありませんでしたので止むを得ず価格が安いそのようなフィルムも使用していたのですが、皮肉?な事に同一の保存方法でビネガーシンドロームの程度が一番酷いのは当時の国内最大手のメーカーのフィルムです。それではまず第1回目として1969年頃東京駅、上野駅、新宿駅の風景を紹介します。

まずは東京駅です

東京駅に停車中の80系普通列車です. 当時、昼前の富士行き1本のみが80系で運転されていました. 奥のホームには東京駅に到着した寝台特急「さくら」が止まっています.
東京駅のホームに並ぶデビューまもない頃の特急「あまぎ」です. 当時は週休2日制ではなく、土曜日は「半ドン」でしたので下り伊豆方面行きの優等列車の発車は土曜の午後2時ごろがピークでした. 写真にも少し映っていますが行楽地に向かう列車にもかかわらず, 乗客の方々もスーツ姿の方が多かったような印象でした.
東京駅に到着した寝台特急を牽引してきた機関車は客車から解放された後, 機回し線を通り列車の東京方に連結され、列車は品川まで回送されます. このための機回し線は10番線と12番線の間にあり、そのため東京駅には11番線がありませんでした. 入替時機関車のステップには2名の掛員が乗っているのも時代を感じさせます(上の写真で2本の特急「あまぎ」が停車している間にある線路が機回し線です).
東京駅の有楽町方にのホームは旅客が乗降するところより先に荷物を扱う場所があり、そこで荷物の積み下ろしが行われていました. また、写真のように153系の急行には大きなヘッドマークが取り付けられていました.

次は上野駅です

1969年に両大師橋から撮影した上の駅構内です.大連絡橋はまだ完成しておらず(工事中), 高架ホームと地平ホームはオーバーラップしていません. 常磐線ホームには旧型国電が停車中です. 正面に見える特急列車は青森行き583系はつかりと盛岡行きやまびこです. この写真を撮影した際使用されていた上野駅の東西を結ぶ両大師橋は現在よりホームの近くにありました。
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