レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<1>

<はじめに>
私が鉄道模型を始めたのは前回東京オリンピックが開催された1964年でした。それから約55年が経ちましたが、その間、完全に中断することなく鉄道模型を趣味として続けていますがこのような長い付き合いができたのも鉄道模型の奥の深さではないかと思っております。まもなく仕事をリタイアする年となりますが、この趣味を持ってつくづく良かったと感じている今日この頃です。

私が鉄道模型を始めた頃に発行されていた雑誌(技術出版株式会社発行、”模型と工作”1965年5月号)と、その雑誌に掲載されていた鉄道模型車両の製作法(合葉博治氏執筆)。

それはさておき、現在私は鉄道模型関連の雑誌として1970年以来購読している鉄道模型趣味(TMS)、米国のModel Railroader,ドイツのMärklin Magazineの3誌を購読しています。これらの雑誌を読む限り日本、米国、欧州では鉄道模型のしみ方は日本、米国、欧州でそれぞれ異なっているように感じられます。

最近は少し変化があるのかもわかりませんが、現在でもTMSには車両の自作記事が多く、DCC関連の解説記事はほとんどありません。それに対し米国のModelrailroader誌では車両関連の記事は殆どがKitbashingによる市販品の改造記事であり建造物の制作も含めたレイアウト関連の記事が多数を占めています。またMärklin Magazineは発行元が鉄道模型メーカーですので少し特殊かとは思いますが、Märklin Digital System関連の記事とレイアウトの製作記事が多く掲載されています。それらの記事の中で、日本でまず見かけない楽しみ方に一つに、米国の複数のオペレーターが広大なレイアウトの各領域を担当して、途中入れ替え作業を行いながら一本の貨物列車を目的地まで運行していく運転、欧州の Staging yardを設置したレイアウトによる複数列車の自動運転が挙げられます。勿論家の広さの関係もあるのかもわかりませんが日本ではあまりこのような楽しみ方は紹介されていないように感じます。

かく言う私も、このブログに紹介させていただいたようにかつては車両工作を主体に鉄道模型を楽しんでおりましたが、25年ぐらい前からMärklinのシステムによるZゲージのレイアウトや、このブログでもご紹介させていただいたHOゲージのレイアウトセクションを作成してレイアウト作成の楽しみも味いながら現在に至っています。

その後作成したHOゲージ”ALTENHOF機関区”のレイアウトセクション。こちらも2016年のTMSレイアウトコンペで準佳作をいただきました。一応将来のデジタル制御による自動運転を意識して制作しましたが製作当時(2010年ごろ)はデジタル制御の機能は現在に比較すると限定されたものでした。
本ブログで紹介させていただいたヨーロッパのクリスマスの街並みを再現したレイアウトセクション。線路は展示台的な、非常に単純な配置です。

その中で製作したALTENHOF機関区のレイアウトセクションでは、制作後MärklinのCentral Station3を用いた自動運転を行ない、ごく狭いながらも自作のレイアウトセクション上を機関車が出入区する風景を「ぼーっと」眺めると言う従来とは異なる(欧州の楽しみ方に近い?)鉄道模型の新たな楽しみ方を見つけたような気がしました。その後100%鉄道風景ではない街の風景の再現したいと思い製作したレイアウトセクション(ジオラマ)がこのブログに紹介させていただいた「旧市街のクリスマス」のレイアウトセクションですがこちらは街中の風景を表現することに重点を置いたため鉄道線路は脇役的な存在となっています。そしてこのレイアウトセクションの完成後、第1作(鉄道施設(機関区)の再現)と第2作(街並の風景の再現)の中間的な鉄道のある日常風景を作りたいと思っていたのですが、ある日ふと思いついたのが、機関区に対向して配置した機関車の入れ替え用の線路部分にローカル線の終端駅のレイアウトセクションを製作することでした。そしてその時ふと思い出したのが、以前のTMSに掲載されていた「川俣線の一日」と言う記事でした。この記事は私がTMSの購読を始める前の記事で、手元にはなく、上記の題名も怪しいのですが、川俣線の沿線の鉄道設備や沿線風景に加え、川俣線の一日の運行がタイムライン的に記載されており、当時小学生の私はその内容をなんとか理解しようと必死に?読んだと記憶しています。また、手元にある1988年発行のTMS別冊のシーナリー・ストラクチャーガイド<1>の中にはTMSに1968年に掲載された坂本衛氏執筆の「怱川の工臨」と言う記事が掲載されており、宝塚から怱川の採石場に向う引込線?の設備とともに、そこで運転される列車の運用がタイムライン的に記載されています。この記事が上述の米国における運転方法を意識して書かれたものかは知る由もありませんが、このような運転を最新のデジタル技術により実現し、それを「ぼーっと」眺めるのもまた面白いのではないかと思い、今回のレイアウトセクションの作成を決意しました。今回の構想ではこの記事に記載されているような複雑な運転の自動化が出来るものでは全くありませんが、非常に単純なものであれ、実物を模した自動運転が自宅の机の上でできようとは当時は思いもしませんでした。果たして今から50年後の鉄道模型の制御はどのようになっているのでしょうか。

私が購読を始めた頃のTMSと1988年発行のTMS別冊のシーナリー・ストラクチャーガイド<1>

次回以降これからこのレイアウトの製作記をこのブログに製作と同時進行で記載させていただきます。構想を初めてから一年弱、現在の状態は下の写真のような状態です。

現在の進捗状況。後方に接続されているのがALTENHOF機関区”のレイアウトセクションです。

今後、これまでの工作についての紹介を順次紹介させていただきますが、それ以降は製作と同時進行で紹介させていただきます。最初に言い訳じみたことを記載して恐縮ですが、今後時間的な余裕はできると思われるものの、必要な物資をドイツのショップから発送してもらう等、製作には非常に時間がかかると考えています(と書いている現在、ドイツからの荷物の発送がコロナウイルス(COVID-19) の影響で停止してしまっています)。したがって記事の更新には時間がかかる場合もあると思いますが、よろしければお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。