レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<7>

<自動運転プログラムの作成>
下の動画が今回作成したセッションの動画です。このセッションは概ね<その3>に記載した脚本に従って作成したものです。実際には14分のセッションですが、動画は列車の停車時間等を短縮して8分強に編集してあります。

今回作成したセッションの各車両の動きは<その3>に記載した下記の脚本からm84デコーダーによる駅舎の電灯制御を除いたものになります。[ ]で追記したのが制御対象の車両です。車両の説明は<その3>をご覧ください。

1)夜明け、駅員が起きて駅舎の宿直室の電灯が灯り、その後事務室、待合室の電灯が灯る。
2)しばらくすると場内信号が青になり、始発列車がやってくる。始発列車は乗客が少ないので蒸気動車の単行列車。[XDR1011}
3)信号が青になり始発列車が出発する。[XDR1011}
4)周囲が明るくなり、駅の電灯が消灯する。
5)通勤時間帯となりやってくるのは収容力の大きなプッシュプルトレイン。[BR218]
6)信号が青になり折り返しのプッシュプルトレインが出発する。[BR218]
7)次にやってくるのは2両編成のレールバス。[VT95]
8)そのレールバスが出発すると再び乗客が少なくなりやってくるのは貨車を引いた蒸気動車。[XDR1011}[VT95]
9)蒸気動車が客を下ろすと信号が入れ替え作業を許可する現示となり蒸気動車が貨車を貨物ホームに移動させ貨車を貨物ホームに移動させ再びホームに戻る。[XDR1011]
10)蒸気動車の入替作業が終わるとしばらくしてやってくるのはプッシュプルトレイン。[BR218]
11)プッシュプルトレインが到着すると蒸気動車が出発。[XDR1011]
12)夕方になると駅の電灯が灯ってプッシュプルとレインが出発する。[BR218]
13)その後レールバスが到着し、折り返していくと夜になり乗客の数も少なくなりやってくるのは蒸気動車の終列車。[XDR1011]
14)終列車が出発すると駅の電灯が消灯して一日が終わる。まず事務室と待合室の電灯が消灯し、しばらくすると宿直室の電灯が消える。[XDR1011]

CS3で自動運転を行う際のEVENT(ロコシーケンス)の作成方法は以前のブログで紹介しましたが、今回の作成方法もその方法と同一です。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<6>

今回はレイアウトの配線の詳細を説明します。その前にその3に掲載したコンタクトトラックとシグナル、分岐器の配置と名称を記載した図を再掲します。

<使用したデコーダーと接続先>
今回のレイアウトに使用したデコーダーと設定したアドレス、接続先の一覧を下表に記載します。このレイアウトでは分岐器用のm83デコーダーを2個、Uncoupler用のm83デコーダを1個、コンタクトトラックの接点が接続されるS88 Linを1個、シグナル付属のデコーダーを4個使用しています。

m83デコーダーは分岐器用にmfx対応の製品、Uncouplerには旧製品を使用しています。アドレスの設定方法は一度覚えてしまえばそれほど難しいものではありません。Uncouplerはm83デコーダーの#1端子の分岐器切り替え用の端子2箇所にそれぞれUC1,UC2を接続してあります。

<シグナル>
シグナルは駅入り口は一般的なHome Signal(3現示)を使用しています。各引き込み線には入替作業の実施を想定し、入替許可現示のあるシグナルを使用しました。赤2灯がStop and No Switching、赤一灯と白2灯がStop,Swiching Allowedを意味します。詳細な規則についてはこれから勉強です。欧米の模型雑誌を読んでいると、信号の表示や汽笛の吹鳴パターンの説明に、よく規則XX条YY項が要求するものという説明が出てきます。またWEBサイトにも鉄道ファンがまとめたと思われるかなり詳しいそれらの規則が掲載されています。日本ではそのような解説はほとんど見かけませんが、これも日本と欧米の文化の違いが趣味にも現れているということでしょうか。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<5>

<線路配置>
線路はMärklin Kトラックです。このレールは50年以上前の1969年から発売されているレールで、”K” はドイツ語のプラスチック(Kunststoff)の意味だそうです。ちなみにMトラックのMはメタルのMだそうです。最近のTMS誌に篠原のフレキシブルレールの製作法を紹介した記事がありましたが、このような構造の線路の製造方法は結構複雑なようです。当時樹脂と金属でレールを製造するということは画期的であったので、プラスチックを強調した名称にしたのでしょうか。発売年が正しければ昨年で 発売50年になりますが、Märklinもそのことををあまり話題にしておらず、他社からは発売されているコンクリート枕木の線路も無い等、先行きがちょっと心配です。それはさておき、使用したレールの品番は以下のとおりです。バックが白くなっている部分が線路を敷設したベースのサイズで、1330㎜x300㎜です(グレーの部分の細線は100㎜間隔です)。ただ、後で述べますが、後から右下の部分に小さなスペースを追加してあります。数字は品番ですが、端部の数字が重なっているところは品番#2200(180㎜)のレールを切断して長さを合わせてある部分ですので番号は無視してください。作図は前述のRailModeller proで作図したものです。また、今回使用するのは下側の2線です。

<コンタクトトラックの製作>
線路を敷設前にコンタクトトラックを製作します。このコンタクトトラックはもともとはレイアウト上に固定するのではなく、線路配置に応じて色々な位置に配置できるものとして作成したので外観等をあまり考慮しておらず、当初この部分を機関区の入換線として使用していた時はこの線路をそのまま使用していました。今回のコンタクトトラックはこの線路をを一部流用しましたのでまずはその製作法を説明します。写真を下に示します。

まず糸鋸で赤矢印の部分のレールを切断し、写真の上側のレールに絶縁区間をつくります。その絶縁区間のレールに黄色の矢印で示した#110のファストン端子(Cトラックについている端子と同じサイズの端子)をはんだ付けします。また、この加工によりレール単体で見ると絶縁区間の両側のレールには電源が供給されませんので、絶縁区間の外側のレールと反対側のレールの間に0.8㎜の真鍮角線(青矢印)をはんだ付けしてあります。Märklin Kトラックの線路の材質は何かがわからないのですが、ファストン端子や真鍮角線ははヤニ入りはんだや無酸ペーストでははんだ付けすることができませんでした。そこで真鍮工作用の塩化亜鉛溶液を用いたところ、はんだ付けすることができました。ただし、はんだ付け後には十分な洗浄が必要です。なお、レイアウト部分への流用に際しては、ファストン端子部分を短く切断し、そこにリード線をはんだ付けしています。

<線路の敷設>
上記のコンタクトトラックも含め、配線図にしたがて線路を敷設します。接続するALTENHOF機関区の線路はベースと線路の間にコルク板を挟んでありますが、騒音防止にはあまり効果がないのと、今回後ろ側の2線はそのまま使用しますので、線路はベース板上に直接篠原製のスパイクで枕木部を固定しました。なお、長さの調整が必要で、切断して使用した線路は、品番#7596の joiner とThard Rail Clipで接続してあります。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作 <4>

<線路配置の詳細>
今回は線路の配置プランの説明をさせていただきます。線路配置の詳細を下に示します。使用線路はMärklin Kトラックで、1350㎜X300㎜の9㎜のシナ合板で作成したベース板上に直接取り付けてあります。使用した線路は以下のものです。

2272/2273は長さ225㎜の分岐器が22715/22716に置き換わる前の製品でFrogが可動式になっています。Frog部が可動式の分岐器は実物では新幹線に使用されているようですが、以前カツミ(エンドウ)から発売されていた金属道床線路も構造は違うもののFrog部が可動式でした。Märklinのものは枕木部分に仕込まれたリンクでFrog部の尖った側を動かしているためこのリンクのためにバラストの散布範囲が限定されてしまいます。それはさておき、線路配置を下図に示します。

上の2線はALTENHOF機関区の入れ替え用の引込線で今回使用しませんのでカバーで隠してあります。また角引き込み線の終端部は適宜線路を切断して長さを合わせてあります。なお、この線路配置の描画にはApp Storeで購入したRailmodeller ProというApplicationを使用しています。私は普段Macを使用していますので、使用できる線路描画のためのアプリは限定されてしまいます。Windows PC用のWintrackに比較して決して機能が多いアプリではありませんが、線路配置を検討するのには十分であり、また下記のような3D表示もできますので、以前掲載したようなイメージイラストもこの図を利用して作成できます。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作 <3>

<シナリオを想定する>
前回までの検討で大体の線路配置は決まりました。そこでその構想に従い線路配置の詳細を決定しますが、今回のような自動運転を想定するレイアウトでは、運転する列車の長さだけで線路配置を決めるのではなく、ある程度レイアウト上の列車の動きを想定し、自動運転用の列車位置を検出するセンサー(コンタクトトラック)、信号機、アンカプラーをどの位置に設置するかを検討する必要があります。いわば映画や演劇で、台本に基づく役者(車両)の動きに応じて自動で舞台装置を動かすためのセンサー(コンタクトトラック)を配置し舞台装置(信号機等)の配置を検討するという感じです。

今日現在の進捗状況です。

<車両>
今回役者に相当する車両は、構想時点で手元にあった車両を想定しました。その形式と長さは下記のとおりです(()はItem#, <は全長>)。
1. レールバス VT98 (#39978) <32cm>
2. プッシュプルトレイン Br218+Silverline (#39180+4#3820) <49cm>
3. 蒸気動車 SNCF XDR1101 “Kittel” (#37258) <14cm>
4. 貨車 Post 2ss-t/13 (#47360) <17cm>
5. 貨車 Jaheswagen 2011 GI22 (#48161) <15cm>
です。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<2>

<線路配置>
今回は第2回目として、基本構想とそれに基づく線路配置、用意したアクセサリについて説明させていただきます。
下記はジオラマ”ALTENHOF機関区”のMärklin CS3による自動運転のための線路配置ですが、今回使用するのはこの図の右半分のコンタクトトラックC5-C8 が接続されている分部の赤枠で囲まれた部分です。

この部分は機関区からでた線路を4線に分岐してありますが、ローカル線の終着駅として4線は多すぎますので、そのうちの2線を隠し、手前側の2線を使用したレイアウトセクションを製作することとしました。その最初に書いたイラストが以下のものです。

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レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<1>

<はじめに>
私が鉄道模型を始めたのは前回東京オリンピックが開催された1964年でした。それから約55年が経ちましたが、その間、完全に中断することなく鉄道模型を趣味として続けていますがこのような長い付き合いができたのも鉄道模型の奥の深さではないかと思っております。まもなく仕事をリタイアする年となりますが、この趣味を持ってつくづく良かったと感じている今日この頃です。

私が鉄道模型を始めた頃に発行されていた雑誌(技術出版株式会社発行、”模型と工作”1965年5月号)と、その雑誌に掲載されていた鉄道模型車両の製作法(合葉博治氏執筆)。

それはさておき、現在私は鉄道模型関連の雑誌として1970年以来購読している鉄道模型趣味(TMS)、米国のModel Railroader,ドイツのMärklin Magazineの3誌を購読しています。これらの雑誌を読む限り日本、米国、欧州では鉄道模型のしみ方は日本、米国、欧州でそれぞれ異なっているように感じられます。

最近は少し変化があるのかもわかりませんが、現在でもTMSには車両の自作記事が多く、DCC関連の解説記事はほとんどありません。それに対し米国のModelrailroader誌では車両関連の記事は殆どがKitbashingによる市販品の改造記事であり建造物の制作も含めたレイアウト関連の記事が多数を占めています。またMärklin Magazineは発行元が鉄道模型メーカーですので少し特殊かとは思いますが、Märklin Digital System関連の記事とレイアウトの製作記事が多く掲載されています。それらの記事の中で、日本でまず見かけない楽しみ方に一つに、米国の複数のオペレーターが広大なレイアウトの各領域を担当して、途中入れ替え作業を行いながら一本の貨物列車を目的地まで運行していく運転、欧州の Staging yardを設置したレイアウトによる複数列車の自動運転が挙げられます。勿論家の広さの関係もあるのかもわかりませんが日本ではあまりこのような楽しみ方は紹介されていないように感じます。

かく言う私も、このブログに紹介させていただいたようにかつては車両工作を主体に鉄道模型を楽しんでおりましたが、25年ぐらい前からMärklinのシステムによるZゲージのレイアウトや、このブログでもご紹介させていただいたHOゲージのレイアウトセクションを作成してレイアウト作成の楽しみも味いながら現在に至っています。

その後作成したHOゲージ”ALTENHOF機関区”のレイアウトセクション。こちらも2016年のTMSレイアウトコンペで準佳作をいただきました。一応将来のデジタル制御による自動運転を意識して制作しましたが製作当時(2010年ごろ)はデジタル制御の機能は現在に比較すると限定されたものでした。
本ブログで紹介させていただいたヨーロッパのクリスマスの街並みを再現したレイアウトセクション。線路は展示台的な、非常に単純な配置です。
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模型車両の紹介:北海道のキハ82系:その2

前回のその1に引き続き、その2では下回り、車体の細部を模型作成時に参考にした私が撮影した写真とともにご紹介させていただきます。

床下機器は日光モデルのダイキャスト製の製品、”床下機器セット気動車(D)”を使用しました。細密なダイキャスト製のパーツです。各車両とも真鍮版で製作した取り付け板に接着してあります。写真は上からキハ82、キハ80、キシ80の床下です。

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模型車両の紹介:北海道のキハ82系:その1

青函連絡船が運行されていた当時、東京から北海道に向かうのには夕方に上野からはつかり(1M)に乗車し、青森から青函連絡船の夜行便に乗船するのが最も一般的なルートでした。その青函連絡船1便が函館港に着岸する際、甲板上から見えるのは函館駅に停車しているキハ82系の特急おおぞら、北斗でした。その姿を見ると遥々北海道にやってきたという実感が湧いたものです。連絡線を下船したはつかりからの乗客は青森駅にはつかりとほぼ同時刻に到着する大阪からの特急白鳥からの乗継客とともに続々と停車中の2本の特急列車に乗り込んでいきます。

今まで北海道を走る車両を各種制作してきましたが、北海道を走る車両の中ではキハ82系は外せない存在です。今回はひかり模型のバラキットを使用した北海道のキハ82系を紹介させていただきます。1990年頃の作品です。

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模型車両(実物写真)の紹介:北海道のDD51

前回の模型車両の製作ではC62重連が牽引した急行ニセコの編成をご紹介させていただきましたが、今回はその編成を牽引するために、KATOのDD51を北海道型に軽加工した作品をご紹介します。

C62重連が牽引した急行ニセコは1971年9月にその終焉を迎えますが、列車自体はその後も存続し、以降10年弱は旧型客車で、その後1986年までは14系客車で運転されていました。このように長年客車急行として存続し得たのはこの列車が青函連絡線で航送される郵便・荷物車を連結していたからであったからと考えられます。そのC62後任の牽引機は当時の国鉄唯一の本線用ディーゼル機DD51で、C62と同様、山線区間はDD51重連で運転されていました。今回はその模型をDD51の実物写真とともに紹介させていただきたいと思います。

KATOのDD51の発売開始は1986年でした。それまでDD51の模型は天賞堂から真鍮製、エンドウからダイキャスト製のモデルが発売されていましたが、前者は高価であり、後者は全体的にはバランスが取れているもののダイキャスト製の荒削りな製品でした。またキットはしなのマイクロ、珊瑚模型店から発売されていましたが、見るからに製作が難しそうなものでした。そんな中KATOが発売したプラ製のDD51は実物の印象をよく捉えており価格も¥15,000とリーズナブルなものでした。私もニセコの編成を製作した後、早速購入を考えたのですが当時は暖地向けの機体しかなかったので、その製品を2両購入し、北海道型に軽加工することとしました。

当時HOモデラーはプラ製の製品(真鍮製以外の製品)を安物として馬鹿にする傾向がありましたが、当時模型車両を製作していたものとして、国鉄凸型ディーゼル機は駆動装置・形態とも非常に製作が難しい車種であり、KATOがプラ製の機関車第一号としてDD51を選択したのは今思えば HOモデラーにプラ製の製品を認知させる戦略だったのかもわかりません。

<実物>
実物のDD51には仕向地域により暖地向け、A寒地向け、B寒地向けの3タイプがあり、当然北海道向けは外観的にはスノープラウ、旋回窓、運転室窓のプロテクタ、汽笛カバーを装備したA寒地向ですが、改造にあたり北海道型を特徴付けるためさらに特徴的な仕様としてヘッドライト3灯、ボンネット先端にスピーカーを装備した機体とすることにしました。

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