模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その2


それでは前回に引き続き具体的な手順を説明いたします。まず側板からです。
<側板の製作>
 側板の大まかな構成を下図に記載します。まず図に示すように外板に対して内張り1で2段窓の上段と戸袋窓の窓枠を表現します。その手順は、まず内張り1の上段窓枠周りの部分を一度切り抜いてしまい、その後に外版と内張り1を貼り付け、外版の罫書き線に沿って窓を抜きます。これで内張り1で下段窓の部分の外板の厚さが表現できます。その後先ほど切り抜いた上段窓枠の部分を内張り1の切り抜いた部分にはめ込んで、外版の窓に対して上段窓枠の位置を現物あわせで罫書いた後、上段窓を抜きます。それを内張り1に嵌め込んで接着すると上段窓が完成します。内張り2では2段窓の下段とドアを表現します。

昔の模型雑誌のイメージで描いてみました

斜視図ではない図を下に示します。

左の図は罫書き線を表します(注意:切り抜き前に図のすべての線は罫書きません。実際に抜いた穴に合わせで罫書く部分があります。また、外板以外の図に貼り合わせてから切り抜く部分の線は表示していません)。外板と内張り1を張り合わせた図が右側上段、3枚すべてを張り合わせたものが右側の図の下段になります。

これらの罫書きと切り抜きの手順を写真を使って以下に順を追って説明します。

 まずは外板と内張り2の一部の罫書きを行います。外板の左右、内張り2が一体となったサイズ(外板の高さの4倍)に切り出した紙を用意します。紙の目の方向は横にします。外板と内張り2を1枚の用紙でけがく理由は内張り2の縦方向の位置を合わせるためです。外板と内張り2は紙の目を同一にしますの一体で罫書きます。下の写真のようにまず三角定規を使用して左右の外板に窓とドアの位置を罫書きます。ドアの戸袋部は窓の加工方法が異なるので間違わないように戸袋窓には目印(写真では”H”)をつけておきます。

同時に内張り2の縦線を罫書きます。縦線の位置は下戸袋窓と2段窓の間の窓桟の中央、ドアとドア横の窓の間の中央です。この線は上段窓と戸袋窓の逃げ穴の縦線となります。

罫書きが終わったら2枚に切り離します。

次に内張り1をけがきます。内張り1は内張り2、外板と紙の目を直行させます。そして左右2枚分の用紙を粘着テープで先ほど切り離した外板と一体にします。

2段窓の窓枠となる部分をけがきます。この部分は上段用の窓枠部として一旦内張り1から切り抜きますが、その切りぬく部分の輪郭を罫書きます。戸袋窓の部分は2段窓ではないので上段窓枠部は切り抜きませんので注意してください。

テープを剥がして別体としたら長手方向の一辺のみにカッターナイフで切り込みを入れて裏返し、そこに切り抜いた場所がわかるように位置の目印をつけます。これは一度切り抜いた後切り抜いた部分を再び元の場所にはめ込む際の目印です。

切り離したら切り離した部分を一旦保管します

。次に外板の戸袋窓のみ窓を抜きます。

次に、外板と内張り1をスプレー糊で貼り合わせます。糊は外版にスプレーします。この時内張1の切り抜いた部分の下側の線が、上段窓枠の窓さんの下側の位置に来るように位置合わせします。左右方向は縦方向の辺の一旦(矢印部)で位置決めします。その位置で貼り合わせたら外板の罫書き線に従って窓を抜きます。角部の切り残しはサイドカッターを当てて確実に切り離します。むしり取ってはいけません、

窓抜きが終わったら、次に内張り1の先ほど切り抜いた部分を内張り1にはめ込みます。

この状態で外版の窓に合わせて現物合わせで戸袋窓と上段窓枠の位置を罫書きます。そして一旦窓枠部を外して上段窓の窓抜きをします。また、戸袋部分の窓も抜きます。上段窓ははめ込んだまま窓抜きをすると、定規と紙の間に隙間ができた状態で窓抜きすることになるので失敗の可能性性が高くなります。罫書き終わったら嵌め込んだまま切り抜かず、一度外して定規をしっかり当てて窓抜きすることが肝要です。戸袋窓は定規と切り抜き部に隙間はありますが、数は少ないので落ち着いて慎重に切り抜きます。

上段窓枠を元の場所にはめ込んで接着すれば上段の窓枠と戸袋窓部の窓枠が出来上がります。接着剤の塗布は爪楊枝の先につけた木工用ボンドで行います。上の写真でわかると思いますが、少し上段窓の大きさが左右で異なってしまいました。しかしこのまま進めることにしました。

次にドアを抜きます。まず直線部分を抜いてR部は丸ノミで抜きます。

次に最初に外板と一緒に縦線を罫書いた内張り2の罫書きを完成させます。切り抜き部分は下の写真のような形状となります。矢印の位置は上段窓の窓枠の上辺よりも若干下の位置になります。

正確な位置はこの2枚をテープで貼り合わせて下段窓枠位置を罫書きます

テープをがはして下段窓枠を窓抜きします。ドアーの窓は抜きません。貼り合わせてから罫書き、その後窓抜きします。

内張り2を貼り合わせると2段窓が完成します。

次にドア窓の窓抜きと鉄筆によるプレスドアの筋つけをします。

窓とプレス溝の位置を罫書いて窓を抜きます。定規と切りぬく部分に隙間があるので切り抜きは慎重に行います。私はドアに対する窓の位置の位置精度を考慮し、内張り2を貼り付けてから現物合わせで罫書いて、窓を抜いています。

窓の下のブレスドアの溝は鉄筆による筋つけで表現します。R部はテンプレート、直線部は定規を当てて筋をつけます。R部と直線部の筋つけが終わったらテンプレートや定規を用いずに溝に沿って鉄筆で再度なぞってR部と直線部がスムーズにつながるようにします。



ドア部の窓の窓抜きとプレスドアの筋付け作業が終了すると側板が完成します。

次回は妻板、前面の工作を説明します。