レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作<8>

<レールの塗装>
自動運転シーケンスの作成と集電性の確認も終わりましたので、レイアウトの工作に戻ります。レールが所定位置に固定されたら次に行うのはレールの塗装です。

その前に今回参照した参考書を紹介します。参考にしたのはMärklin Insider Club の会報であるMärklin Insiderの2000/6(2000年12月号)から9回に渡って連載されたKattenforst Layout ,A Layout with K track for beginnersというレイアウト製作法の記事です。現在Märklin INsider Club の会報は2ヶ月に一回、NEWS というMärklin Insider Club会員のための情報が記載された冊子と、街の本屋等でも売られているMärklin Magazinの2冊が送付されてきますが、当時はMärklin Insiderという会報が1冊送付され、その中にこのようなレイアウト製作記事等、模型雑誌的な記事が掲載されていました。記事の題名はK track for beginnersとあり、初心者向けのようにも思えますが、記事の内容は結構高度であり、Märklin はK trackのbeginnersのレベルを決して初心者ではなく結構経験を積んだモデラーに設定していることを伺わせるものでした。

レールの塗装にはRevel Color の品番#83という塗料を使用しました。これは上記の記事でレールの塗装に使用されている塗料と同一です。日本で広く市販されているタミヤカラーは金属に塗装するとすぐ剥がれてしまい使えませんが、Revell Colorや Humbrol colorは金属に塗装してもそれなりの塗膜強度は確保されます。現在Humbrol colorは日本では非常に手の入り難い塗料です(一時は完全に供給が途絶えていました)が、Revell Colorはドイツレベルの製品として、日数はかかるもののかなりの種類がヨドバシ・ドットコムでも入手可能です。#83はFlat Rustという名称の錆色でタミヤカラーやHumbrol colorでは製品化されていない色のようです。レールへの塗装は、まずラッカーシンナーを綿棒に染み込ませ、レールをゴシゴシ吹いてレールの油分を除去した後、マッハ模型製のエッチングプライマーを筆塗りし乾燥後に錆色を塗装しました。このレールの材質に対するエッチングプライマーの効果の程は不明ですが、真鍮へのラッカー塗装ではかなり効果があることが十数年後に再塗装をしようとして塗料を剥がそうとするとわかります。

レールは枕木側にはみ出し気味に筆塗りしていきます。枕木の犬釘部分の凹凸部は塗料を塗り付けるのではなく筆につけた塗料をその部分に置いていく感じで塗装していきます。レールの踏面は後で塗装を剥がすので塗装不要ですがはみ出しは気にせず塗装してしまいます。ただ、分岐器のクロッシング部のウイングレールは実物では車輪が通らずレール踏面は錆色のままですので塗装後塗料は剥がしません。この部分は確実にレールの上面まで塗装するようにします。

レールの塗装が終了したら、枕木部を塗装します。こちらの塗料はタミヤカラーを使用して筆塗りしました。色はフラットブラウンとフラットブラックを調合したものです。後でバラストを散布しますのでレール側にはみ出さないようにすればその他の部分にははみ出してもかまいません。ただし、サードレールに上面にはなるべくはみ出さないように塗装します。サードレールの材質は鉄に防錆処理(黒染め?)を施してあるもののようで、塗装後塗料を剥がす際、この表面処理部分を削ってしまうとレールが錆びてしまい終電不良を起こします。サードレール上で摺動しているピックアップしてシューが電気的な接触不良を起こすのは多分この錆が原因と思われます。とは言ってもこの表面処理を剥がさなくて済むようにはみ出さずに塗装するのは至難の技ですので、はみ出しはあまり気にせず塗装してしまい、塗装を剥がす際に表面を傷づけてしまったらオイルを薄く塗って防錆すると割り切って塗装してしまって良いと思います。


<バラスト散布の準備>
レールの塗装が終わったらバラストを散布したくなりますが、まだ散布してはいけません。実物の鉄道でも線路を敷設してバラストを撒く前に地面やホームの側壁は存在していると思います。まずこれらを作成します。まずホームの側壁を作成しますが、これにはMärklin Magazinの2001年第2号を参考にしました。

この雑誌は年代からしてまだMärklin Insider Club の会員にはMärklin Insider誌のみが送付されていた時代の雑誌のようで、他社の製品等も紹介されています。ただし言語はドイツ語ですので内容はほとんどわかりません。この記事の中に、駅の設備の解説が載っており、ホームの高さや断面の寸法が掲載されています。

この記事を参考に、ホームの高さ約10ミリとし、材質はコンクリートのブロックを並べたものとしました。その製作法ですが、まずEvergreen社製の3.2㎜x4.8㎜ の角棒を2本接着して9.6㎜x3.2㎜の角棒を作り、その角棒に10㎜間隔で糸鋸で筋を掘り込んで作成しました。筋の掘り込みにはジグとしてピラニアソーに付属している切断用のジグを使いました。

このようにして製作した側壁を、上記Märklin Magazinの記事に従い、塗装後に線路の中心から19㎜の位置の取り付けました。同時にホーム部分も木製の角材で作成しました。取り付け後は手持ちのこのレイアウトで運転する可能性のある車両すべてでホームとの干渉チェックを行ないます。

次に地面の製作ですが、地面はTomixのシーナリーパウダーを使用して作成します。今回レールは直接ベース板状に固定してあり、地面は極力薄くする必要があります。私はまず線路の枕木の横に3㎜の檜角棒を固定し、その外側に水で溶いたシーナリーパウダーを流し込むこととしました。なお、その際流動製の良いシーナリーパウダー水溶液がポイントマシン内部に流れ込むのを防止するために、ポイントマシン周りはFandoという石粉粘土で囲いを設けました。

この作業が修了したら地面の造成を行いますが、この作業と同時に、ホーム部分の地形の造成も行います。この造成にも前述のFandoとTomixのシーナリーパウダーを使用しますが、この造成作業は地面の作成と合わせ次回の説明とさせていただきます。