ジオラマ:”旧市街のクリスマス”:その2

<ベースと線路>
今回のジオラマ のベースの構造を下に示します。図には記載していませんが、長さは1260㎜です(180㎜のメルクリン Kトラック7本分です)。

今回のジオラマは街の風景が主体ですのでまずは線路と街並みの位置関係を検討しました。今回はトラムの軌道を道路に敷設することにしましたので踏切を避けるため線路の高さと街のグランドレベルに高低差をつけることが必要になりますが、その方法はメインラインを高架線とする方法とメインラインを街並みの下部に置く方法が考えられます。東京で言えば、有楽町から神田にかけてのレンガアーチによる高架橋と市ヶ谷付近の中央線が街の一段下のレベルを走るパターンです。

線路を高架線する場合、街並を線路で分断しないためには高架橋を奥側に配置する必要があります。一方、線路を街より低いところに配置すると線路は手前側に配置することになります。前者の方が街並と線路の一体感が出るような気がしますが、ジオラマのデザインとしては前者の方が難しいような気がします。一方後者は一番手前に線路が配置されますので、手前の線路が車両の展示台することもできます。また、前者は線路側に道路を跨ぐ橋梁を設けることになりますが、後者は道路側に線路を跨ぐ橋梁を設けることになります。どちらにするかを悩みましたが最終的には後者の線路が一段下がった構造とすることとしました。その構造が上図で9㎜厚のシナ合板と15×15㎜の角材で組み立ててあります。街並と線路の段差部分位はFallerの石垣(#170805)、線路の手前側にはFallerのレンガ壁(#170805)を塗装して貼り付けました。

用いた線路はメルクリンのKトラック180㎜長(#2200)を間隔57㎜で敷設しました。長さは7本分の1260㎜です。端面には給電用としてファストン端子が接続できるタブを設けてあります。

架線柱と架線はViessmannのスターターセットを用い、不足分はメルクリンの架線システムで補いました。いずれもSommerfeldt社のOEM製品で、同じシステムです。バラストはHekiの#3171を用いました。日本ではあまり見かけない色で、欧州でもこのような色のバラストがどの程度用いられているかは不明ですが、2000年ごろのMärklin Insider誌のレイアウト製作記事にはこの色調のバラストが用いられており、その落ち着いた色調が好ましく感じられたため、今回使用することにしました。石垣下端のコンクリート製の構造物はプラ板とEvergreen製の型材による自作です。

<道路と道路橋>
次に検討したのは道路をどのように配置するかです。街並を作る上段手前側を道路とすることにそれ以外の選択の余地はありませんでしたが、線路を渡る道路橋をどこに設けるかが検討課題です。線路と並行の道路に交差する道路にはトラムの軌道を設けますのでそれなりの幅が必要です。最初は漠然と道路と線路は直行させ、道路橋には御茶ノ水橋のような鉄骨ラーメン構造の橋を自作しようかと思っていたのですが、実際にベースを作って建物の配置を検討してみるとそれでは変化に乏しいのではと考え、鉄骨ラーメン構造の道路橋は諦め、交差角60度の交差点に配置することを前提としたKibriのTown Houseの使用を前提に交差角を60度として、交差点をベースの右端に配置しました。これにより、トラムの軌道の長さが稼げるとともに、結果的によりヨーロッパらしい街並が再現できたかなと思っております。

次に橋の構造を考えました。最初鉄骨ラーメン構造の橋を作ろうと思っていたのは道路下のガータ部分の高さが比較的低くでき、その下に架線付きの線路を通すのに好都合ではないかと考えていたからです。しかし、道路と線路の交差角を60度にしたため、その構造は諦め、普通のガーター橋とすることにしたのですが、もう少し変わった構造はないものかと思っていたところ、東京の市ヶ谷駅付近の水道管橋に、下側の端面が斜めになったガータ橋があることに気付き、その形状を採用しました。

橋梁はプラ板とEvregreen製の型材の組み合わせで、下側から覗き込んだ時にも実感的に見えるよう、実物と同様複数のガーターを道路の下側に配置してあります。おかげで塗装には苦労しました。橋脚は石垣側は曲線部をメルクリンの橋脚(#7253)とし、その間に石垣を模したプラ板を貼ってあります。手前側の橋脚はプラ板での自作です。

トラムの軌道は篠原のコード70 レールで作成しました。線路の敷設はレールをスパイクするのではなく短冊状に切断し中央に切り込みを入れて絶縁したプリント基板にレールをはんだ付けするという、当時Model Railroader誌に掲載されていた方法で作成しました。道路のベースは3㎜厚のコミックボードを使用し、目止めをした後、タミヤのグレーのエナメルを吹き付けて仕上げてあります。作成当時はまさか篠原模型店が廃業してしまうとは思ってもいませんでした。学生時代「模型屋のおじさん」がいらした模型店が後継者がいないせいか、廃業していくのは寂しいものですが、同時に私もいい年になってしまったなと思う今日この頃です。

以上説明したように、ヨーロッパの風景の再現と言ってもプロトタイプには見慣れた東京の風景のイメージも取り入れて作成してあります。毎日見慣れた風景ではなく、資料も比較的乏しい(インターネットを見れば資料はいっぱいありますがそこから自分の好みのプロトタイプを探し出すのは至難の技ですし、そこまでしなくても良いと考えています)が故に、細部にあまりこだわることなく比較的自由な発想で欧州のどこかで見たような風景が再現できるように構想を練るという面白さがこのようなジオラマの作成にはあったような気がします。今はブラタモリをはじめ、街歩きをテーマとしたテレビ番組が多数放送されており、街歩きがブームのようですが、レイアウトを構想しながら、何かいい題材がないかを探すのは鉄道模型を趣味とする者のみが感じられる面白さかもわかりません。

次回は建物等の建造物について説明させていただきます。