模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その6

前回までで車体が箱状になりましたのでここからは屋根の削りと下地処理に進みます。まず側板から屋根にかけてサーフェサーをスプレーします。これは下地処理(屋根板の目止め)ではなくこの後の屋根Rの削りや前面の凹凸の修正時に削り箇所を目立たせるために行うためなので厚く塗る必要はありません。サーフェサーは最初に紹介したタミヤのファインサーフェサーを使用しました。

次に屋根削り用に屋根のゲージを用意します。模型用設計図をコピーし厚紙に貼り付け切り抜いたものです。

模型用設計図の屋根の形状のところに屋根板を合わせて置くと屋根板のRと実際の屋根Rとの差が明確になり屋根板をどのあたりから削り始めなくてはいけないかが明確になります。屋根板が屋根のカーブから外れる位置を私は実測で側板から8.5㎜としました。また肩Rの接線と削る前の屋根Rとの交点を求めると3.5㎜になりましたのでまず側板より内側3.5㎜のところに線を引き、板に貼り付けた粗めのサンドペーパー(私は#280を使いました)で引いた線のところまで屋根板を斜めに削ります。削る際は屋根板を側板との接続部まで削ることを意識します。

概ね肩部の削りが終わったら側板から8.5ミリ内側に線を罫書きます。そしてその線を消さない様に(その線より内側は削らない様に)注意しながら先ほど削った肩部のRと滑らかにつながる様に削っていきます。削っていくと肩部Rと交わるところに稜線ができます。その稜線の側板との距離が車体長さ方向で一定位置になる様に削って削り終わったらその稜線部分とが滑らかにつながる様にさらに削っていきます。

ある程度削ったらゲージをあててみます。まだ削り不足です。

ゲージを当てると削り不足がどの辺りか(削り不足は肩Rかそれより内側のRか)がわかりますの削り不足の部分をさらに削って屋根Rをゲージに合わせていきます。70系は80系に比較して肩部のRが大きいなで肩が特徴ですので肩Rの削り量は他の車両の削り量より多くなります。

屋根Rが大体ゲージ通りになったら側板部分をマスキングして屋根部分にマスキングをして溶きパテを塗ります。溶きパテは筆ムラが残りやすいので注意します。側板をマスキングするのはパテが側板に垂れない様にするためです。

パテが乾燥したら屋根の目止めとしてパテ部分に満遍なくヤスリが当たる様にパテを削ります。削り不足の部分は木の地肌が見えてきますがここではそのままにしておきます。この状態で前面の整形に入ります。

まず板に貼った粗めのペーパーで出っ張り部を削ります。ペーパーの突起部も削ることになりペーパーの表面がささくれますが気にせずに削ります。

概ね凸部が削れたらサーフェサーを筆塗りします。溶きパテは筆ムラが出ますので使用しません。パテが乾燥したら再びサンドペーパーで出っ張った部分を削ります。

サンドペーパー番手を次第に細かくしながらこの作業を繰り返して段差とペーパーのささくれをなくしていきます。そうするとペーパーが当たらない凹んだ部分が出てきますのでその部分にはパテを盛りさらに同じ作業を進めます。パテはいきなり継ぎ目に盛らずに凹んだ部分がわかってからその部分だけにパテを盛ります。そうしないと乾燥に時間がかかるとともに盛り上がった部分の削りが大変になってしまいます。ある程度仕上がってきたらおでこの部分も整形します。

形状が整ってきたらサーフェサーの塗布を筆塗りからスプレーに替えて同じ工程を繰り返します。この作業を表面の段差、ペーパーのささくれがなくなるまで行ないます。またこの時鼻筋(pants crease)をはっきり出す様に意識します。

ここまでクハ76で説明しましたが、中間車についても同じ工程を進めます。妻板の部分の凹んだ部分や屋根板との隙間はパテを盛って整形していきます。最後に側板と妻板の接続部にRをつけます。この角部の形状は80系とは異なりクモハ54やクハ68と同じ形状です。

最後に再度屋根Rをチェックします。前面を加工する前に屋根にペーパーがけを行ないきの地肌が出たところにサーフェサーを塗ると光沢が出て光の陰影で稜線があることがわかりますのでその部分を削ります。削ったらサーフェサーを塗ってチェックし、稜線があれば削るという作業を稜線がなくなるまで続けます。連続作業ではなく、時間をおいてからチェックすると見落としているところに気がついたりします。

この作業を繰り返した後、サーフェサーを吹いて下地処理工程は終わりとしました。

次回はウインドシル、ウインドヘッダーや雨どい等の取り付けに進みます。完成まであと一息です。