模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その7

今回は前回説明したサーフェサー処理を終わった車体にウインドシル、ウインドヘッダー,雨どいを取り付けて車体の基本部分を完成させる工程を説明します。

使用するペーパーはウインドシル、ヘッダーがラベル紙、雨樋はラベル紙とバロンケントです。これまで作成した作品ではウインドシル、ヘッダーは薄手のケント紙やアート紙を使用して木工用ボンドで貼り付けていたのですが、木工用ボンドを使用して貼り付けるとどうしても木工用ボンドがはみ出てしまい修正に手間取ったり修正しきれずに車体に残った接着剤により車体に凹凸ができてしまっていました。そこで今回から全面的に車体との接着剤には木工用ボンドは用いずにラベル紙を最大限利用して作成することにしました。

まずウインドシル、ヘッダーについて説明します。使用したラベル紙はエーワンラベルシール 品番06036です。このラベル紙は比較的厚手のもので。暑さが約0.1 ㎜のものです。小サイズですので一両分の長さを一度に切り出すことはできないのですが、A4サイズのラベル紙はプリンタの通紙性を考慮してあるためかなかなか厚手のものが見つからなかったため、このラベル紙を用いました。

まずラベルを2枚貼り付けて表面にサーフェサーを吹き付けます。そしてウインドシル用として幅1.5㎜、ウインドヘッダー用として幅1.0㎜の帯板を切り出します。この時の罫書きではシャープペンシルは使わず、罫書きばりでつつきマーキングします。この方法で切断位置をマーキングすることにより、シャープペンシルの芯の太さ(芯の用紙への当て方)の影響が防止できます。また罫書きは必ず1本分ずつ行なって帯板を切り出すことにより寸法の累積誤差を防ぎます。また、常に切り出し後の寸法をチェックし、失敗作は迷わず廃棄します。

この様にして切り出したウインドシル、ヘッダーを車体の貼り付けます。ラベル紙の粘着力は弱いので、曲がっていたり位置がずれていても定規を当てて位置をずらして位置合わせをしたり曲がりを修正することが可能です。また車端部はシル、ヘッダーとも妻板の方に回り込ませます。この様にして位置が決まったらウインドシル、ヘッダーをドア部で切断します。この切断にはカッターナイフよりより刃の薄いデザインナイフを用い、上から押す様にして切断します。

雨樋は2段雨どいの表現をしますが、これは下図の要領で作成します。まずは薄手のラベル紙にスプレー糊でバロンケント#200を貼り付けます。これで裏紙付きのバロンケントができます。さらにバロンケントの表面に2段雨どいを表現するためのラベル紙を1枚貼り付けます。ここで使用したラベル紙はエーワンラベルシール、品番28494です。

雨樋は幅1.25㎜としますが、罫書き(マーキング)は一端より0.5㎜、1.25㎜の位置に行います(罫書き針でマーキングします)。

そして0.5㎜の罫書き線のところに定規を当ててカッターナイフで表面のラベル紙のみを切断します。その後幅1.25㎜に切断します。

その後、上側0.5㎜を残して下側のラベル紙を剥がします。この際上のラベル紙のみに切り込みを入れる作業でラベル紙の切り込み量が多い(下のバロンケントまで切り込んでしまう)とバロンケント側の紙の層も一緒に剥がれてしまいます。そのためラベル紙の切断方法には注意が必要、というよりは数回失敗して要領を掴む必要があります。難しい様ですが要領を掴めば比較的簡単に行うことができます。ただしカッターナイフの刃のへたり具合でも感覚は異なってきますので作業は一気に行うと良いと思います。

作業が終わったらその雨どいを車体に貼り付けます。位置は側板の下端から雨どい下端まで27.5㎜です。定規を当てて曲がりを修正しながら貼り付けます。貼り終わったら端面は妻板側に2㎜程度回り込ませて切断します。またクハ68の前面にはペーパー製のホロ枠座を取り付けます。このホロ枠座は雨どい用に作成したペーパーの一部を使用して作成します。

ウインドシル、ヘッダーが完成したところで次にクハ68の前面部分の雨樋を作成します。写真の様に模型用図面を利用した型紙を作成して前面用の雨どいを作成、ラベルシールの裏紙を剥がした後前面に貼り付けます。この際、曲面部の切断はデザインナイフで行います。またラベル紙のみに切り込みをいれる際は、カッターナイフで曲面に合わせて切り込みを入れていきます。他の妻板の雨どいも同様の方法で作成し、貼り付けます。

ここまで完成したら再度シル、ヘッダー雨どいの位置を確認し、ずれているところがあれば修正します。ラベル紙の粘着力は比較的弱いので、作業中にずれてしまうことがありますので注意が必要です。また局面に貼ったところが剥がれている場合があります。その様なところを発見したら再度貼り付けるのでのみではなく極少量の木工用ボンドで局面部近傍を接着して浮き上がりを防止します。また、確認の際は個々の車両で確認するだけではなく、編成全体で高さが合っているかを確認します。そして問題ない様でしたら全面ににサーフェサーをスプレーし、ウインドシル、ヘッダを固定します。この際、屋根板と妻板の雨どいに隙間が生じている場合はその部分をパテで埋めた後サーフェサーをスプレーして仕上げます。

これで車体の基本部分が完成しました。この後床板の固定部材を作成するとともにドアの上部のウインドヘッダー、テールライトのはめ込み等細かい部分のディテール工作を行い、さらに市販のパーツをつけていきますが、これらのついては次回説明します。車体の完成まで後一息です。