ジオラマ”ALTENHOF機関区”の紹介とMärklin CS3による自動運転(その4/最終回)

(7) 機関車のプログラミングその3:機関車ごとの設定を組み合わせたシーケンス運転(セッションシーケンスの作成)

最後に今回作成したセッションシーケンスについて説明させていただきます。なお、最初にお断りさせていただきますが、以下の手順、方法は私が実際に行なったものですが他にもやり方は色々あると思いますのでひとつの参考としてお読み下さい。また、この記事に従った設定で万一システムの故障等が発生しても当方では責任を負いかねますのでご理解どご了承をお願い致します。

今回作成作成したジオラマと入換用の線路、コンタクトトラックの配置は下図の通りです。またピンクが初期状態で各線路に配置されている機関車です。

<各機関車の設定初期化のためのロコシーケンスの作成>
まず、前回説明したセッションシーケンス開始時に機関車の初期状態を設定するロコシーケンスを作成します。進行方向をどちらにするか(最初にどちら側のヘッドライトを点灯させるか)、Operation SoundをONにするか OFFにするか、Running Gear Lightを点灯させるか否か等を設定します。これを各機関車について行います。下図は011057の設定例です。


<各機関車の設定初期化のためのセッションシーケンスの作成>
各々の機関車の初期化のためのロコシーケンス作成が終了したらそれらのロコシーケンスを一つのセッションシーケンスにまとめます(event内にロコシーケンスをドラッグ&ドロップします)。その後ドロップした各々のアイコンをタップするとポップアップ画面が表示されます。そこにDelay時間の入力欄がありますが、ここには当該のロコシーケンスを開始してから次のロコシーケンスを起動するまでの時間を設定します。たとえば01147のロコシーケンスの次に011057のロコシーケンスを設定し、01147のDelay時間を3秒とすると01147のロコシーケンス開始から3秒後に011057のロコシーケンスが起動します。


<各機関車を移動させるセッションシーケンスの作成>
「その3」において0420968で例示したような各機関車について作成したロコシーケンスをevent内に順番に並べていきます。今回の例では
<1> 031012をC3からC7に移動させるロコシーケンス
<2> 011057をC1からC6に移動させるロコシーケンス
<3> 0420968をC3を経由してC8に移動させるロコシーケンス(その3で例示)
<4> 031012をC7からC1に移動させるロコシーケンス
<5> 01147をC2からC5に移動させるロコシーケンス
<6> 031012をC1からC7に移動させるロコシーケンス
といった具合に並べてあります。上記の設定で機関区から機関車がいなくなりますで、この後機関車を元に戻すロコシーケンスを設定していきます。機関車を元に戻すセッションシーケンスは別に作成し、セッションを分けて個々に起動できる様にしても良いかと思います。

<各機関車の設定初期化のためのセッションシーケンスの埋め込み>
ロコシーケンスをevent内にすべて設定したら次にに先頭に各機関車の設定初期化のためのセッションシーケンスをこのシーケンスの先頭に挿入します。

<各々のロコシーケンスに対するDelay時間の設定>
上記の作業でこのセッションシーケンスの機関車に与えるコマンドはすべて設定されましたので次にセッションシーケンス内の各ロコシーケンスにDelay時間を設定します。このDelay時間はあるロコシーケンスを開始してから次のロコシーケンスを起動するまでの時間になりますので各ロコシーケンスの所要時間を勘案してその値を決めていきます。機関車の経路に干渉がなければ(機関車の衝突のおそれがなければ)あるロコシーケンスが終了する前に次のロコシーケンスを起動させて同時に2台の機関車を移動させることが可能です。前回述べたように模型時間の感覚がこの調整にも必要になりますでこの設定は試行錯誤しながら気長に行うことが肝要です。
これでセッションシーケンスの作成が完了します。

<セッションシーケンス作成後の注意>
上記の説明でわかると思いますが、このセッションシーケンスにおける各ロコシーケンスのDelay時間は他のロコシーケンスの所要時間に応じて設定しています。したがってセッションシーケンスにおいて各ロコシーケンスのDelay時間を設定した後にセッションシーケンスに設定してあるロコシーケンスの速度やfunctionのDelay時間を変更し、ロコシーケンスの所要時間を変えてしまうとセッションシーケンスによる自動運転中の機関車の相対位置が変化してしまいます。このためセッションシーケンス作成後にロコシーケンスに所要時間が変化する変更(速度値やDelay時間の変更)を行うとセッションシーケンスのDelayの値の全体的な再調整が必要になる場合がありますので注意が必要です。

以上で説明を終了します。最後までお読みいただきありがとうございました。今回は比較的簡単な例を説明させていただきましたが、実際に作成して感じたことは、近くで見たときに鑑賞に耐えるシーケンスを作成するためにはジオラマを舞台、機関車を役者に見立てて、台本を作成した上でその台本に従ってシーケンスを作成していく必要があるのではないかということです。なかなか奥の深い世界のようです。今後も検討を重ね、改良版をこのブログに記載させていただきたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。