ジオラマ:”ALTENHOFのクリスマス”:その3

前回、ベースと全体の構成を説明させていただきましたので、今回は建物の説明をいたします。

下の図と写真ははこのジオラマの平面図と全体の建物の概要です。前回記載したように街並は線路より一段高い位置にあります。この街の部分は、線路と並行に道路を設け、中央付近にその道路と直行する道路(T字路)、右側に60度の角度で交わる路面電車軌道のある十字路を設け、この道路は道路橋により線路をオーバークロスします。建物はこの道路に沿って配置してありますが、十字路の片側にKibriのタウンハウスを配置し、その反対側は建物を道路と並行に配置し空いたスペースをクリスマスマーケットやカフェの敷地としてあります。前回60度の交差点はヨーロッパのイメージと記載しましたが、交差角を持つ交差点は、街並に変化をつけるという意味でも効果的です。東京でも日本橋三越別館、浅草松屋は交差角のある交差点に建っておりますが、正面からみると奥行きが強調されるせいか堂々とした雰囲気があり街のランドマーク的な存在となっています。このジオラマでもこの交差点の周囲が街の中心街となります。

町並みに並ぶ建築物はKibri,vollmerのプラキットを用いていますが、カタログの中から私が感じる「ヨーロッパらしい」印象の建物を選択しました。このうちKibriのB8380(Viessmann38381)とKibriのB8378(Viessmann38379)は実在の建物です。KibriのB8380はドイツのオランダ国境に近いLeerという街にあるCity Hall, B8378はGernsbachという街にあるCity Hall,で、いずれもネットで実物の画像を見る事ができます。LeerのCity Halは1894年に完成した建物で、横浜の開港記念館に似た建物ですが、German ~Dutch Renaissance様式と言われる建物だそうです。またGernsbachのCity Hall,は1617年に建造されたRenaissance様式の建物だそうです。その他の建物はそれらに比較すると近代的な印象ですが、雰囲気としてはGerman ~Dutch Renaissance様式やRenaissance様式の流れを汲んだ印象の建物となっています。建物選択の際に建築様式の知識があったわけではありませんが、ヨーロッパのイメージに合う建物を選択した結果、結果的にそのようになったという感じです。

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ジオラマ:”ALTENHOFのクリスマス”:その2

<ベースと線路>
今回のジオラマ のベースの構造を下に示します。図には記載していませんが、長さは1260㎜です(180㎜のメルクリン Kトラック7本分です)。

今回のジオラマは街の風景が主体ですのでまずは線路と街並みの位置関係を検討しました。今回はトラムの軌道を道路に敷設することにしましたので踏切を避けるため線路の高さと街のグランドレベルに高低差をつけることが必要になりますが、その方法はメインラインを高架線とする方法とメインラインを街並みの下部に置く方法が考えられます。東京で言えば、有楽町から神田にかけてのレンガアーチによる高架橋と市ヶ谷付近の中央線が街の一段下のレベルを走るパターンです。

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ジオラマ:”ALTENHOFのクリスマス”:その1

ヨーロッパの旧市街のクリスマス風景の再現を試みたHOレイアウト(ジオラマ)を紹介させていただきます。概要は下記の画像をご覧ください。

<製作の動機>

私は長年車両の模型を製作してきましたが、車両模型と言うものはいかにプロトタイプを再現するかと言うことに注力して製作を進めていきます。そのため模型化の対象とする車両の好みのプロトタイプを選択するという作業はありますが、その対象自体を構想するということはありません。車両でこの作業ができるのはフリーランスの車両を製作するか、架空の鉄道をイメージし、その中で実物の車輌をその鉄道向けにマイナーチェンジするということになります。ただこれを行うには実現のための確固なテーマ(製作のモチベーション)。というようなものが必要になりますが、私にはなかなかそこまで踏み切れません。その点、レイアウト(ジオラマ)の製作には、鉄道という舞台の中である程度自由なイメージで構想を考え、実現するという面白さがあります。この面白さを味わいたいと思い製作したのがこのブログでも紹介させていただいたメルクリンシステムを使用したARTENHOF機関区のジオラマで、そのジオラマ にメルクリンデジタルの自動運転機能を加えて楽しんでおりました。そうこうするうちに今度は鉄道主体ではなく人間の生活を主体とし鉄道を脇役としたジオラマを作成してみたいと思うようになりました。そう思った理由の一つはPreizerのフィギュアです。このフィギュアを見ていると、この開発者は人類行動学者かマンウオッチャーではないかと思うくらい実際の生活で起こるシーンが再現されています。ジオラマと言う舞台を作成し、車輌をその中に置くと車両が引き立って見えることは周知の事実ですが、このジオラマは はPreizerのフィギュアに活躍の場を与える鉄道を脇役とした舞台だと言っても良いかもわかりません。

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模型車両の紹介:C12の牽引する貨物列車

C12が牽引するローカル線の貨物列車を紹介させていただきます。C12はカツミのシュパーブラインシリーズのバラキットを組み立てたもので、1977年ごろの作品です。貨車はそれ以降に購入、製作したものです。

私が鉄道模型を始めたのは前回の東京オリンピックの年である964年ですが、その頃模型店やデパートのショーウインドウに鎮座していた蒸気機関車がカツミ模型店製のシュパーブラインシリーズでした。そのC62の価格は1万円を超えるもので、とても庶民に手の届くものではありませんでした。当時の小学生にとってはスケールモデルはとても入手できるものではなく、お年玉をためて増備できるのはカツミ模型店のEB10、つぼみ堂模型店のCタンク等でした。

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模型車両の紹介:キハ10+キハ11

模型車両の紹介:キハ10+キハ11

フェニックス模型店のキットを組み立てたキハ10とキハ11を紹介させていただきます。1980年頃に製作した作品です。キハ10、キハ11は、DMH17エンジンとトルクコンバーターを用いた一連の一般型気動車の礎となり当時400両以上が製造されたキハ17の一族でキハ10がWCなし、キハ11がWC付きの両運転台車です。

東京在住の私の年代ですと、小学生の頃には房総方面にはまだ蒸気機関車が牽引する列車が少し残っており、夏休みに海水浴に行く際に利用することもありました。蒸気機関車が牽引する列車に乗車すると夏の暑い中、トンネルに入るたびに窓を閉めなければならず、目的地に着くまでには衣服や髪の毛も煤で汚れてしまっていたことを覚えています。キハ17系の車内設備はその頃使用されていたオハ35等の客車に比較して大きく改良されているとは言い難いものですが、このような煩わしさがないという所には大きな差があり、気動車列車の快適さを実感したものでした。

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模型車両の紹介:EF6446(7次量産機:中央西線電化開業用)

8月にご紹介したEF64と重連にすべく作成したEF64をご紹介させていただきます。作品は1978年ごろの作品です。

EF64が中央棟線に投入された当初は甲府以東はED61が重連で運用されており、EF64牽引の貨物列車を見る機会は比較的少なかったのですが、ED61重連は70年代後半次第にEF64重連に置き換えられていきました。私が中央東線に列車の撮影によく行った時期は、客車列車が電車化されてED61がEF64に置き換わった後でしたので、EF64でまず思い浮かぶのは重連で貨物列車を牽引する姿です。というわけで前作のEF64と重連を組ませるためにもう一台のEF64を製作した次第です。使用したキットは前作と同じしなのマイクロ製のキットです。

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模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その10(最終回)

この旧型国電製作記も10回目となりました。今回は最後の工程である塗装と細部の仕上げについてご紹介させていただき、この製作記を完結したいと思います。
下記にこれまでの説明をダイジェスト版の動画にまとめましたのでよろしければご覧ください。


塗装はエアーブラシによる吹き付け塗装で行いました。塗料は屋根とプラ製の床板を除きマッハ模型の鉄道調色塗料を使用しています。ペーパー車体ですので市販の鉄道スプレーも使用できますが、私は数十年前から金属、ペーパー車体を問わずこの塗料で塗装をしています。

私が塗装に使用しているエアブラシ機材は今から30年以上前にエコーモデルさんで購入したトーマスデラックスアートセットで、エアーブラシはタミヤスプレーワークスのノズル径0.3㎜です。購入当時使用したエアーブラシはエコーモデルでお勧めいただいたBADGER350で、最近まで使用していたのですが吐出の調整が非常に難しいため現在は使用していません。このエアーブラシは現在でもタミヤで販売されているようで、購入時バジャー のジョイントサイズに合わせた変換プラグも購入しましたが、この変換プラグとバジャーのホースはタミヤのスプレーワークにもそのまま使用できます。

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模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その9

今回は、いよいよ仕上げの段階として細かいディテールパーツ、手すり、配管等のの取り付けを行います。また床下機器を取り付け、車体、下回りとも、あとは塗装を残すのみという状態に完成させるまでをご紹介させていただきます。

晩年の旧型国電は各種の改造を受けており、ナンバー毎に車体の特徴が異なります。市販のキットもナンバー毎に発売される例もあり、完成後の車体のイメージは細かいでディテールをどのような形態にするかで決まるとも言えます。今はネット上に特定ナンバーの写真も多数アップされています。特定ナンバーの車両を作ることもできますが、特定ナンバーとする場合、厳密にはそのナンバーのいつの時代かによっても詳細部分は違います。私は、ナンバーにはこだわらずに自分の好みのタイプで製作しました。

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模型工作:ペーパー製旧型国電製作記 その8

前回までで車体の基本部分が完成しましたので引き続きドア上のウインドヘッダー、テールライト、耐寒型のタイフォン、パンタ台およびパンタ部のランボードでの取り付けを行います。これらのパーツは車体と隙間なく取り付けることが必要なパーツで、取り付け後必要に応じて車体と取り付けた部品との隙間をパテ等で埋める作業が発生するためまず最初に取り付けます。また今回は床板と車体側の床板取り付け板を作成し、台車、カプラー(ドローバー)を取り付けて線路上に編成状態で置けるところまでを行います。

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模型車両の紹介:国鉄9600が牽引する北海道の貨物列車

珊瑚模型店のキットを組み立てた9600とその9600が牽引するために製作した貨車をご紹介させていただきます。

この9600は以前ご紹介させていただいたC62 2とC62 3を製作した少し後に製作したものです。C62が北海道の蒸気機関車の花形スターであれば、貨物列車を牽引する北海道の9600はその対極にある地味な機関車と言えるかもわかりません。そのC62の対極にあるとも言える機関車を製作してみようと思い立って製作したのがこの作品です。9600は色々なタイプの機体があり、当時の雑誌等でも北海道の色々なタイプの機体の写真が多数紹介されていましたが今回はあえて特定ナンバー機とはしませんでした。

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