鉄道趣味を50年続けて思うこと(5) ~Prototype Modeling~

昔から夏は鉄道模型シーズンではないと言われています.確かにエアコンが普及していない時代には暑い夏(と言っても昔は今ほど暑くありませんでしたが)に集中力が必要な細かい工作はあまりやる気になりませんし, 汗をかきながら動いている車両をじっくり眺める気にもなりませんでした.ただ現在の私は仕事をリタイアし, 会社の夏休みに合わせて混雑している場所に出かける必要もなければ子供をどこか旅行に連れて行く必要もありません. 家にはエアコンもあり, 昼間は暑すぎるためどこへも出かける気にならず涼しい家にいる時間が比較的多くなっています. それにもかかわらず模型を製作する気にならないのは単なる昔からの習慣でしょうか?

ということで模型の製作は一時休業で, 涼しい部屋の中で読書などをして過ごしています.
読書は以前読んだ小説を改めて読んだりしていたのですが, 最初に日常読んでいる鉄道模型関係の雑誌に興味深い記事がありましたので紹介してみたいと思います. 


ModelRailroader誌の9月号には米国カリフォルニア州にあるTehachapi Loopを再現したレイアウトが紹介されていました. このレイアウトは72x128feet(22×38.5m)のスペースに設置された複層式のレイアウトで,線路の総延長は1800feet(548m)に及びます, この長さは実物に換算すると実に47kmになり, このレイアウトを列車が走破するのには約1時間かかるそうです. 日本でループ線のある上越線清水峠の水上・越後湯沢間は約35kmで所要時間は約40分ですので, 清水峠をそのまま1/80に縮小したレイアウトを製作しようとするとこのレイアウトにほぼ匹敵するイメージになるのではないかと思います. このレイアウトは個人所有ではなく博物館に設置されたレイアウトで, 現在の姿になるまでには長い期間がかかったようですが現在は製作に携わった地元の鉄道模型クラブが運行しいます. 線路長が実物を縮小した長さであるため運転は過去に実在したダイヤで実時間による運転が行われているようです. 欧米では保存鉄道を愛好家が運転している例はメディア等でも数多く紹介されていますが, これはその鉄道模型版といったところでしょうか. 現在レイアウトはDCC化されているようですが運転には最大35名以上の人員が必要であるということで, 展示施設内のレイアウトですから好きな時に運転というわけにもいかないと思われますのでクラブは運営面でもきちんとしたマネジメントが必要になると思いますし, メンバーがこのような運転を整然と行なっていることもある意味すごいことであると感じます.
一方別の記事では実物の写真をベースとして製作したペンシルバニア州Port Royalの駅とその隣にかかる橋の写真から製作したレイアウト(ジオラマ?)が紹介されていました. この記事にはProototype Photoをベースとしたモデルがあったらその写真を実物の写真とともに投稿してほしいという編集部のコメントもついています.最近日本の鉄道模型雑誌では実物をの一部をそのまま縮小したようなレイアウト(ジオラマ)の記事が多数発表されていますが, 前者のTehachapi Loopを再現したレイアウトは別として, ある程度大きなスペースがあっても実物をそのままスケールダウンした風景をレイアウトに組み入れて運転を楽しむのは結構難しいと思われ, 列車を運転することが主流の米国では日本のように実物を縮小して再現したレイアウトセクションの製作はあまり行われていないと思っていましたので, 最初にこの記事と編集部のコメントを読んだ時は少し意外な感じがしました.
一方, 同誌の10月号には米国鉄道模型界の重鎮の一人, Tony Koester氏のコラム記事 ”Train of the thought” にPrototype Modelingについての記事が掲載されていました. この記事では実際の情景をレイアウトの中にどのように取り入れるべきかということが実例を交えて述べられおり, その内容は
・ プロトタイプ モデリングの目的は, 特定の場所の特定の時間における外観と雰囲気を再現することである
・プロトタイプ モデリングによるレイアウト製作においては上記のような場所を複数組み合わせて全体を一つの鉄道にまとめていくことが必要である.
・プロトタイプモデリングはその場所や線路配置をそのままスケールダウンする必要はないが, Prototypeの何を表現するかをよく考えること. その際にある程度の妥協は必要ではあるが, 再現したいシーンの本質を捉えて安易な妥協はせず, 鑑賞者ににもその場所や時代を感じてもらうことが必要である.
といったような内容でした.そして実際に同じ場所を複数のモデラーがどのように実物の情景をアレンジしてレイアウト上に再現したかが解説されていました.

上に記載したModelRailroader誌の記事

私がこの記事を読んで感じたのはここでTony Koester氏が述べていることは,以前このブログでもよく話題にした故・中尾豊氏の ”鉄道模型の造形的考察の一断面” のレイアウト版ではないかということです. 中尾氏の論じている対象は車両を模型化する際に車両が「実感的」であるための視点であり対象はレイアウトではありませんが, スペースの限られたレイアウトに実物の風景を再現しで実感を得るためにはこの記事とは別のアプローチが必要で, それが上記の記事の言葉に要約されているように感じました. この記事を読んで改めて9月号のPort Royalの駅の記事を見ると編集部のコメントは決して実物写真をそのまま再現したレイアウトの写真を募集しているのではなく, この記事のような形で製作したレイアウトとそのベースとなった写真を求めているのではないと気がづきました. 

車両はその実感を求めるためにその一部をデフォルメする事はあっても, 通常一部分のみスケールを大きく崩すということは行いません. しかしレイアウトの場合にはスペースのみならずカーブ半径ひとつとってもスケール通りに製作できないという根本的な矛盾を抱えており, これは上記のTehachapi Loopを再現したレイアウトでも同じです. そのため実物の風景を「実感的に」再現する場合には実物を構成している要素を分解して再構築するという 車両の模型化とは異なる結構創造的な作業が必要になります. そして私はそこがレイアウト製作の醍醐味であるという気もします. もちろん私は実物の風景をそのまま再現したレイアウト(ジオラマ)を製作する楽しさを否定するものではありませんが, 運転という観点では何かと制約が大きいように感じます. ジオラマの前後にエンドレスの線路をつなげて車両を周回させるだけでは運転は単調になりますし, 駅や機関区のセクションを実物通りの線路配置で製作しても駅に発着する列車や機関区に入出区したり機関区内を転線する機関車の運転操作は結構煩雑な作業になり動いている列車を鑑賞する余裕はありません. そのようなレイアウトセクションで列車が発着する風景をゆっくり鑑賞しようとするとDCCによる自動運転が必要になりますが, 自動運転である程度以上規模の大きな駅や機関区に出入りする複数の列車(機関車)を運転しようとすると, 列車(機関車)交換のためには結構大掛かりなStaging Yardをレイアウトに接続する必要があり, プログラミングも非常に複雑になると思われます. このように実物の一部をそのまま再現したレイアウト上で車両の動きをじっくり鑑賞しようとするとするとなるとそこには運転操作という面で色々な課題があると感じます.

ドイツの駅舎の写真からInspireされて製作したDCC(Märklin digital)による自動運転を導入したレイアウト”終着駅Großfurra”

最後に鉄道関係以外で読んだの本の話にも触れたいと思います. 今回は音楽と同様過去に読んだ小説を読み直してみました. 夏目漱石や川端康成の小説は20−30代の頃よく読んでいましたが, この年になって読み返すとその後人生経験を積んだせいか, また違った気づきがあり面白く読むことができました. また今回宮沢賢治の童話やサン=テグジュベリの ”星の王子様” も読んでみたのですがこのような童話でも昔読んだ時とはまた違った感覚を味わうことができました. 宮沢賢治の童話は銀河鉄道の夜や注文の多い料理店等が有名ですが, それ以外にも数多くの童話があり中にはこの年になって一読しても正直何を言いたいのかよくわからないものもありました. ただ氏の童話では童話の幻想的な世界と現実の世界を結びつけるものとして鉄道の音や光が効果的に使われているような気がします. また作品の中には ”シグナルとシグナレス” のように実際の鉄道から着想した作品もあります. 氏の経歴を見るとどちらかというと理系寄りの方のようですので鉄道には車両以外のシステムも含めて結構関心があったのかもしれず, そこからの着想がいろいろあったのかもわかりません. そしてもしかしてこれらの童話をじっくり読み込むと宮沢賢治の童話の世界をモチーフとしたレイアウトも製作できるのではないかとも感じました. また, このブログでは私が製作した北海道で活躍した車両や北海道をイメージした機関区を紹介していますが, 例えば北海道の出身である三浦綾子氏の小説「天北原野」は鉄道は出てこないものの当時の北海道の自然の厳しさとそこで暮らす人々の営みが描かれていますし, 「塩狩峠」は実際にあった鉄道事故をモチーフとした小説です. 北海道を訪れて初めて宗谷本線や天北線に乗った際には外の景色を見ていると思わずこれらの小説を思い出しました. 北海道をテーマとした車両やレイアウトを製作した際には実物の鉄道の資料を集めるだけではなくこのような小説を読むことは北海道の自然の風景や鉄道のイメージと共にそこで生活している人々を想像することにも繋がり, それがレイアウトのイメージを構築する時に何らかの影響を与えるような気もします.

海道の機関区をイメージして製作中のレイアウトセクション

以上、取り止めのないことを書いてしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました. やっと涼しくなってましたのでそろそろまた模型の製作を再開したいと思います。

レイアウトセクションの製作:蒸気機関車が活躍していた時代の機関区(11) -機関区の建物(事務所・詰所等)-

今まで3回にわたって機関区にあるストラクチャーを紹介してきましたが、それらは全て蒸機機関車や気動車を動かすやめに水や燃料を補給するという機関区でいわば動力車とのインターフェースとなるストラクチャー(建物)でした。今回からはそれ以外の機関区にある事務所等のストラクチャー(建物)を紹介したいと思います。

建物を配置して細部仕上途中のレイアウト.

機関区にある建造物の実例を交えた解説は1980年代に機芸出版社から発行された”シーナリーガイド”や”シーナリー・ストラクチャーガイド”に詳しく解説されています。そこには各地の機関区の実例が多数紹介されていますが、それらの記事の中から機関区にある建物を列挙すると概ね以下のとおりです。
機関区事務所
乗務員詰所
線路班詰所
風呂場
外勤事務所
用品事務室
燃料係室
油庫
用品倉庫
蒸気機関車が活躍していた時代、これらの建物は大体が平屋建てで、線路の周囲に並んでいることが一般的でした。国鉄の機関区に小さな建物が多数あるのは一説によると縦割り組織であった国鉄がその組織ごとに建物を建設したからであると言われています。真偽のほどはわかりませんがそのような観点で建物の種類(名称)を見ると確かにそのような気もします。これらの建物は無煙化後も1980年ごろまでは各地で見ることができましたが、中には窓がアルミサッシ化されたり、屋根が葺き替えられている建物もありました。

奥羽本線赤湯駅の構内風景
山形駅に隣接する奥羽本線山形客貨車区の建物. 屋根はスレート葺きに改修されているようです。

それでは以下、建物の構想から完成までのプロセスを紹介させていただきます。
まず最初にどのような建物を製作するかを決定します。製作にあたり参考とした上記の”シーナリー・ガイド”には機関区と機関支区と駐泊所の差は敷地にある建物の数の差でわかるというような記載がありますが、これは感覚的には”言い得て妙”ではないかと感じます。この言葉に従えば機関区と称するためにはある程度以上の数の建物が必要ということになりますがレイアウトは当然?実際のスペースよりはかなり小さいため建物に数には限界があります。またあまり建物の数を増やすと狭苦しい印象となり、北海道の機関区の印象を損ねる気がします。そこでまずは製作する建物を仮決めし、モックアップ等で検討しながら実際に製作する建物を決めていくこととしました。その際最初に選択した建物は
機関区事務所
乗務員詰所
線路班詰所
風呂場
用品倉庫
です。まずは写真等の資料や過去の記憶を頼りにこれらの建物の方眼紙に建物の外観のラフスケッチを描きます。下の写真はこの時位製作した線路班詰所と用品倉庫のラフスケッチです。

最初に作成した建物のラフスケッチです. 最終的に製作した形状とは異なるところがあります.

これらの建物は実際にラフスケッチを描いてみるとは細かい差異はあれ全て木造下見板張りのトタン葺きで皆同じような外観になってしまいます。したがってこれらの建物を限られたスペースに並べると印象が少し単調になってしまうのではないかという気がしました。そこで変化をつけるため乗務員詰所と風呂場は間にトイレを挟んで建物を一体化してみることとしました。このような実例があるかどうかはわかりませんが、寒冷地で積雪の多い地域の機関区ではこのような構造もアリではないかと考えた次第です。この辺り、模型の世界では合理性がありそれらしければ(理由を説明できれば)あまり実物通りの形態にとらわれる必要はないのではと思っています。また上記書籍の解説によれば、北海道の建物では入り口に破風がある建物が多いとあり、実際の建物を見ても確かにそのような印象がありましたので原則入り口には破風を設けてあります。

乗務員詰所とトイレと風呂場を一体化した建物のラフスケッチです. こちらも入り口の位置等, 製作し建物とは異なる部分があります.

建物のアウトラインが決定したらケント紙でモックアップを作成し実際にレイアウト上に並べてイメージを確認します。

ケント紙で製作した建物のモックアップで建物の位置を検討しているところです.

建物はレイアウトを置いた時の壁側に並べ、手前側は機関区事務所のみとして車両を鑑賞する際の視線の邪魔にならないように配慮しました。なお、実際にモックアップで検討してみると乗務員詰所と線路班詰所の間のスペースが広すぎるように感じましたので、その空いたスペースに油庫を追加しました。決定した建物の配置を下図に示します。

今回配置を決定した建物を水色で示します. ()で示したのは紹介済みの建物です.

建物の大きさと配置が決まったら図面を作成しますが、今回は少し手抜きをして全ての建物の図面は作成していません。一般的に日本家屋は基本寸法が決まっており、窓や扉の大きさも建物による差はありません。そこでまず機芸出版社発行の”レイアウト・テクニック”に掲載されている各種記事を参考にして機関区事務所のみ”真面目に”図面を作成し、その図面で扉や窓の基本寸法、窓枠に使用する檜角材等の寸法を決めることにより、その他の建物の図面御作成は省略しました。基本寸法を決めたのは窓枠に使用する材料、建物への入口とその入口に接する半間の窓、建物の門部で接する窓部の構造、窓が連続する部分の構造等です。

細部の寸法を検討するために作成した機関区事務所の図面です. 既成の檜角材の寸法を考慮しながら細部の寸法を決めました(鉛筆で書いた部分です).

⚫︎建物の外観
設計が終わったら製作に入りますが、製作手順は今まで紹介してきた建物とほぼ同一ですので今回は完成した建物を写真で紹介させていただきます。
まずは上の図面に基づき製作した機関区事務所で、この機関区の中では一番大きな建物です。L字形状として一端に張出部(トイレを想定)を設けました。壁面はSTウッドを使用した下見板貼りで窓枠と扉は自作品です。トイレには昔よく見かけた風で回転する排気煙突を取り付けようと考えていましたが、構造が複雑で製作方法を思案中です。屋根の台形煙突はエコーモデル製のパーツを使用しました。

機関区事務所の窓枠の色は茶色にしました. 手前側の屋根の煙突はエコーモデルのパーツ(#254:台型煙突)です.

モックアップによる検討で追加した油庫はコンクリート製の建物としました。屋根はプラ製の波板(Kibri製#34143:Corrugated Metal)を使用しています。

油庫は給油小屋ど同様Drawing Inkでウエザリングしてあります。また給油小屋同様各種表示を貼り付けました.
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レイアウトセクションの製作:蒸気機関車が活躍していた時代の機関区(5) -コントロールボードの製作と電気配線-

前回の記事で記載したように、私は30年ほど前にアナログ制御のZゲージレイアウトを製作した後は 3線式(Märklin)のDigital制御のHOゲージレイアウトを製作してきたため、線路敷設後の試運転時にも車両の走行性の確実な確認のためには配線、特に分岐器絶縁フログ部の極性を分岐器の切り替え方向に応じて切り替えることが必要ということを失念していました。そこで確実な試運転のために急遽コントロールボードを製作することにしたのですが、この時点ではアナログ制御時の運転方法について具体的な構想や設計をあまり真剣に考えていなかったというのが正直なところです。

レイアウトの台枠部分に設けたコントロールボード.

今回このレイアウトが完成したとしてもその時点での手持ちの日本型蒸機はアナログ制御の車両のみであり、しばらくの間はアナログ制御で運転します。現状では日本でデジタル制御が米国や欧州のような形で普及する見込みは全く立ちませんのでアナログ制御による運転方法も一時凌ぎではなく「真面目に」検討しなくてはなりません。また、現在手持ちの車両を将来も運転するためアナログ制御とデジタル制御を切り替え可能にするとともに最終的にはDCCに制御による自動運転にも対応できるようにしたいところです。実はこのレイアウトの構想時にはどちらかというといつ実現できるかわからないにもかかわらず頭の中ではDCC制御のことばかり考えており、そのために行うことは非選択式の分岐器を用いて一つのフィーダーでレイアウト全体に給電すること、自動運転に必要なフィードバックモジュールによる在線検知にS88プロトコルを使用する場合は検知にアナログ制御時の機関車留置用のギャップ(ブロック)を利用する(よってDCC制御による自動運転のためにに特別の加工は不要)という程度のことしか考えていませんでした。
レイアウトのコントロール方法は70年台のTMS誌には比較的高頻度で掲載されており、私もZゲージのレイアウトを製作した時に大いに参考にしたのですが、最近はまったくみかけません。今回も復習したのは50年以上まえの当時の記事です。レイアウトのコントロール方式には大きくブロックコントロール、キャブコントロール、デュアルキャブコントロールがありますが、方式の決定にあたってはまずこのレイアウトセクション上で同時に何台の車両を動かすかを決める必要がありますが、今回以下の理由によりレイアウト上で動かす車両は1台のみとしました。私は過去、ほぼ同一の線路配置でDCC制御(Märklin Dogotal)のレイアウトセクションを作成しましたが、このレイアウトはDCC制御ですので理論上は機関車を何台置いても個別に制御が可能です。私が製作したこのレイアウトセクションに接続したコマンドステーション(Central Station3)は、スロットルの数は2台ありますので実質的にレイアウト上で制御できる機関車の台数は2台となります。ただ、実際に運転してみるとこの規模のレイアウトセクションで一人で2台の機関車を制御するのは至難の技です。2台の機関車を制御しようとした場合、この線路配置では1台は機関庫側での機関車の転線、もう一台は整備線側での整備(給水、給砂、給炭、石炭柄の排出)と留置線への移動になります。ただこの制御を一人で行おうとすると作業が非常に煩雑で機関車の動きを鑑賞するどころではなくなります。それでも今回のレイアウトではコントローラーを2台接続できるようにしておくこともできますが、上記の経験からそれも不要と考え、このレイアウトで一度に制御できる車両の数は1台としました。そうするとキャブは1台になりますのでコントロール方式は必然的にブロックコントロール方式となります。ギャップについては今回のレイアウトは非選択式の分岐器を使用していますのでショート防止のためのギャップは不要で常時通電するブロックへのフィーダーは1箇所でOKですす。そうすると次の要検討項目は絶縁されているフログへの給電となります。当初、この極性切り替えには当初PECOやの極性切り替えスイッチ(PL-25)を使用する予定でした。ただ、どういうわけかドイツの模型店ではこのスイッチが品切れで今回は入手不可能でした。このスイッチはポイントマシンのアクチュエータで動作するスライドスイッチで、ポイントマシンの分機器の反対側に装着する構造です(そのためにポイントマシンのアクチュエータは分岐器の逆側のソレノイドの下部に突出しています)。そのため比較的簡単に後からでも追加することが可能ですし、入手不能の場合は自作も可能ではないかと考え、検討を先送りしていました。しかし、コントロールボードを製作するためにはこの切り替え方法をこの段階で決定しなければなりません。今回使用したPECO製のポイントマシンの動作力は比較的強力ですので自動切り替えスイッチは燐青銅線やバネ等で比較的簡単に自作できそうです。ただ考えてみるとフログの極性を自動的に切り替える必要があるのは自動運転の場合だけで、自動運転を行わない場合はDCC制御での運転でも経路(分岐器の切り替え)は手動で行います。このため現時点ではフログ極性の自動切り替えは行わず、より信頼性が高い手動切り替えとしました。そしてその方法は、ポイントマシンの切り替えには両側モメンタリーのトグルスイッチを設け、フログの極性の切り替えはその近傍に設けた一般的なトグルスイッチで行うこととしました。そしてこれらのスイッチをコントロールボードの路線図上に設けることにより、分岐器切り替え時にはこの2個のスイッチの操作を連続して行ないます。この方式では切替作は2アクションとなりますがこの方法ではフログ極性の切り替えスイッチで分岐器の分岐方向を示すこともできます。コントロールボードは台枠の一部を切り欠いて設置しますが、上下の幅が狭いため、一つの経路頭上に分岐器切り替えスイッチとブロックへの給電スイッチは別の経路頭上の設けることとしました。そのほか、コントローラーは内蔵しませんので接続用のコネクタには手持ちのマイクコネクタを使用し、ポイントマシンへの給電用と照明等への給電用にはACアダプタをが接続できるDCジャックを設置しました。また、照明との給電をON /OFFできるトグルスイッチを設けてあります。照明用の電源は9VのACアダプタ、ポイントマシンの電源は12VのACアダプタを使用することとしました。

パネルの全体写真. 左側に分岐器切り替えスイッチ, 右側にブロック切り替えスイッチを配置. パワーパックの接続コネクタは手持ちのマイクコネクタ(7P)を使用していますが実際に使用しているのは2端子です.

コントロールパネル上で分岐器制御スイッチは路線図の分岐部に分岐方向切り替えスイッチ、その下流にフログ極性切り替えスイッチを設け、分岐器切り替え時にはまず分岐方向切り替えスイッチを切り替え方向に倒した後、フログ極性切り替えスイッチを動方向に倒してフログ極性を切り替えます。

この方法では分岐器の分岐方向をを切り替える際、2個のスイッチの操作が必要になります。私が以前製作したZゲージのレイアウトでも分岐器の切り替えは今回のレイアウトと同様、両側モメンタリーのトグルスイッチを使用していました。Zゲージの分岐器(Märklin製)は非選択式ですが構造上フログ部分に無電区間は殆んどなく、フログの極性切り替えは不要でったため、今回切り替え時に二つのスイッチを操作することは煩わしいのではと感じたのですが、実際に製作して操作してみると切替時は一連の操作になりますのでそれほど煩雑ではなく、またポイントの開通方向が目視でわかるということは意外と有益であることがわかりました。上記のZゲージ用分岐器やMärklinをはじめとした欧州製の分岐器にはスプリングポイント機能があり、分岐器の分岐側からは分岐器の開通方向に関わらず車両の侵入が可能ですが、今回使用したPECO製の分岐器はポイントレール側にロック機構があるためスプリングポイント機能がありませんので、車両を分岐側から分岐器に侵入する際も分岐器が侵入する分岐側に切り替わっていることの確認が必要です。これは分岐器を目視でチェックすればわかるのですが、運転する位置によっては建物等に隠れて開通方向が見にくい場合もありますので分岐機の開通方向がわかる今回の方式は操作は面倒ですが意外と便利であることがわかりました。
コントロールパネルの製作はまず2㎜厚のPET板より本体を作り、Letra Line Tape 製作した路線図ので所定位置に使用するパーツに応じた取り付け穴を開けてパーツを固定することにより行いました。Letra Line Tapeは30年近く前にZゲージレイアウトのコントロールパネルの路線図作成用に購入したものですが、今回問題なく使用できました。余談ですが、今回使用したトグルスイッチは秋葉原のパーツ店で1個¥100程度で入手できます。約30年前、Zゲージのレイアウトを製作した際はこの種のトグルスイッチは1個¥200-¥300であったような記憶があります。この種の部品は中国生産になった影響かもわかりませんが所詮模型用で信頼性はあまり問わないと割り切ればこの手の部品は当時よりかなり安価に入手できます。

パネルはパーツを取り付けたら台枠を切り欠いた取り付け部に固定して配線を開始します。配線にあたってはコントロールボードの近くに電源分配用の基盤を設け、そこからレイアウト各部に給電するようにしました。

コントロールボード近くに配置した配線用の基盤

基板はフィーダーN /フィーダーS/12V+/12V-/9V+/9V-の電源区画を設け、その区画ごとに各ホールを繋ぐ鈴メッキ線を半田付けし、さらに9V+の区画からはLED点灯用の1.5KΩの抵抗を介した端子(ホール)を設けました。そしてコントロールパネルのパワーパックとDCジャックからの電源をこの基板の各区画に接続し、そこからレイアウト各部に各部に配線していきます。なお、車両留置用のブロックからの配線は一方をこの基板に接続し、もう一方はコントロールパネルのブロックへの電源供給スイッチに直接接続してあります。レイアウトの各所からくるリード線は接続する電源区画のホールに半田付けしますが、その際、ホール上にあるスズメッキ線とともにハンダ付けけすることにより各電源と接続します。今まで製作してきたレイアウトでは端子台を使用する方法(Zゲージレイアウト・外国型機関区レイアウトセクション)、基板上に取り付けたターミナルブロックに取り付ける方法(自動運転を前提としたレイアウト)を採用してきましたが、配線は一度配線したら煩雑に取り外しすることはないので部品の削減(コストダウン)も兼ねてこのようなハンダ付けによる方法を採用しました。余談ですが、私が中学生の頃はこのようなスズメッキ線やリード線を使用したはんだ付け作業を学校の技術家庭科の授業でやった記憶がありますが、今はどうなのでしょうか。なお、コントロールボードのスイッチ周辺のような狭い範囲の配線には取り扱い製の面からスズメッキ線やビニール被覆の単線(捻り線ではない)を使用した方が簡単です。

配線用基板のアップ. 各電圧と極性のブロックを写真の縦方向に配置してあります. 各部からの配線は基板の各ホール部分にスズメッキ線とともにハンダ付けします.
基板には照明の一部にLEDを使用するため、9V+を供給するブロックに制限抵抗を介した端子を設けました.
各部からの配線は基板上の所定の電源区画にハンダ付けします.
レイアウトには電源供給用のBUS LINEは設けずに個々のブロックのコモン側の配線やポイントマシンへの配線は全て基板から配線しています。

なお、今回の車両留置用のブロックは両側のレールを絶縁して敷設し、片方のレール(Nフィーダー)からの配線をこの基板上でコモン化してあります。今回のレイアウトセクションはエンドレスを持ちませんのでどちら側のレールをNフィーダーとするかは一義的には決められませんので機関区側のフィーダーをNレールと定義してNコモンとして配線しました。配線が終了し、コントロールボードが完成したら試運転を行います。試運転はこのレイアウト上での運転を想定した手持ちの車両の中で最も終電用車輪のホィールベースが小さい車両(DT19を装備した気動車)と固定軸距が最も長い車両(D51)を主体に行って問題ないことを確認しました。試運転が終了したらレール側面と枕木の塗装を行いますが、この作業の紹介は次回にしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

レイアウトセクションの製作:蒸気機関車が活躍していた時代の機関区(3)

今回は機関区の各種設備をレイアウト上のどこに配置するについて検討した結果を紹介します。最初は燃料の補給等、機関区にある蒸気機関車を運転するために必要な設備についての検討です。機関区の設備にはまず蒸気機関車のエネルギー源を機関車に補給するための設備として
1)石炭補給設備
2)給水塔(水を貯蔵するタンク)
3)給水栓(給水スポート)
があります。また、空転防止用の砂を機関車の補給するための
4)砂補給設備
が必要です。
さらに、機関車から出る石炭の燃え殻を排出するための設備として
5)アッシュピット
が必要になります。
前回線路配置を検討したときに説明したように、今回はこれらの設備は下図の右上の”引上線”に設けることになります。

このレイアウトセクションに出入する蒸機は私が製作したC 62、C 57、D51等ですが、C62は別格としてもそれ以外の機体が配置されている機関区も主に幹線、亜幹線と呼ばれる路線の比較的規模の大きな機関区です。そのような機関区では複数の蒸機機関車に対して機関車を走行させるためには複数の機関車に対してこれらの設備を使用した作業を流れ作業的に行う必要があり、上記の設備を備えた”整備エリア”は複数箇所に設置されていることが多く、どの整備エリアに向かうかをターンテーブルの停止位置で振り分けられるような例も存在します。このような機関区では給炭設備は線路上に設置された櫓の上に設置した石炭ホッパーからその下に停車した機関車のテンダーに直接重力で落下させる方式が多く、また給水も高い位置に設置されている給水タンクから重力を利用して各線の給水地点に振り分けられ線路脇に設置された給水栓(スポート)からテンダーに供給されます。現在でも蒸気機関車は各地で保存されていますが、このような設備を備えたの機関区は写真や映像以外では見ることはできません。

高崎第一機関区で撮影した八高線のさよなら列車を牽引するD51+C58の出区風景. 後方に石炭台、給水スポートと給砂塔, 手前右側に給水塔が確認できます.

しかし今回は整備エリアの線路は単線で長さも短く、スペース上もストラクチャーの大きさのバランスからいってもこのような大規模な設備を設けるのは現実的(実感的)ではありません。そこで、このレイアウトでは石炭補給設備は石炭を”手動”でテンダーに積載する給炭台、給水は給水タンクに設置されたスポートでタンクから直接テンダーに給水する方式の給水タンクとすることとしました。一方空転防止用の砂は機関区の規模に関わらず通常線路脇に設置された櫓の上に設置されたホッパーから砂箱に重力で供給されるようです。この給砂塔は実物でも複線タイプと単線タイプの標準的なタイプがあるようですので今回は単線タイプを線路脇に設置することとしました。なお、この給砂塔はその近くに砂を加熱して乾燥させる設備があり、その建物が給砂塔の近傍に配置されています。砂は重力で砂箱から動輪近傍に落下させますので砂の乾燥は必須のようで欧州の建造物キットではこの給砂塔は”Sanding Tower Plant”という名称で砂乾燥用の建造物とセットで発売しているメーカーもあります。機関区の設備の中でこの給砂塔はあまり話題に上ることがなく、私も蒸気機関車が活躍していた時代、機関区を訪れた際に意識して給砂塔を眺めた記憶はないのですが、上の高崎第一機関区の写真でもその存在は確認できますし機芸出版社発行の”シーナリー・ストラクチャーガイド”の表紙には給砂塔の前に停車するC58の写真が掲載されています。

アッシュピットは整備エリアの近傍にあるようですが、その他の場所にも設置されている例もあるようです。一方、今回レイアウトに設置しようとするするこれらの設備の規模を考えるとこのレイアウトセクションは機関区というよりはローカル線の機関支区のような雰囲気が強くなります、ただ、私は模型の世界ではこのセクションは「機関区」で良いと考えています。このセクションのオマージュ作品である”蒸気機関車のいる風景”でも機関庫は単線機関庫ですが、雑誌でそこにC62が停車している写真を見ても殆ど違和感がありません。思えば小学生の頃鉄道模型を始めた当時、畳のうえに引いた線路に顔を近づけて列車の通過を眺めて楽しんでいたものですがその時には本を積み上げて作ったトンネルが実物のトンネルに、線路脇に置いた筆箱の蓋がプラットホームに見えていたことを思い出します。そこまで極端ではないにせよ最近の雑誌の記事を読んでいると、実物の風景を模型でいかに細密に再現するかが鉄道模型の昨今のトレンドになっているような気がします。ただ、少なくとも私はあまり細かいところには拘らずもう少しおおらかに「模型の国」を楽しみたいと思っています。一方、海外のDCC制御の蒸機はサウンドデコーダーに給炭音、給水音、給砂音や機関車の火格子を振動させて灰落としを行う際のサウンドが実装されています。将来日本でもDCC制御が普及し、蒸機のサウンドデコーダーにこのようなサウンドが実装されれば機関車からこれらのサウンドを発生させて楽しむことが可能です。

Märklin製BR65(#39651)ではf24-f27が機関区の作業時のサウンドに割り当てられています.

話が少し脱線しまったので話をレイアウト設備の配置の話に戻します。今回これらの設備は全て一本の線路上の比較的狭い範囲に設けますので検討するのはその配置(並べ方と各設備間の間隔)になります。私はこれらの設備が実物では通常どのような位置関係で配置されているかの知識はないのですが、限られたスペースの中、実物を忠実に再現する必要もないと思いましたので今回の配置の条件は機関車が引き上げ線に先頭から入線してもバックで入線しても各設備にアクセスできるように各設備の位置を決めました。線路の長さが限られているため一部の設備へのアクセス時に機関車が分岐器上に存在してしまう場合もありますが、それはやむなしと判断しています。なお、アッシュピットはどのような考え方により配置が決められているかは不明でしたので、機関車がどちら向きに進入しても火格子がアッシュピット上に到達できるという条件で線路終端に近い位置にアッシュピットを配置しました。また、アッシュピットは機関区内に複数存在し、中には機関庫近傍に設けられている例もあるようですので機関庫近傍にも設けてあります。また、今回製作するレイアウトセクションは蒸気機関車の晩年(Transition Era)を再現したレイアウトですのでレイアウトに変化をつけるため整備エリアと対向している留置線の片方には気動車の洗浄台と燃料補給設備を設けることとしました。これらの検討結果に基づいて決めた設備の概略位置を下図示します。なお、機関庫内のピットは庫内に入線した際、機関車の動輪部分がピット上にくるように停止可能であることを条件に位置を決定してあります。

これらの設備には石炭台には石炭置場、給水塔にはポンプ小屋、給砂塔には砂乾燥設備と砂置場、アッシュピットには灰置場等の付帯設備が必要となりますが、これらは実際に線路を敷設後に現物合わせで位置を決めることとしました。この他、車両の運転には直接関係ない設備(建物)としては機関区事務所、乗務員控室、風呂場、トイレ、線路班詰所、資材置き場、倉庫等がありますが、これらはベースの奥側と手前側の空きスペースに分散して配置することとしますが、こちらの大きさや位置は線路敷設後に決めることとし、ここまで決めたところでベースの製作を開始しました。次回はベースの製作から線路を敷設するまでの製作の過程を紹介したいと考えております。
最後までお読みいただきありがとうございました。

模型車両の製作:珊瑚模型店製D51の組み立てと加工(6) :下回りの加工

前回までにテンダーを含む機関車の上回りについての加工方法の説明は終わりましたので今回は下回り、特にエンジン側の動輪周りの加工内容を紹介したいと思います。下回りの加工内容は概ね以下のとおりです。
1. 車輪の黒染め
2. 加減リンクの交換
3. コンビネーションレバーの両端のフォーク化
4. ブレーキテコおよびブレーキロッドの追加
5. 砂撒管の追加
では、各部について順を追って説明していきたいと思います。
6−1 車輪の黒染め
黒染めに使用する黒染め液はいさみや・ロコワークスが発売している常温黒染め液で、黒染めにはもう数十年この製品を使用し続けています。今まで、この黒染め液は客車や電車の台車の車輪に使用しており、蒸気機関車の動輪はラッカー塗装しておりましたので、今回、蒸気機関車の動輪に使用するのは初めてとなります。まず車輪を洗浄します。私は通常は車輪を含め、塗装前の処理としてクリームクレンザーで磨き洗いし、その後中性洗剤で洗浄をした後にプライマーを吹き付けていますが、動輪については外観上、万一色ムラが出るとが目立ちますので、今回はさらに脱脂を確実とするため、ラッカーシンナーで脱脂を行いました。その後説明書に従い、筆で黒染め液を車輪に塗りつけていきます。この時、理由はわからないのですが、ニッケルメッキした車輪では、そのまま黒く変色していくものと一度メッキが剥がれたような状態になり、その後黒く変色していくものがあります。特に後者の現象が起こった場合、最初なかなか黒変せず、黒変しても脱落しやすい状況が起こり、少し焦るのですが、そのまま根気よく塗布を繰り返すといずれ皮膜が形成されます。仕上がりはこの様な現象が起きなかったものに比較してもあまり変わらない様です。過去の経験も含め、車輪のメーカーによってこの現象が起きやすいメーカーと置きにくいメーカーがあるような気もしますが、詳細は不明です。

黒染めした動輪とバルブギヤー

6-2 加減リンクの交換
加減リンクはロストワックスパーツに交換します。エキセントリックロッドはキットのものを利用します。キットの加減リンクとエキセントリックロッドは段付きピンのかしめで固定されていますので、まず加減リンク裏側の段付きピンがかしめられている部分を軽くヤスリ、段付きピンを引き抜いた後そのままロストワックス製の加減リンクの穴に嵌め込んで少量のハンダで固定します。ただ、ロスト製の加減リンクは真鍮地肌のままとなっています。に今まで製作した作品ではハンダメッキにより着色しており、今回もそうしたいと考えておりますが、手元にソルダーウイックがなかったため未実施です。半田メッキはソルダーウイック入手後に行いたいと考えています。なお、この製品のリフティングリンク、リフィティングアーム、ウエイトシャフトはロストワックス製のモーションプレートと一体に造形されており、ラジアスロッドの後端は加減リンクの回転中心までしかなく、加減リンクの回転中心のネジとともじめする構造になっていますのでラジアスロッドはニュートラル位置で固定されてしまいます。今回はそのままと素てありますが、この部分も今後塗装までに修正が必要で、その際、ラジアスロッドは新作せざるを得ないと考えています。

コンビネーションレバーは先端をフォーク状に加工しました

6-3. コンビネーションレバー両端のフォーク化
コンビネーションレバーの上下、ラジアルロッドとユニオンリンクが接続される部分はフォーク状の形状となり、各リンクを両側から抱いて支持する構造となっていますので、コンビネーションレバーに上下をフォーク状にする加工を行います。今回は所定長さに切断した幅2㎜厚さ0.3㎜の帯板をキットのコンビネーションレバーに貼り重ね(ハンダ付けは中央部のみ)その後バイスに挟んで貼り重ねた板に外形をやすりでパーツと同形状に仕上げるという方法で製作しました。外形が完成したら上下にラジアルロッド、バルブスピンドルとユニオンリンクを挟んで0.5㎜の洋白線を通して固定しました。なお、コンブネーションレバーには、上部の結構目立つ位置にボルトが2本ついているのですが、今回加工を忘れてていることに気がつきました。他の作品では0.3㎜の洋白線の植え込みで表現しています。この部分は塗装前に分解した際に追加工したいと考えております。

加工部分の関節には0.5㎜の洋白線を使用しました
加工中のコンビネーションレバーです

6-4. ブレーキテコ、ブレーキロッドおよび砂撒管の追加
これらの部品は動輪押さえ版状に取り付けるブレーキシューを取り付ける部品に追加します。まずブレーキてこを両側のブレーキシュー間に渡す形で製作しますが、外観は裏返さなければ見えず、目的はブレーキロッドの保持だけですので、洋白帯板を使用し、あまり形状にはこだわらずに製作しました。帯板(エッチングパーツの縁)を所定長さに切断し、角部を少しやすりで落とした形状です。そこにブレーキロッドを取り付けますが、D型機は前2組と後ろ2組の動輪に別れていますので注意が必要です。ロッドの両端は短い方が手元にあったエコーモデルのパーツ、長い方が真鍮帯板からの自作です。砂撒管は0.5㎜に真鍮線から製作し、ブレーキシュー取付板に取り付けてあります。このパーツは曲がりやすく、変形すると車輪やレールに接触してショートの原因となりますので注意が必要です。現在、ロストワックス製のブレーキシューも各社から発売されていますが、是非砂撒管も一体に表現したパーツを発売して欲しいところです。なお、キャブ下の配管にあるレール水撒管の水撒口は第1動輪の前方にあるようですが、写真を見ても存在がわかりませんでしたので省略しました。

第一動輪のブレーキてことブレーキロッドです
D型機のブレーキロッドは2組に分割されています

以上で下回りの加工は終了です。最後にモーターを取り付け、試運転を行い問題ないことを確認します。黒染めした動輪は踏面に「カス」?が残っているせいか最初は集電不良を起こしますが、数分間レール状でスリップ運転をすると問題なく集電できる様になります。走行性に問題ないことが確認されたら、塗装前の細かい修正作業を残してひとまず完成となります。今後、今回掲載した写真で気付いた部分等を修正し、季節の良くなった頃に塗装したいと考えております。よく「アイデアは一晩寝かせ」ということが言われます。これは少なくとも私の今までの経験の中では100%正解です。同様のことは今回のキット加工にも言えることで、製作した部位を時間をおいて改めて眺めると形状のエラー、部品の歪み等に気づくことがあります。今後、塗装まではこのチェックを続け、修正を重ねていきたいと考えています。
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欧州の鉄道模型(HOゲージ)の小径カーブ通過対策の実例

前回の記事で、ひかり模型のキットを組み立てたEF58を紹介させていただきましたが、記事にあるようにその試運転は手持ちのエンドウ製ニューシステム線路の半径805㎜のカーブで実施しました。その後、KATOのWeb Siteをチェックしたところ、KATO製のEF58の通過可能なカーブは半径550㎜であることがわかりました。私のように長年(TMS主筆の山﨑喜陽氏ご存命の時代から)鉄道模型で楽しんでおり、氏が雑誌の中で頻繁に述べておられたおられた”鉄道模型は走らなくては意味がない”という言葉に接していた者にとっては、もし私の製作したEF58が通過可能である最小カーブ半径が805㎜であったらちょっと寂しい感じがしたのも事実です(本当にこれで走る鉄道模型と言えるのかという感覚です)。そのような折、ふと以前に欧州Roco社のRoco Lineというレールを購入したことを思い出し、久しぶりに取り出してみると、そのカーブはR6というサイズのカーブで、半径が604.4㎜でした。以前から半径600㎜は大型機の通過可能カーブ半径の基準となっていたと思います。そこでこの線路上でこのEF58を運転してみたたところ、なんとか無事に通過できることがわかりました。今回用いたひかり模型のEF58キットは珊瑚模型店製のF級電気機関車用の動力装置の使用が指定されていましたのでこの指定の動力装置を使用すれば当然半径600㎜はクリアーできる設計にはなっていたとは思うのですが、このEF58は歌川模型製のUギヤーと縦型モーター(KTM D V18C)を使用しており、その検討の際、特に通過可能な最小カーブを意識して検討していなかった(最初に製作した時も上記のR805を通過したのでよしとしてしまった)ので、結果オーライではありますが、大袈裟にいうとこれでようやくこのE F58も鉄道模型の仲間入りを果たせたかなと思った次第です。

半径604㎜のカーブ上のEF58

上述のように最初に製作した時にあまり気にならなかった通過可能なカーブ半径が今回気になったのはその間に私が欧州製の鉄道模型を走らせて楽しむ様にになったからかもわかりまん。今回使用使用したRoco社の線路(発売当初はRoco Lineと称していましたが今はその名称は使用されていないようです)は現在R2からR10 までの半径が用意されているようで、その中ではR6は比較的大きな半径です。ちなみにR2は358.0㎜、R4は481.2㎜、R10は888㎜です。また私が最近運転を楽しんでいるMärklin社の一般的なレール(C Track)は最小カーブの半径R1が360㎜、最大カーブがR5の643.6㎜で、それ以上大きなカーブはラインナップされておりません。ちなみにMøarklin社の製品はほとんどの車両がMarklin社の規定するR1(半径360㎜)カーブを通過できます。一方、Roco社の大型蒸気BR01の最小通過可能カーブはR3の419㎜です。また日本の天賞堂製のダイキャスト製D51、EF58の最小通過可能なカーブ半径は550㎜のようです。ちなみに 日本では他社製の模型も含めて数十万円する真鍮製のモデルには最小通過カーブ半径の記載はあまりありませんし、雑誌の製品の紹介欄にもあまり記載されていません。プラ製の蒸気機関車でもWEB SITEを少し見ただけでは通過できるカーブの最小半径がわからない製品もあります。レイアウト上での運転を前提とする鉄道模型であれば、最小通過カーブ半径はそのモデルをレイアウトに入線させるか否か(購入するか否か)を判断する最重要スペックだと思うのですが、このことは日本のHOゲージが運転を重視していないことの表れでもあると感じ、少し寂しく思います。欧米では模型の車両限界が照準で規定されていますが日本ではそれも明確ではありません。
小さなカーブを通過する大型機を実感的ではないと感ずる方は多く、私もその一人であった様な気がします。下の写真はR805とR604カーブを通過するEF58ですが、車体と台枠位置(つかみ棒の位置)たがかなりずれているのがわかります。ただ、この程度はやむを得ないものと割り切る必要がありますし、実際に走っている姿を見ればあまり気になりません。

カーブ上のEF58 (R604)
カーブ上のEF58 (R805)

レイアウトを設計する場合には運転位置からはなるべくカーブの外側が見えないようにトンネル、地形、建造物等を配置することができますし、何より有益なのはStaging Yard(隠しヤード)のスペースが小さくて済むことです。この様な目に見えない場所では安定した走行さえできれば使用するカーブ半径は問われません。ただ、Staging Yardやトンネルは、車両へのアクセスのしにくい場所に設けられますので、ただ通過できるというレベルではなく、脱線やカプラーに自然解放がないよう、設置された線路の線路状態のばらつきも考慮した上でのカーブでの安定的な走行が必須になります。
レイアウトプランの中で小カーブを使う効用と日本型モデルがどの程度のカーブを通過できるかという記事は過去のTMSに故・水野良太郎氏がイラストを交えて紹介していた記事があったように記憶しています。そこで今回は、少し視点を変えて、最近の欧州製の車両がどのような機構で小カーブを通過できるかということを私の手元にある車両で紹介してみたいと思います。
まずは蒸気機関車です。日本の蒸気機関車はC型機とD型機が殆どで、E型の大型機はE10と4100程度であるのに対し、欧州では大型のE型機は結構多くの機種がありますし、日本のC62の動輪より大きい直径の動輪素備えるD型機もあります。その中で、手元にあるE型機は下記のBR50とBR85ですが、まずBR85の小径カーブ通過対策を紹介してみたいと思います。

Märklin製のBR50 (#36840)
Märklin製のBR85 (#37097)

このうちBR85を裏返してみると下記の写真のように動輪は前3軸を支持する台枠と後2軸に分割され、ピンで結ばれています。そして各動輪はロッドではなくギアで駆動されています。そして動輪の回転方向を揃えるためのアイドラーギアが動輪間に存在しています。その中で、関節のある第3動輪と第4動輪の間のアイドラーギアは後ろ側の台枠の二つの動輪の中心を結ぶ線上に位置しその軸の両側にギアが取り付けられており、そこで動輪軸のギアが反対側に移ります。そしてカーブの通過に伴って第3動輪、第4動輪のギアと後ろの第枠に取り付けられたアイドラギアの間の軸間距離と当たり角度が微妙に変化します。

BR85の下回り. フレームが2分割されピンでつながれています.

この際、カーブ通過に伴い第3動輪と第4動輪の軸間距離も変化しますが、その変化はサイドロッドのクランクピンに嵌まる穴を長穴にすることにより吸収しています。ギアの軸間距離や軸の並行度の変化を許容し、サイドロッドのクランクピンには丸穴を長穴にする等、日本型の模型の設計に比較すると結構大胆な設計となっていますが、通常の運転には支障なく、またカーブ通過時に走行音が変化することもありません。そして、この構造はテンダー機であるBR50でも同一の設計となっています。

サイドロッドに開けられた穴は軸間距離の変化を吸収するために長穴となっています.

このように、欧州の模型では曲線通過性能向上のための大胆な設計となっています。この実例は Märklin車の製品の例ですが、Roco社のモデルもE型機は台枠の関節構造を採用していると思われます。ちなみにRoco社のBR50が通過可能な最小カーブはカタログでは半径358㎜となっていますが、関節構造の台枠を使用していないと思われるC型のBR01の通過可能な最小曲線半径はは419㎜です。
一方、下記の写真はD型のBR39です。この機関車は旧プロイセン王国鉄道のP10で、日本のC62等と同じ直径!,750㎜の動輪をもつD型機です。よって当然日本のC62より固定軸距歯長くなっていますが、この機関車も半径360㎜のカーブを通過することが可能です。こちらの機関車の台枠には関節はなく一体構造ですのでてこの機関車の固定軸距はE型よりも長くなっています。このモデルの最小通過可能曲線半径も360㎜ですが、上記のRoco車の例からもわかるように、欧州の蒸気機関車の模型で一番カーブ通過が厳しいのは固定台枠のD型機ではないかと思われます。

Märklin製のBR39 (#39395)

このBR39のカーブ通過対策は動輪の横動で行っています。第1、第4動輪はほぼ横動がありません(横動の量は日本の模型と同レベル)が、第2、第3動輪にはかなりの横動が与えられています。その写真が下の写真で、接地面を左右変えて動輪位置を撮影すると、その量が大きいところがわかります。また、上下を変えると動輪はほぼ動輪の自重で変位します(クランクピンとロッド穴の抵抗により異動しない場合もありますが少し手で押せばすぐに変位します)。

D型機の第2動輪と第3動輪にはかなり大きな横動量が与えられています.
横動する際の抵抗はほとんどありません. 上下逆にすると動輪ほぼ自重で移動します.

また、第2動輪と第3動輪は上下にも変異しますが、この上下左右の動輪の変異に対応するために第2動輪と第3動輪のクランクピンとサイドロッドの穴の隙間はかなり大きくなっています。これは第1、第4動輪も同様です。またサイドロッドは一体(一個の部品)で全ての動輪を繋いでいます。我々が通常製作する模型の構造でははサイドロッドの長さ、左右の動輪の位相が少しでもズレると走行性能に大きな影響が出てしまいますが、この構造であればその影響はあまりないと思われます(だからと言って部品の精度を落としているとは思えませんが)。

全ての動輪は1枚のサイドロッドで結ばれており, クランクピントはルーズな嵌合となっています.
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鉄道趣味を50年続けて思うこと(4):鉄道と音楽

前回のデジタル制御に関する記事の中で、映像に挿入される音楽について少し触れましたが、今回は映像に挿入される音楽以外も含め、鉄道と音楽について感ずることを記載してみたいと思います。とは言っても私は根っからの『理系人間』であり、音楽(音楽史)等を学校以外で学んだことはほとんどありません。ただ、子供の頃から家の中には音楽が流れていることが多かったため、子供の頃から比較的音楽は身近な存在であり、学生時代から音楽はよく聴いていました。当時から音楽のジャンルは問わず、なんでも聴いていたように思いますが、最近は歳のせいかクラシック音楽を聴く機会が増えたような気がします。
最近日本では鉄道開通150年が話題となりましたが、クラシック音楽の本場?である欧州大陸のドイツに鉄道が開通したのが1835年ですのでもうすぐ開通190年となります。私が学生時代の1985年がドイツの鉄道150年で、その時現地では保存されている歴代車両(レプリカ含む)のパレードが行われ、日本でも結構話題になりました。日本でも鉄道150年のイベントは各所で行われましたが、日本ではそのような保存車による大きなイベントができるような環境は全くなく、少し残念に感じたものです。それはさておき、ドイツで鉄道開通した1935年、流石にバッハやベートーベンはいませんでしたがシューマン、ブラームス、リスト等の作曲家の生きた時代には鉄道は確実にあったことになります。このように考えると一口にクラシック音楽と言ってもそれが制作された時代は長期にわたっており、現在我々が親しんでいる楽曲の中にも鉄道開通後に創作されたものが多くあるということがわかります。Wikipediaによればシューマン(ロベルト)の活動期間は〜1856年、ブラームスは〜1897年、リストは〜1886年である一方、ドイツでは1855年には鉄道営業キロが8,000kmに達していたようですので、この時代の作曲家と鉄道の接点は確実にあり、彼らは演奏旅行等で鉄道も利用したのではないかと思われます。下の写真は1863年から1871年にかけて製造されたthe Bavarian State RailwaysのClass B VIと1880年から1895年頃の客貨車のMärklin製のモデル(337975+#43985)ですが、彼らもこのような列車に乗車したり、眺めていたのでしょうか。ちなみにMärklin社が鉄道模型を最初に製造したのは1891年、Oゲージモデルの製造が1895年とのことですので、ブラームスの活動期間の最後の頃になるようです。

the Bavarian State RailwaysのClass B VIが牽引する1890年ごろの客車. 機関車はC型機のように見えますが先頭の車輪は従輪で、実はB型機です.

ただ、私の知る限りこの時代の音楽の中に鉄道がモチーフになったと思われるものはありません。1941年生まれで鉄道好きであったと言われるドボルザークにも鉄道をテーマにした作品は無いと思われます。、当時。鉄道の出現と普及は人々の生活に大きな影響を与えたと思われますが、鉄道は創作のテーマにはならなかったようです。クラシックのジャンルで鉄道をモチーフとした作品として有名な楽曲としてはフランスの作曲家アルヂュール・オネゲルが作品した交響詩、”Pacific231” がありますが、この楽曲は1923年の作品です。当時鉄道はかなり普及している時代で、日本ではオハ31の前身である木造車体のナハ22000が製造されていた時代です。これは私の全くの想像ですが、上記の作曲家に対してオネゲルは1912年生まれですので、子供の頃から鉄道に親しんで育ったと考えられます。今でも大人の鉄道マニアは子供の頃に鉄道模型で遊んでいた方が多いと聞きます。最近よく話題になるDigital Nativeではありませんが、オネゲルはそれに準えてうとRailway Nativeの世代です。鉄道をテーマとしたクラシック音楽の出現はRailway Nativeの時代まで待たなければならなかったのでしょうか。とは言ってもその後のクラシック音楽で鉄道を連想させるものは私の知る限りあまりありません。蒸機のドラフト音やレールジョイントの単調で連続的なリズムはクラシック音楽のテーマとしては単調すぎてはそこからの展開がしにくいのでしょうか。
一方、JAZZの世界では鉄道が出てくる楽曲は多数あり、実際の列車名(愛称)を題名としたチャタヌガ・チュー・チュー(Chattanooga Choo Choo)や実際の鉄道会社名がそのまま題名となったアッチソン・トピカ・サンタフェ(Atchison, Topeka and Santa Fe)等があります。これらはいずれも映画に使用されたもので、歌詞の中にも鉄道の具体的な描写が出てきますし、リズムや音階(メロディー)も蒸気機関車を連想させます。当時の鉄道駅は人々の生活の舞台の中心であり、また遠い地への憧れを象徴するものとして映画との親和性は高かったのかもわかりません。また米国の機関車の汽笛にはどこか哀愁を帯びた雰囲気があり、音楽に取り入れやすかったのかもわかりません。一方、映画とは直接関係のないJAZZのスタンダードナンバー、”A列車で行こう” はNYの地下鉄がテーマの楽曲です(”A” TrainはNY地下鉄のA系統という意味だそうです)が、イントロ部分でなんとなく蒸気機関車の汽笛を連想させるようなメロディが出てくるような気がします。また、鉄道を舞台とした映画の音楽としては ”オリエント急行殺人事件” の映画音楽があります。私が鉄道に興味を持った以降も2回映画化されており、1974年に製作されたSidney Lumet監督の作品と2017年に製作されたSir Kenneth Branagh監督の作品があります。この2作品のテーマ音楽と言えるものを聴き比べてみると、前者がワゴンリ客車の優雅さとその中で起こる事件の緊迫感を表現した(走る列車をイメージしたものではない)音楽であるのに対し、後者は疾走する列車をイメージした音楽となっています。どちらの映画も流石に原作に対して大きく異なる脚色はされていませんが、同じオリエント急行を表現した音楽として映像と共にこの音楽表現の差を楽しむのも面白いかもわかりません。日本でも鉄道をテーマにした作品は多くあり、鉄道をテーマとした映画も多数ありますが、いずれも邦楽です。ただ、鉄道が発する音をモチーフにしたメロディ(リズム)は童謡以外にはあまり思い浮かびません。日本では鉄道の情景はほとんど歌詞の中に登場するようです。ただ、国鉄のCMソングで山口百恵さんが歌った故・谷村新司さん作詞作曲の国鉄のキャンペーンソング、”いい日旅立ち” の歌詞には鉄道に関するワードは皆無ですし、メロディーも鉄道をイメージさせるものではありません。私の世代ではこの歌を聞くと当時の国鉄のCMが思い浮かびますが、それを知らない世代の人はこの歌をどのようなイメージで聞いているのでしょうか。また今でも時々話題になる狩人の歌った”あずさ2号” も題名以外に鉄道に関するワードは出てきません。あくまでも主題は旅であり、舞台を当時旅行先として若者に人気のあった信州に設定したことから付けられた題名のような気がします。そのような中で、以下に鉄道の情景を歌った邦楽の中で、私が印象に残っている歌詞のついた曲を数曲あげてみたいと思います。
・石川さゆりさんが歌った”津軽海峡冬景色”の冒頭、上野発の夜行列車あ降りた時から・・という下りからは青函連絡船廃止前の青森駅から青森桟橋に至る情景を彷彿とさせます。しかし実際は列車が到着するとホームから桟橋に向かう通路は20分後に出港する連絡船の自由席の良い席(場所)を確保しようと小走りで移動するする乗客でごった返し、海鳴りを聞く暇はなかったような気がします。ただ、そのような状況を実体験している者でも歌詞を聞くと海鳴りがする中黙々と桟橋に向かっていく乗客の姿が目の前に浮かんできます。作詞は阿久悠さんですが、曲のイメージに合わせた言葉の選び方に、一流の作詞家さんの素晴らしさを感じます。余談ですが、この歌がヒットした後、銀座にある某有名模型店に石川さゆりさんがいたという話を何人かの知人から聞きましたが、真偽のほどは不明です。


・以前も紹介したと思いますが、矢野顕子さんが歌っている”Night Train Home”という歌は東北本線の583系寝台特急の中の情景が歌われています。作詞は鉄道ファンで有名なくるりの岸田繁さんと矢野顕子さんの共作です。当時高校生の矢野顕子さんは青森の実家から単身状況し東京で一人暮らしをしていた(阿部譲治さんの家に下宿していた?)ようで、その時に利用した寝台特急の体験と岸田繁さんのマニアックな知識が歌詞に織り込まれています。歌詞の中ではDT32台車、MT54主電動機、C2000コンプレッサが歌われると共に、黒磯のデッドセクションで一度機器が停止した後に交流区間に入り、交流関係の機器が動作し始める音(整流器からのノイズ)の情景、朝、車端にある洗面所とトイレが大混雑になる様子等が描かれます。東北方面の夜行寝台は私も鉄道撮影旅行等でよく利用しましたが、この歌を聞くと当時の列車内の情景が目に浮かびます。この歌は矢野顕子さんのピアノによる弾き語りバージョンと故・レイハラカミ氏がバックを務めたバージョンがありますが後者の電子音楽は疾走する寝台特急電車(客車のイメージではない)を彷彿とさせるものです。また、冒頭の歌詞 ”小窓の外 終わる世界に雪が降ってくる 大人のようにカーテンの中 夢を広げてる” というフレーズも、東北出身で寝台車を利用したことがある方にはよくわかるイメージなのではないでしょうか。私はCDがリリースされる前にコンサートでこの曲を聞きましたが、聞いた時には結構驚いた記憶があります。


・ もう一つ、鉄道に関わる情景を描いた表現が印象的な歌として、さだまさしさんが作詞・作曲して歌った ”檸檬” という歌があります。この歌は梶井基次郎氏の小説「檸檬」をモチーフにしたもので、この歌詞の中には御茶ノ水駅横の聖橋からレモンを神田川に投げるシーンが描かれるのですが、その歌詞 “快速電車の赤い色がそれ(れもん)を噛み砕く”という歌詞と “各駅停車の檸檬色がそれとすれ違う” という歌詞が印象的です。聖橋は私もよく通り、ある意味見慣れた風景で、橋の上から御茶ノ水駅を発着する列車の写真も撮ったことがありますが、上記の ”津軽海峡冬景色” を含め、何気ない日常の風景からこのような言葉を生み出すことができるアーティストの才能は、理系の私には、ただただ尊敬あるのみです。

御茶ノ水橋の上から見た聖橋と中央線快速電車


・ 最後に森山良子さんが歌った “中央線あたり” という曲を紹介したいと思います。この曲は松本隆さんが作詞したいわば70年代の青春ソング(作曲は森田公一さん)で、テーマは前述の「あずさ2号」と似たものなのですが、歌詞の中に新宿から中央線で松本方面に向かう列車から見た中央線国電区間の情景が描かれています。中央線沿線に住む私にとってはある意味見慣れていた風景なのですが、改めて歌の歌詞として聞くと当時の風景が頭の中に蘇ります。また、この曲の最後には実物の列車の音が挿入されているのですが、多分実際の101系の走行音と思われ、上記のMT54主電動機とは異なるMT46主電動機の軽快な回転音を聞くことができます。

”中央線あたり”が収録されているアルバム”日付のないカレンダー

以上、今まで私が聞いた鉄道に関連のある音楽で印象に残っているものを紹介してみました。これらの音楽は歌詞やメロディを聴くだけで目の前に実際に鉄道風景が思い浮かびます。歌は鉄道に関する具体的な情景や想いを歌詞という短い言葉やメロディーに再構築することにより、実物を実際に見た時以上にそれを見た時の心情も含めたイメージを聞き手の中に構築します。一方鉄道模型で最密化により実物世界の再現を目指すことは、このような創作とはの対極にあるようにも感じます。その意味では実感的な模型を製作するためには模型を作るためには実物を観察する時の感性とそれを模型に落とし込む構想力も磨かなくてはならないのかもわかりません。なお、ここに挙げた楽曲は全て音楽配信サイトで視聴が可能ですのでよろしければ聞いてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

デジタル制御で何ができる?(8):デジタル制御における運転の楽しみ方について −レイアウトセクションで撮影した動画とその撮影方法の紹介–

前回の記事では、デジタル制御を楽しむ第一歩として小規模なレイアウトセクション(ジオラマ)を製作し、そこにデジタル制御を導入しサウンドデコーダーを搭載した車両を導入して動画を撮影して楽しむのも「アリ」ではないかということを述べ、撮影した動画を紹介しましたが、今回、以前このブログで紹介したレイアウトセクション(ジオラマ)、『ALTENHOFのクリスマス』を走るサウンドデコーダー付き車両とともに紹介する動画を作成してみましたので、その動画をその撮影方法とともに紹介してみようと思います。
まずはその動画をご覧ください。

このレイアウトセクションを作成した当時は、このセクションで動画を撮影するという構想は全くなく、線路部分は車両の展示場所とするようなことを考えていました。そのため線路と市街地には大きな高低差がありますが、動画撮影を意識していたら、線路を高架線として、車両と街の表情が同時に撮影できるような構成にしたのではないかと思います。動画撮影を意識したセクションを制作する場合には、構想時に動画の絵コンテをイメージした構想が必要であるような気がします。
一方、この動画を作成するにあたりかなり迷ったことがあります。それはこの動画の車両の走行音にBGMを被せるかどうかということです(Youtubeにアップした上記の動画はBGM付きです)。勿論?実際にこのレイアウトセクション上を走行する車両を鑑賞する際にはBGMなどは全く必要性を感じないのですが、ある程度の長さの動画を作成して鑑賞してみるとBGMがあっても良いようにも感じます。考えてみると、通常、列車の走行音は「騒音」以外の何者でもありません。そのため実際に動く列車(模型)を眺めていない状況で、車両のみではなくレイアウトセクションの全容を紹介する動画ではBGMを入れるのもありかと考えてみたのですが皆様はどうお感じになりますでしょうか。
余談ですが、鉄道の映像と音楽について、今から50年以上前のSLブームの真っ只中にロードショーで封切られた高林陽一氏が演出・脚本・撮影を手がけた「すばらしい蒸気機関車」という映画(音楽は大林宣彦氏でした)では映像の一部に出てくる女性(機関車を愛する少女)と音楽(歌)の存在が議論となり、当時の『SLマニア』には非常に不評であったようです。当時はまだSNSなど全くない時代でしたのでこの映画を鑑賞したSLマニア以外の人々の評価は不明ですし。今思えばいくらSLブームとはいえ、映画館で封切られる商業的な映画では純粋な記録映画以外の要素も持たせた構成とすることはある意味必要であったような気もしますし、いくら蒸気機関車が人間のような機械であると言われても、「実際の人間」に関わるストーリー(視点)がないと、作品が非常に味気ない単なる記録映画になってしまうような気もします。
1985年にBarbra StreisandがBroadway Albumの中で歌った”Putting it together“(うまくやり遂げる)という歌の歌詞に多分映画制作を意識していると思われる歌詞、「芸術は生やさしいものではない」「構想は頭の中にある限り構想でしかない」「財政的支援を得るためにはそれなりの対応が必要」と言ったような歌詞が出てきます。Barbra Streisandはこの数年前にYentlという映画を制作(監督)していますが、この歌詞は彼女のその映画制作の体験から出てきた言葉のようにも感じます。高林陽一氏にもそのような葛藤はあったのかはよくわかりませんが・・・。私は多分蒸気機関車の牽引する営業列車に乗車したことのある最後に近い世代だと思われますが、現在各地で走っている蒸機牽引列車で当時の列車の雰囲気を味わうことはできません(これを否定しているわけではありません)。しかし、当時、各地で蒸気機関車が「普通に」活躍する風景を沿線の風景とともに35㎜フィルムで1時間以上にわたって記録した映画が制作され、それが現在でも他の映画作品と同様、DVDで入手でき鑑賞できるということことを考えれば、今となっては少女や歌の存在の是非などは些細なことのように感じます。

話をこの動画の撮影に戻しますと撮影はカメラ、三脚、ビデオ雲台を用いて行っています。それ以外の特に特別な機材は用いておりません。三脚は通常の三脚と小型の三脚の2種類を使用しています。カメラの横移動は三脚の下にタイルカーペットを置いてフローリングの上を滑らせて撮影しています。カメラの縦移動はビデオ雲台で行っております。横移動の際は三脚をタイルカーペットに押し付けながら三脚を移動しますので三脚は比較的頑丈なものが必要ですが、小型の三脚は脚が1枚のタイルカーペットに載るためカメラを移動させる際はタイルカーペットを移動させますのでそれほど頑丈な三脚でなくても大丈夫です。このようにこの程度の大きさのレイアウトセクションでしたら特別な機材を用意せずとも実物の鉄道を撮影するための機材で十分対応でき、カメラもコンパクトカメラやスマホで十分綺麗な映像が撮影が可能です。また、このような撮影では自動運転は不要ですので、簡易型のコントローラーでも十分対応可能です。デジタル制御に興味のある方はまずはこのようなことから始めてみても良いかと思います。

走行する列車の撮影はレイアウトセクションを床上に置いて小型三脚で撮影しました。カメラの移動はタイルカーペットを滑らせて行います。

デジタル制御で何ができる?(7):デジタル制御における運転の楽しみ方について(2)−レイアウトセクションにおけるサウンドの効果の実例–

前回、デジタル制御を導入するために欧州製の機器を導入する場合の費用の概算を紹介しましたが、物価高や円安等の状況もあり私が導入した当時の感覚と比較すると意外と多額の費用がかかることがわかりました。また自動運転に対応したソフトもそれほど安くはないようです。とは言っても日本型の真鍮製のモデルに比較すれば安いですが・・。一方、私の感覚では、メルクリン製のモデルは国内でも海外でも総じて高価であるという印象がありますが、Command Station+Throttleに関しては、1台でデジタル制御の機能の大部分が使用可能であるMarklinのCentral Station3(CS3)は意外と「安い」ような気もします。日本では鉄道模型の自動運転というと完全にコンピューターソフトに知見のある専門家が行う(できる)ものという感覚がありますが、私の感覚ではメルクリンの自動運単プログラムの作成方法のレベルはそこまで専門的ではないという印象です。例えば、コンピュータプログラムに精通していなくても学生時代に大学等で実験等でマニュアルを見ながら測定機器等をシーケンシャルに制御してデータを取得した経験がある方でしたら簡単にプログラムを作成できるレベルであると思いますし、そのような経験のない方でも一度簡単な自動運転プログラムを作成してその設計の考え方を理解してしまえばそれほど難しいものではないと思います。また、最近小学生でもプログラミング教育の重要性が叫ばれていますが、もしかしたらそのような教育にも利用できるかもわかりません。自分が作成したプログラムで電車が動く(失敗すると事故を起こす)というのは結構面白い体験かもわかりませんし、もしかしたら鉄道模型愛好者の増加に貢献するかもわかりません(Märklinのニュースレター(Web Site?)で実際に教育現場で活用されているという記事があったような気がします)。ただ、そうは言ってももいきなりデジタル制御による本格的な自動運転を行うのはやはり少しハードルが高い気もします。
一方、私は以前、デジタル制御を楽しむ第一歩として小規模なレイアウトセクション(ジオラマ)を製作し、そこにデジタル制御を導入しサウンドデコーダーを搭載した車両を導入して動画を撮影して楽しむのも「アリ」ではないかということを述べました。今回はその実例を紹介してみたい思います。まずは下の動画をご覧ください。

BR103が駅を出発していくシーンの動画

この動画は現在制作中のレイアウトセクションで、駅で列車が出発していくシーンを撮影したものですが、音が存在することにより、実際に眺めても動画にとっても音がない場合と比較して臨場感が全く異なります。
また、下の動画は以前このブログでも紹介した『ALTENHOFのクリスマス」というレイアウトセクション(ジオラマ)上で撮影した動画です。このレイアウトセクション(ジオラマ)はどちらかというと列車の運転というよりは欧州の市街地の風景の再現をテーマにしたもので、線路は長さ1300㎜程度の複線の線路があるだけですが、そこに車両を走らせて見るとやはりサウンドありの車両となしの車両では実際に眺めても動画として鑑賞してもそこには大きな差があるように感じます。

レイアウトセクションを走るVT08

上記の動画はいずれもCentral Station3を用いてサウンドやライトは手動でON/OFFしています。例えば駅の発車シーンの動画は機関車に実装されているOperation Sound(機関車のブロワー音等)、Departure Announcement、ヘッドライト、キャブライト、汽笛をそれぞれ手動でON \OFFしています(Departure Announcementは出発のアナウンス、車掌の笛、ドアの閉まる音が含まれています)。下の走行中の動画ではOperation Soundと汽笛を操作しています。動画の中で聞こえるコンプレッサ音はOperating Soundの一部としてランダムに発生します。なお、VT08はStation Announcementと車掌の笛、ドアの開閉音は別のファンクションとなっていますが、BR103のような駅の出発シーンも可能です。なお、動画に登場するBR103は2018年、VT08 は2006年に発売された製品です。

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デジタル制御で何ができる?(6):デジタル制御には何が必要?・いくらかかる?(2)

前回、”デジタル制御で何ができる?(5):デジタル制御には何が必要?・いくらかかる?”(1)”の中で車両の価格を実例で紹介しましたが、今回は2回目としてデデジタル制御を行う際の制御機器とそのドイツにおけるStreet Priceから計算した日本での投資額を試算した結果を紹介したいと思います。
私の使用しているシステムはMärklin Digitalですので、機器は特殊で、また少々割高?ですが、前回のDCC制御に使用される機器の役割がわかれば他社製システムでもどのような機器を購入すれば良いかはわかると思います。そして、他社製品の機器と価格も私のわかる範囲で試算結果を紹介したいと思います。ただ何分他社製システムは実際に使用したことがなく、自動運転プログラムも作成したことがありませんので、概要の説明になってしまうことはご了解ください。
まずは、私のレイアウトセクションで撮影した動画をご覧ください。

私は以前、デジタル制御で何ができる?(4):デジタル制御による運転の楽しみ方についてという記事の中で、デジタル制御はまずジオラマで、動画を撮影して楽しむことから始めたらいいのではないかということを提案しました。確かに、長さ1m足らずのジオラマを製作し、前後に組み立て式の線路を繋げ、サウンド付きの動力車を用意すればれば上の動画のようなシーンの撮影はやろうと思えば可能です。ただ、手動で音や動きのタイミングを取って撮影するのは大変で、眺めて楽しむには長さも短すぎます。また、車両の動きを楽しむという点ではそれ以上のことは何もできません。前にも述べましたが、デジタル制御を楽しむためには、デジタル制御の特長を活かして列車や機関車を「運転」したり「見物」したりして楽しめるシーナリー付きのレイアウトが必要になると思います。そしてさらに、その上の列車の動きを線路脇で列車を眺める気分で「見物」しようとするとどうしても自動運転が行いたくなると思います。
そこで私に製作したレイアウトセクションで、その自動運転をMärklin Digitalで楽しむために使用した機器とそれにかかった費用の実例を紹介します。今回は前回とは異なり、購入当時の金額ではなく、現在の価格での試算としました。
下の画像はは私の製作したレイアウトセクションの線路配置です。左側がが以前”ジオラマ”ALTENHOF機関区”の紹介とMärklin CS3による自動運転”で紹介した機関区のレイアウトセクション、右側が”Märklin CS3による自動運転を前提としたレイアウトセクション”終着駅Großfurra”の紹介”で紹介した終着駅のセクションです(①・②の機関区の引き上げ線はレイアウトとしては使用しておりません)。そして自動運転時には対向した反対側のセクションを自動運転用の引き上げ線として使用します。下図がその線路配置です。なお、この画像はCS3をWi-FiでPCと接続しPCに表示されたCS3の画面をスクリーンコピーしたものです。他社製のDCC制御ではこのような画像はPCのモニター上に表示します。

CS3の画面の一例. 画面上には在線検知の結果が表示され, 車両のいる場所がわかります. 分岐器部分をタッチすると分岐器は切り替え可能で,UC*と記載してある部分をタッチすると解放ランプが作動します. 信号は現示している状態を表示します. 右下は照明スイッチでタッチするとON \OFFしますまた,S字マークにタッチすると自動運転が始まります. これらは自動運転中はその時のStatusが表示されます.

それではこのレイアウトを自動運転するために必要な機器を紹介します。

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