製作に必要なドキュメントが揃ったらいよいよ製作に入ります.今回から私が行った製作の手順を工程表に沿って進めていきますが,今回は線路の敷設工程(101〜106)のうち101と102の工程を紹介します.

1. 工具
工程表からわかるようにこの工程は全て「木工」で,車両製作等の金属工作とは方法が全く異なります.前述のように私は前作のZゲージレイアウト製作以降,レイアウトセクションや小型レイアウトを製作しましたがこれらに製作時フラットトップのベース製作時にに行なう木工作業のほとんどは図面を書いてDIY店に依頼していたため,本格的な木工作業は約30年ぶりとなります.そのため当時使用した工具(鋸等)は殆んど残っていないため,まずは工具の用意からのスタートとなります.そこでまずは今回用意した工具を紹介します.木工の専門家に言わせれば邪道なのかもわかりませんが,穴あけは金工用のドリルでもなんとかできますので新しく用意する工具は切断工具が主体になります.今回上記の工程で使用した主な工具は下記の工具です

前作の製作時には鋸は昔ながらの両側に縦引き,横引きの刃のついた昔からある鋸とクッキーカッター方式の切り込み部に回し引き鋸をを使用した記憶があるのですが今回は上の写真にある木工・竹引き用と称する鋸を使用しました.今回の購入にあたっては最初「竹引き」の意味がわからなかったのですが,これは竹のような硬い木材も切断できるという意味のようです.一方曲線切りには金属工作で使用している糸鋸を使用しました.鋸刃は木工用ではなく金属切断用の刃を使用し,サイズはDIY店にあった最も目の粗い#6を使用しました.この刃でライザー用の4㎜厚のシナ合板であれば快適に切断することができます.また細い角材を切断するためにはサイズ#1の刃を使用しました.糸鋸の下に見えるのは比較的大型のカッターナイフですが,このサイズのカッターでは先端に装着可能な鋸刃が市販されています.この鋸には上記の回し引き鋸の刃と類似している形状を持つものも存在します.この鋸は細かい部分の切断に使用しました.余談ですが,今回使用したサイズの糸鋸刃は樹脂を切断する際にも使用できます.車両工作に用いる#2/0や#3/0等ピッチの細かいサイズの刃は樹脂を切断すると切断時の熱により樹脂と刃が融着し切断できなくなりますが,このサイズであればそのようなことは起こりにくく比較的快適に切断作業ができます(ただし材質により異なります).今回私はBrickl sheet等の樹脂版もこのサイズの刃で切断しました.前述のように穴開けはほとんど金工用のドリル歯を使用しましたが,呼び径10㎜のドリルのみ用意してねじ頭部のザグリ穴等に使用しています.なお,このドリル刃は前作のレイアウト製作時に購入したものです.
2. 高さの基準点
ライザーを製作する前に線路高さの基準点(線路断面図におけるDatum面(高さ0の位置))を定義にしておく必要があります.この基準面の位置は本来仕様書で明確にすべきものですが,仕様書への記載が漏れていたためここで説明します.私はこの基準点を台枠横梁から+4㎜の高さとしました.
ライザー間隔はクリートの剛性を考えれば台枠横梁の間隔で十分ですが勾配の変化点にはライザーを設ける必要がありますので横ばり位置以外にもライザーが必要です.このライザー設置の際に横梁間に渡す部材を横梁の上に設けても下に設けても横梁やライザーで使用した部材の残材により基準点までの高さ出しがが容易に行えるという理由で基準面はこの高さとしました.

3. ライザーの製作(101)
ライザーは機械加工された角材の面同士を積層して接着することにより所望の高さとしています.今回のレイアウトの場合線路の持ち上げ量は50㎜程度ですので積層する部材の数はそう多くはなりません.市販の角材の最小厚さは0.5㎜ですので,ライザーの高さは0.5㎜単位となります.その一例を下の写真に示します.

使用する角材は30×30から0.5×2㎜程度の檜角材,20x 20㎜,30×30㎜の檜角棒,3,4,5,8㎜のホウ板(幅30,45,60㎜)等を使用します厚さ方向と幅方向の両方の面を使用).檜角棒は普通のDIY店ではサイズがあまりありませんが,東京の御茶ノ水あたりの画材店にいくと建築模型の素材を扱うコーナーでほぼ1㎜刻みの檜角棒が入手できます.当初はこの部材を積層する方法では正確な高さが得られないのではないかと危惧していましたが0.5㎜厚の薄いい檜角棒では厚さが厚いものもあり多少の選別が必要なものの接着後クランプで固定して乾燥させることでほぼ正確な高さのライザーの製作が可能です.

また勾配区間のライザーとクリートは線接触になりますので上側に細い檜角棒を使用し,その下の太い角棒の面に接着すれば取り付け面が限定されていても接着位置を調整することにより高さ方向の最小分解能がが0.5㎜単位でもライザーをを動かさずに高さを合わせることが可能です.その概念図を下に示します.レイアウトの製作法に記載されているライザーは台枠梁に柱を立てるような構造となっている場合が多いのですが,今回の積層ライザーは基準面と同一面に接着するだけで高さが決まるとともに台枠とクリートの並行度も確保できます.

4. クリートの製作(102)
今回のクリートの製作は以下の手順で行いました.クリートは一部は現物合わせによる製作となります.
クリートの種類を大まかに分類すると
1. 直線用区間用のクリート
2. 固定カーブ区間用のクリート
3. Flex track使用区間のクリート
の3種に分かれます.
クリートの幅は22㎜を標準としましたが場所によって20㎜としたところもります.築堤部分となるところのクリートは幅を狭くしておいた方が無難です.材料は4ミリ厚のシナ合板を用いています.Zゲージの車両は実測の結果動力車(機関車)は約30g,客車は15g程度ですのでクリートの材質,厚さの選択に関し車両の重量を考慮する必要はありません.
直線部のクリートはそのまま切り出すだけですが,固定カーブのクリートはテンプレートを製作して合板上に形状を罫書いて糸鋸により切り出ました.今回使用したMärklin mini-club systemの固定カーブ半径はR220,R195と小さいため,写真のような延長アームが装着できろコンパスがあればカーブをコンパスで描画することが可能です.なお,固定カーブの先の直線がある場合はその部分も一体に切り出しています.


Flex track使用部のクリートは現物合わせによる製作です.固定カーブ,直線部のクリートができたらそれらをフレックストラック使用部の前後に配置し(配置の手順は組み立ての説明の中で行います),その間の線形の線路中心線を厚紙あるいはシナ合板に描画し,それをトレーシングペーパーに移します.この描画の際は固定カーブ用のテンプレートを使用して描画したカーブがR220を下回っていないかをチェックします.描画が終了したらその形状を手芸用のチャコペーパーでシナ合板にコピーして22ミリ幅のクリートを製作します.もちろんカーボン紙も使用できチャコペーパーより濃い線が描画ができますがカーボン紙は現在では需要が少ないためか非常に高価でチャコペーパの方がずっと安価に手に入ります.電子メールのCCはCarbon Copyの略号ですが,現在メールを使用している方で実際のカーボン紙を見たことも触ったこともない方も結構多いのではないでしょうか.なお,トレーシングペーパーのカーブを移した時点でそこから切断用のテンプレートを製作することも可能です.


下の画像はFlex track使用部以外のクリートをレイアウトの所定位置に置いてFlex track部分の線路の形状をトレーシングペーパに描画しているところの写真です.

下の写真はレイアウトの手前のFlex Track用のクリートですが,この部分御クリートは幅広の直線の板情に線形を描画し,その後幅を旅程幅に仕上げています,この程度のカーブであれば糸鋸を使用せずに鋸の刃を撓ませて切断することが可能(糸鋸は弓の深さの関係で使用できません)ですがSカーブになっている部分は慎重に作業を進めることが必要です.Märklin magazinには毎号レイアウトプランが掲載されておりその大部分が固定カーブの線路(C track)を使用したプランですが,その説明の中にはよくC TrackよりK trackを使用した方がFlex traackが使用できるのでカーブがより”elegant”になるという説明があります.この部分はレイアウトの中でも目立つ部分ですのでそれに従い”elegant”な線形を目指したのですが実際の鉄道線路がカーブしているのは地形による制約による(新京成電鉄(現京成電鉄)の線路は例外です)のでこのような区間で線路をあまり曲げすぎると地形の処理が難しくなるため実際にはそれほど曲げられるものではありません.無闇に曲げると後で地形処理に苦労しそうです.

クリートの製作が終わったら次に駅およびStaging yard部のベースを製作します.製作はこの段階では全て直線切りで行えますので特に難しいところはありません.Staging yard部のベースはこの切り出しが終われば作業はほぼ終了ですが,駅部分は下側の線路と交差する部分の一部をクリアランス確保のために金属化する必要があります.この加工は後で行いますのでまずは切り出しが終わった状態でライザーを台枠上に並べます.台枠上にクリートを配置した写真を以下に示します.

以上でライザーとクリートの製作が終わりましたので次にこれらを台枠上に固定する作業に入りますが,この作業(工程103以降)は次回以降の説明とさせていただきます.木工作業は苦手云々ではなく日常殆んど行っていないため写真のとおり出来栄えはお粗末ですが,私のようなレベルでもなんとかレイアウトの製作はできるようです.
最後までお読みいただきありがとうございました.
