Z-ゲージレイアウト ”Keiserburg  Stadtbahn II”の製作(5) -レイアウトの製作について(工程設計)-

設計が終了するといよいよ製作に入ります.私は前作のレイアウトを製作以降その後数個の小さなレイアウト(レイアウトセクション)の製作を経験していますが,それらのレイアウトはフラットトップの小型レイアウトのため設計の終了から比較的すぐに製作を開始できました.しかし今回は今までのレイアウト(レイアウトセクション)とは異なり台枠がOpen Topであること,駅の部分を除いて殆んどが勾配区間であること,駅部分のベースとStaging Yard部のベースが上下にラップしていること等,今まで製作したレイアウトに比較して構造が遥かに複雑であるため,製作の手順(工程の設計)を誤るとどこかで破綻(作り直し)が発生してしてしています.また無理な姿勢での作業や手の届きにくいところで非常に細かい作業を行なうことを避けることも必要です.そこで今回は制作を開始する前に簡単な工程表を作成することとしました.今回は主にこの工程表を紹介したいと思います.今回もドキュメントの説明になってしまいますがご了解ください.ちなみにレイアウトの制作は後ほどご紹介する工程表の工程③が終了しており,車両の走行テストが終了し,,シーナリー,ストラクチャーの本格的な製作を始める直前の段階となっております.下に現状のレイアウト上を走行する車両の動画を掲載しますのでよろしければご覧ください.

今回の工程表を作成するにあたり,まず最初に私がレイアウトを製作した際に全面的に参考にしてきた1970年から1971年にかけてTMS誌に連載された”9㎜ゲージレイアウトの作り方”という記事,その後のレイアウトの製作時に参考にした1999年12月から2001年4月にかけてThe Märklin Isider club誌に掲載された”Kottenforst layout -A layout with K track for biginners” という記事,それにNMRA Web siteのの非会員でも閲覧できるページに掲載されているBeginner’s Guideと名付けられたレイアウトの製作についての解説を読み直してみました.これらはいずれもレイアウトの製作法に関する記事で,レイアウトの製作を経験そたあとで再度読み返してみると改めて参考になることも多いのですが,一方これらの記事をまとめて読むと各記事の特徴がわかります.ちなみにその項立て(説明の順番)を書き出してみると以下の表のようになります.

この項立てを見ると各記事の特徴がよくわかります.レイアウト製作法はNMRAの記事が全体の概要を把握するという意味で,TMS誌の記事は技法の詳細を知るという意味で(とは言っても50年以上前の技法ですが),The Märklin insider誌が構想から完成までの製作の手順を把握するという意味でいずれも有益なものです.この中では製作の工程設計という意味では一つのレイアウトの構想から完成までの手順を解説しているThe Märklin insider誌の記事が最も参考となると感じます.少し話がそれますが,私の記憶ではこの記事以降,TMS誌には編集部に文責のあるこの「レイアウトの作り方」に類する記事は掲載されていないのではないかと思います.残念ながら日本には鉄道模型の普及を図るNMRAのような組織は存在していません.私はその役割は伝統がありかつ発行部数の多いTMS誌のような雑誌が担わなければならないのではないかと思っています,しかし現在のTMS誌は製作者が執筆した自身の作品の紹介が主体となっており,実物に関する記事はあれど編集部に文責のある製作法の記事が殆んど掲載されません.このブログをはじめ誰もが気軽?に自分の作品をや製作過程をSNS等で発信できる時代ですが,SNSの致命的な欠点はSNSに掲載される記事は私が書いているこの記事も含めて掲載の際複数の有識者のレビューを受けていないことであると思っています.このような時代であるからこそ日本を代表する鉄道模型雑誌であるTMS誌にも鉄道模型のプロフェッショナルの集団である発行元に文責があり充分なレビューを行なった初心者向けのレイアウトや車両の「標準的な製作手順」が掲載されても良いのではないかと思うのは私だけでしょうか.現在の最新の技術(手法?)を反映した初心者向けの記事は私のような長年鉄道模型を楽しんでいるものにとっても役に立つのではないかと思います.

それはさておき私は今回工程を考えるにあたり,レイアウトに要求される最も重要な要求事項である「列車がスムーズに走る」ことを基準に工程を分割することとしました.具体的には
工程①: 列車が全線をパンタを下げた状態で列車が支障なく運転できる
工程②: 車両がトンネル内および立体交差部をパンタを上げた状態で支障なく運転できる
工程③ :線路に近接しているストラクチャーを取り付けた状態で列車が支障なく運転できる
工程④ : 全体的なシーナリー製作を行ない,地形を完成させる.
工程⑤:ストラクチャーの配置を完了し,細部仕上げ(デウエザリング,フィギュアの設置等)に移行できる
という五つの工程です.またもう一つ,作業性の観点からこれに加えて
「台枠下側の配線作業は極力工程③までに実施する」
という条件を加えました.台枠下側で行なう作業を工程③までに行うとした理由は,工程③までであれば台枠を立てた状態で固定して台枠に取り付ける配線等の取り付け作業が容易に行えると考えたためです.台枠を立てた状態で固定するためには台枠前板をクランプして固定することになりますが,台枠上に固定した部材の重量が増加すると強度的に台枠破損による転倒のリスクが高まり,万一転倒した場合の被害も増大します.そのため台枠を立て作業するのは全体の線路敷設が終了しストラクチャーが殆んど設置されていない工程③までに行うこととしました.
上の工程分けからわかるように,工程①は図面どおりに正確に路盤を作り線路を敷設し回路図通りに配線を行うという作業ですが,工程②になると位置は限定されているとはいえトンネルというシーナリーの一部を全体のバランスを見ながら製作することが必要になります.さらに工程③では跨線橋の設置が必要となりますが,これには単なる跨線橋だけでなく跨線橋に接続する道路等,より広い地形を製作することが必要となります.もちろんこれらの位置や周囲の地形はは構想のラフスケッチの段階である程度構想し大まかな寸法は決めています.ただ実際の製作場面ではそれでイメージ通りの風景に仕上がるかどうかを現物を見ながら検討し最終的にどうするかを都度「現場で」決めていくという,事前に図面では表わせない作業を行なう必要があります.また作業性の観点から台枠を立てた状態で固定できる工程③までに台枠下部の配線作業をほとんど終わらせるためには,工程③で街路灯の設置も必要になりますので工程③になるとシーナリーや一部のストラクチャー,街路灯の製作も必要になります.この段階での街路灯の設置はその後の工程での破損のリスクを考え少し躊躇しましたが,街路灯はこの段階では立てて固定する必要はなく,地面に寝かせておけば破損のリスクは減少すること,万一破損素した場合台枠下で行う修復作業も全体を台枠が水平の状態で配線することに比較すれば不安定な姿勢の作業は大幅に減少すると考えこの段階での街路灯の設置を決断しました.このようなことを考えながらあ製作した工程表が以下の工程表になります.また街路灯等の建物外照明の設置にはそれらをどこにどのように配置するかについてもも明確にする必要がありますので工程設計の開始までに照明関係の仕様書も作成しました.この仕様書と工程表を下に添付しますのでよろしければ参考にしてください.
下の仕様書には主に使用するストラクチャーとそこに組み込む照明に関する仕様と,街路灯(照明灯)の配置とその接続先が記載してあります.ちなみにこの時点でレイアウト上に設置する街路灯(照明灯)の本数は63本となっています.

下に掲載する工程表は左に作業工程を細分化したWBS(Work Breakdown Structure)を記載しその右側にWBSの前後関係を表示しています.期限が設定されて複数の人員で行なう通常のプロジェクトではWBSごとにそれを実施するリソース(担当者)や日程が記載され,ガントチャートとなりますが,今回のレイアウト製作は一人で行なう期限のない作業ですので線のつながりは各WBSのつながり(各WBSの前後関係)のみを表しています.なお,この工程表は製作中の作業のチェックに使用することはもちろんですが,工程を考えながらこの表を作成することにより実際に行う作業の流れががよりイメージしやすくなり作業をスムーズに進めることができます.なお,下に示す工程表は工程③終了までのものです.

今回これらの内容については特に説明は行いません.次回以降この工程表に沿った形で実際の製作過程を紹介していきたいと思います.
最後に最初の動画で列車が駅下のトンネルに入った後,列車が駅に戻っていく画像を掲載して今回の記事を終わることとします.機関車は20年以上前に購入したBR103型で,音は大きいものの現在でも快調に走ります.ただ,アナログ制御ですのでDCC制御とは異なり勾配上で速度が変化します.動画でも機関車が駅を通過したあたりから列車が加速していくのがわかります(駅を出たところからこのレイアウトで最急の30‰の下り勾配となります).
今回も最後まで御読みいただきありがとうございました.