レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(7) -情景1(線路周りとシーナリー)-

前回までで概要,線路配置,電気関係の紹介と進み,今回からレイアウトの「情景」の紹介に移ります.その前に駅から待機線に向かう機関車と入れ替わりに待機線から駅に向かう機関車の動画をご覧ください.

情景(線路周りとシーナリー)に対する仕様書の記載項目は以下の通りです.線路周りについては製品を加工(着色)内容とバラストの仕様を記載してあります.なお,建造物,信号機,アクセサリ,架線柱等は次回以降の説明とします.
4.情景(シーナリーおよびストラクチャー)の仕様
4-1 レールおよびバラスト
1. レールおよび枕木の塗装
レールおよび枕木の塗装は以下の塗料を用いて行なう
レール:Humbrol enamel paint #186 Matt brown
枕木 :TAMIYA エナメル塗料 XF-10(フラットブラウン)+XF-1(フラットブラック)混合
  * レールは塗装前にIMON製密着バインダーを塗布
b)  バラスト
バラストは以下の製品を使用する
Heki社製 #3171:Natur gleisschotter H0 Basaltfarben(Natural track ballast H0 basalt colors)
バラストの散布幅は約50㎜とする.
4-2 シーナリー
地面はTomix製シーナリープラスター(#8141)を使用して成形する.地面の厚さは1㎜を目安とする.
地面の成形はプラスターをベース上に流し込むことにより行い地面に凹凸は設けない.
線路およびシーナリーの断面を下図に示す

それでは具体的説明に入ります.
線路はベース上に敷いた厚さ1㎜のコルク板の上にスパイクで固定しています.線路を固定したら塗装前にまずs88コンタクト部分の絶縁を確認します.レールは切断したままでは前後に動いてしまいますのでギャップには絶縁剤(ドライクリーニングのタグを切断したもの)を挟みますが,Märklinのレールはステンレス系の材料を使用しているためか,糸鋸で切断した切粉は磁気を帯びておりレールに吸着します.そのため切粉が残っていると隙間に絶縁体を挟んでも導通してしまうことがあるので切粉の完全な除去と入念な絶縁の確認が必要です.その確認が済んだらレールの塗装を行いますが着色は上に記載したようにHumbrolのエナメル塗料を使用しました.この塗料は入念な撹拌が必要で乾燥時間も長く,取り扱いの観点で他の塗料に比較して手間がかかることが多いものの,金属との密着性は他メーカーの塗料より格段に良くレールのような金属に塗装しても問題なく使用できます.私は20年近く前に製作したレイアウトからずっとこの塗料を使用していますがエッジが多少剥がれることはあっても塗膜が大きく剥離して再塗装に至ったことはありません.塗料はレールを脱脂してプライマー(バインダー)を塗布した後筆塗りで塗装しています.枕木はプラ製ですのでタミヤのエナメル塗料を使用していますが,枕木には離型剤が付着していますのでこちらも塗装前には十分な脱脂が必要です.これらの塗装は線路をベース板に固定後に行っています.

レールの塗装を終えてバラストを散布した軌道.分岐器のフログの部分(車輪の踏面と接触しないところ)はレールの頭部の塗装は剥がさずに残します.

バラストはHeki社の#3171を使用しました.このバラストの商品名はNatur gleisschotter H0 Basaltfarben という名称で玄武岩(Basalt)を模したバラストのようで比較的濃い灰色です.私は明るい色のバラストよりも暗めの色のバラスとの方が車両がより映えるような気がして長年愛用しています.ちなみにHeki社のバラストにはこのバラストより明るめの灰色をした花崗岩(Granit)を模したもの,茶色系の班顔(Porphyr)を模したものがあります.ちなみに日本ではこれらのバラストよりさらに明るい灰色の安山岩のバラストが多く用いられているようです.バラストは木工用ボンドを使用する一般的な方法で固定しました.下の写真はドイツの整備直後と思われる軌道の写真ですが日本の軌道と比較すると枕木とバラストの色の差が目立ちます.

ドイツの幹線の軌道の軸重は20-22tと日本の幹線の軸重の最大値(16.8t)より約25%大きく,標準軌であることと相まって日本の在来線の軌道より非常にしっかりとしている印象です.

話が前後しますがバラストを散布する前に地面(シーナリー)を製作します.地面にはTomix製のシーナリープラスターを用いてベース周囲に貼り付けた厚さ2㎜の檜角角棒とコルク板の仰いだに流し込みます.地面には凹凸はつけませんので積極的に凹凸はつけずにデザインナイフを用いて平坦に仕上げていきます.なお,一部の線路脇のアクセサリはプラスターを流し込む前にその土台の部分をベースに固定しておきますが,これらについてはアクセサリの項目での説明とします.プラスターが乾燥したらブラウン系の油絵具をタミヤのエナメル塗料用の溶剤で溶いて塗装し,乾燥後にTomixのブラウンのから^パウダーを散布しました.その後線路脇の部分にKATOのユニトラックタイプのバラストを散布し,固着後バラストの散布を行いました.なお,上の図に示すようにバラストの散布幅は約50㎜としました.

細部を仕上げる前の地面

なお,上に掲載した写真はバラスト散布が終わった時点の写真であり,まだ細部の仕上げは行なっておりません.greeningの程度についてはまだ検討している段階です.

Hbfと呼ばれる主要駅の構内でも草は目立ちます.このような線路をICE等最高速度200kmを超える高速列車が走るのは日本では見られない光景です.

なお,分岐器の可動部にはバラスト散布はできないため今までのレイアウトではベース(今回の場合は下に敷いたコルクの表面)をバラストと同じ色に塗装して目立たなくするのですが今回はそれを忘れたため稼働部の下にコルクの表面が露出しています.特にMärklinの分岐器はスプリングポイント機能を持たせるため枕木の下に樹脂の弾性も利用したリンクが通っていますので非常にデリケートで後加工が困難です.また一部に使用した旧製品はトングレールが可動式になっておりバラストが散布できない範囲が広くなっておりコルクの色が目立ちます.現在対策を考えておりその一つの候補としては切り替えに支障のない枕木の間に着色したスポンジを接着し,コルクの表面を目立たなくするという対策を考えています.ただ失敗すると取り返しのつかないことになるため今は検討段階です.良好な結果が出たらまた紹介したいと思います.

分岐器の可動部の意はバラストは散布しませんがベースの塗装を忘れコルクの表面がそのまま露出しています.Märklinの旧製品の分岐器はトングレールが可動となっており,分岐側線路にそたにもリンクがありますのでバラストが散布できない範囲が大きくなっています.
枕木の間にスポンジを挟んで支障がないかをテストしているところです.

以上で線路周りとシーナリーの説明を終わります.最後までお読みいただきあいがとうございました.次回は建造物の紹介を予定しています.

待機線から駅に向かうV200.1.後方はV160

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(6) -電気関係の仕様(詳細)-

前回はこのレイアウトの電気関係の全般について紹介しましが,今回は電気関係のより細かい部分を紹介したいと思います.今回は仕様書に記載した図(回路図)をもとに説明しますが,その前に駅に停車しているICEの発車シーンをご覧ください.

まずモジュールに取り付ける外付けのデバイスとモジュール間を結ぶケーブルの配線図を示します.この図にはモジュール内にあるm83デコーダー,m84デコーダー,シグナルデコーダーは表示しておりません.

このレイアウトセクションのケーブルの接続図です

上の図を左右に分割して拡大した図が以下になります.

Module1の拡大図です
Module 2,Module 3の拡大図です.レアウト外の4個のs88コンタクトも記載しています

上図の下側にあるNHコネクタで繋がれた4本の線路(#24172)はC trackを加工してs88コンタクトを設けた線路です.この線路はこのセクションに接続するCトラック上にs88コンタクトを配置する目的で製作したもので例えば駅を出発した時点で赤現示となった出発信号機をこのs88コンタクトを利用して青現示に切り替える等に使用することを想定しています.また,上図のLink s88は下の写真に示すようにm83デコーダーと一体のユニットとして製作しています.

別ユニットとして製作したLink s88とm83 Decoderを搭載したユニット.本体とは26P(13Px2)のフラットケーブルで接続します.

このようなユニットを製作した意図は,このユニットを他のレイアウトにも使用することを想定したためです.即ち,今回製作したレイアウトセクション以外のレイアウトにこのユニットを接続してこのユニットのLink S88とm83デコーダーが登録してあるCS 3を接続すればこのユニットのm83デコーダーのアウトプットのアドレスとLink s88のs88コンタクトのコンタクト番号でこのレイアウト以外のレイアウトがこのユニットで制御可能になります.なお,今回のレイアウトセクションでは分岐器制御用のm83デコーダーはレイアウト側に取り付けていますのでこのユニットに搭載されているm83デコーダーは使用していません.このユニットに回路図を下に示します.ユニットにはDINコネクタを設けてありこのユニットのデコーダーに供給する走行電流はフラットケーブルまたはDINコネクタから供給します.ちなみにフラットケーブルに使用されている線材はAWG28で許容電流は2.4Aです.

Link s88とm83 Decoderを搭載したユニットの結線図丸の中の数字はコネクタのピン番号です

次にモジュール内の配線を下図に示します.下図が図が非常に小さくてわかりにくいですがご容赦ください

分割して拡大したものが下の図になります.下はModule1の結線図です.2台のm83デコーダーは側面のコネクタで接続していますので走行用電流(+デジタル信号)を接続するデコーダーは1台のみです.

Module1の結線図(上図の左半分)です

Module2.Module 3の結線図が下の図です

上の図は簡略化のため複数の線を1本にまとめて記載していますのでわかりにくいところがありますので以下に補足します.
・走行用電源はModule1とModule2にC Trackから給電しています.Module2に取り付けたC track接続用のレールは3rd rail(B)がModule2と接続されていませんのでModule1を接続せずC TrackをModule2に接続しただけでは3rd Rail にC trackから走行用電流は供給されません.Module1を接続しない場合,列車の運転にはC trackのスペードコネクタからDINプラグに走行用の電流を供給することが必要です.
・Module1とModule2には照明に電源を供給する基盤が取り付けられています.Module1,Module3には15Vを必要とする照明がないため15V用の供給基盤はModule2のみに取り付けています.これらの基盤に供給する電源はModule2のDCジャックから供給されます.このうち9Vの-側と15Vの+側はそのままModule 1,Module2の各基盤に供給されますが,9Vの+側と15Vの-側はDCジャックからDsubコネクタを通ってModule1にあるm84デコーダーに接続されm84デコーダーのスイッチ(リレー回路)を経由して各分配基盤に供給されます.そのためModule1とModule2を接続するDsubコネクタには+9V,-9V,+9Vswitched,-15V,-15Vswitchedという5個の接続端子が設けられています.これによりレイアウト上の照明はm84デコーダーでON/OFF可能となります.Module3に供給される9VはDCジャックからの+9Vとm84デコーダーを経由した-9Vが供給されます.このような配線となっていますのでModule2のDCジャックに9V,15VのACアダプタを接続しただけではModule2の照明を点灯させることはできません

Module1の配線図です


Module2の配線図です
Module2とModule3を接続するマイクコネクタのPin配置です

当初の計画ではLink s88をModule内に設置する計画であったため25PのDsubコネクタを使用したのですがその後Link s88をモジュール外に設置することとしましたのでDsubkネクタには多くの空きピンが発生しています.
次に上の図にあるPower Distribution Boardについて説明します.この基盤はレイアウト上の各照明に電源を供給するための基盤で,入力用のターミナルとLEDを点灯させるための制限抵抗が実装されています.レイアウトには9Vの米粒球と表面実装型のLEDを使用していますがLEDには制限抵抗が必要です.この制限抵抗は建物では通常建物内に組み込んでいますが,レイアウトに多く設置されている照明灯は本体には制限抵抗を取り付けることができませんので照明灯への電源の供給はこの基盤の制限抵抗を経由して行なっています.その基盤の概略の回路図を下図に示します.各ブロックには5~10個の制限抵抗を取り付けています.

上の回路図はModule1に取り付けた9V用の基盤の回路ですが,Module2に取り付けた9V,15V基盤にはブロック分けはなくm84 decoderのアウトプットを一括してon/offします.

以上で電気関係の回路の詳細説明を終わります.このような回路図は確実に残しておくことが後々のレイアウトのメンテナンスには不可欠ですが,今まで製作したレイアウトセクションはモジュールに分割しないため図面作成は作業と同時に行なっていました.しかし今回のレイアウトセクションは複数モジュールを接続するため,特にモジュールの接続やデコーダーをとのモジュールに設置するか等については事前に検討が必要であったため事前に仕様書に記載し,問題ないかを確認するという対応を行いました.以下,実際の配線の状態を写真を主体に説明します.


走行用電流(+デジタル信号)はモジュール全長にわたってBus Lineを設けてそこからワイヤースプライスコネクタを用いて各フィーダー,デコーダーに供給しています.

レールにはBus Lineからワイヤースプライスコネクタを使用して給電します

モジュール外のLink s88と接続するためModule1に設けたピンヘッダの表面と裏面です.各ケーブルには結束バンドを結束しそこに油性ペンでコンタクト番号等の名称を記入しています.

照明に電源を供給するのPower Distribution Boardの外観の一例です.電源はターミナル端子から供給し,各照明へ接続する線はハンダ付けで取り付けています.

Power Distribution Boardの外観です

各照明塔の近傍にはパターンをPカッターで2分割した後小さく切断したベアボードを取り付けてこの基板でPower Distribution Boardからのリード線と照明等からのリード線を中継しています.照明灯が破損した場合はこの部分のハンダを外して照明灯を取り外して修理,交換を行います.この中継基盤は制限抵抗を介さないcathord側の配線の中継にも使用しています.

照明灯近傍に配置した中継基板の外観です

シグナルデコーダーから走行用電源への接続線は細いためワイヤースプライスコネクタが使用できませんのでDINコネクタから中継基板を介して各シグナルデコーダーに接続しています.なお,各部を接続するリード線の色にはあまり拘ってはいません.これは昨日別の色分けを徹底すると多くの色のリード線が必要となりコストがかかることが理由です.その替わりとして各リード線には結束バンドを使用した名称の表示を徹底しました.

シグナルデコーダーにはDINコネクタから中継基板を経由して走行用電流(+デジタル信号)を供給します.

以上でこのレイアウトの電気関係の仕様と実際の配線方法の紹介を終了します.次回以降はシーナリーやストラクチャー等,技術的な仕様以外の部分を紹介していきたいと思います.最後までお読みいただきありがとうございました.

信号所前で待機するBR218.このBR218は国鉄DD54の原型であるV160ファミリーの機関車で現在でも現役で活躍しているようです.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(5) -電気関係の仕様(全般)-

前回の台枠と線路関係の仕様に続いて今回は電気関係の仕様を紹介します.まずは全般的な仕様です.その前に列車が駅を出発するシーンの動画をご覧ください.

駅を出発するIC.信号が切り替わる時の信号灯の挙動はデコーダーのCV値で各種のパターンが選択できます

3-2 電気関係全般
a) 列車の制御
i) 列車の制御はMärklin Central Station3(#60226)で行なう.また一部の制御はMärklin Central Station3のEvent Programによる自動化を行なうこととしそれに必要なs88コンタクトをレイアウトの各部に配置する.
ii) Power Packは60VA Switihed Mode Power Pack230V (#60061)を使用する.電源(AC230V)はステップアップトランスで供給する
i
ii)列車の運転に関連するアクセサリは全てm83 Decoderで行ないMärklin CS3を用いて制御する

i
v) 列車位置検出はLink s88(#60883)を使用する.Link s88への給電はMärklin製ACアダプタ#66360を使用し.ACアダプタ電源(AC230V)にはステップアップトランスで電源を供給する
v) レイアウトの所定位置にmfx対応のColor Light Signalを設置し,s88コンタクトを利用した制御を行なう.
b)照明の制御
i) レイアウトの照明のON \OFFはM84Decoderを使用し全てMärklin CS3を用いて制御する
ii) 照明用の電源はDC15VとDC12Vとし,両者ともACアダプターにより給電する
c) Module間の接続
Module間の電気的接続はDINコネクタ,Dsubコネクタ,マイクコネクタ,NHコネクタを用いて行なう

このレイアウトはMärklinのmfxプロトコルによるDCC制御を採用していますので,コマンドステーションはMärklin CentralStation3を使用します.欧州での鉄道模型メーカーはMärklinがガリバー的存在ですのでRoco社等のコマンドステーションもmfxプロトコルに対応しています.とはいえMärklin製に車両を運転するならわざわざ他社の製品(Märklinから見れば3rd Party製品)を使用することもないともいます.パワーパック(ACアダプタ)はMärklin製の230V使用の製品で最大電流は約3Aです.ちなみにCS3にはレールに供給される電圧と電流をモニターする機能がありますので今回手持ちの車両の消費電力を測ってみました.矩形波の電流測定ですので測定方法によって多少の差はある(測定時の誤差は不明)と思いますが,CS3に表示される測定値は下の表の値でした.機関車の走行電流は単行運転時です.なお,Märklin製の230V使用のパワーパックは日本のPSE規格に未適合ですので使用にあたっては自己責任での使用となります.

CS 3の表示画面.TFPはTrack Format Processorの略号のようです.緑のチェックはこのソフトウエアが最新であることを表示しています.(CS 3の部分の赤数字はCS 3本体にアップデートがあることを表示しています(数字はアップデート数))
上の画面に表示される各車両の消費電流の一例です.

実物同様?時代とともに車両の消費電流は減少していますが,デジタル初期の製品でも消費電流は0.3A程度でありこの程度の規模のレイアウトであれば列車の走行に関してはパワーパックの容量は3Aあれば十分です.ただ今回ポイントマシンやUncoplerの動作にも走行用電流を使用しますのでそれに対する配慮は必要かもわかりません.今回m83DecoderのポイントマシンやUncoplerの動作時間(切替時のスイッチオン時間)はDefaultの200msに設定していますが列車の走行時に作動させても走行している列車(最大2列車走行時)への影響はないようです.私が鉄道模型を始めた頃はアナログ運転で2モーターの電気機関車に7-8両の室内灯(電球)付きの客車を牽引させると電流は2Aをオーバーすることがありましたがそれに比較すると隔世の感があります.

3線式のDCC制御の場合必須となるギャップはありませんが,このレイアウトには自動運転(Event Program)に使用する列車検知用のs88コンタクトを10箇所設けてあります.その位置を下図に示します.これらのs88コンタクトで想定したの主な用途はL 1-L 4,R3,R5が列車(機関車)の自動停止用,L6,L7がホームに入線(通過)する列車のサウンド制御および出発信号の制御用,R1が通過列車のサウンド制御,L5が出発線を通過(出発)する列車のサウンド制御および信号制御用です.

レイアウト上に設置したs88コンタクトの概略位置

分岐器はm83デコーダーで制御しますが,分岐器はダブルスリップスイッチ一基を含めて6基あります.m83デコーダーは1台あたり4個のポイントマシンを制御できますが,ダブルスリップスイッチはポイントマシンが2個必要ですので制御対象のポイントマシンは7個となり,2台のm83デコーダーが必要です.余った1個は2箇所のUncoupler の制御に使用します.この場合は直進側と分岐側に個々のUncoplerが接続できますので2個のUncoplerが制御可能になります.ダブルスリップスイッチは2台のポイントマシンを連動して動かすことが必要ですが,これはm83デコーダーのCV値を変更することにより可能となります.CV値で出力のペアを選択(CV34でアウトプット1と2,CV35でアウトプット3と4)を選択し,値を2(Double Slip Switch)に設定します.この時は2台のマシンからのリード線はそれぞれのアウトプットの片方に2本まとめての接続となります.なお,以下の説明はデコーダーのマニュアルに沿って進めますが実際の設定時に表示される画像は下図のようにCVが表示されず表示される説明語句もマニュアルと異なることがありますので注意が必要です.

Double Slip Switchを動作させるm83デコーダーのCV値の設定状態

信号機は数を絞り,比較的目につくところに設けることとし発着線の出発信号機として2基,通過線の左回り方向の出発信号機として3基を設置しました.今後待機線と駅の境界部に入換信号機の設置する予定です.信号機はレイアウトを実感的に見せるためには重要な設備ですが,色灯式信号機(Color Light Signal)は今回のように床に置いて比較的高い位置からレイアウトを見下ろす感じで運転するレイアウトでは点灯状態が見えにくく,また当然背面から見ると点灯状態がわかりません.今回のような最近の車両も入線するレイアウトでは不可能ですが,EraIII-EraIV時代のレイアウトを製作する場合はできれば腕木式信号機を使用した方が視覚効果という観点では有効であるような気がします.なお,信号がが切り変わる時のライトの挙動はCVで調整可能で,ライトがフェードイン,フェードアウトして点灯,消灯するまでの時間(CV48:Switing duration LED on/off)と切り替え時に両方のライトが消灯状態を持続する時間(CV50: Cross fading behavior)が調整可能です.最近の色灯式信号機は信号灯にLEDが使用されており切替は瞬時に行われますが信号灯に電球が使用されていた時代にはシステムの信頼性の向上(球切れの防止)のためか信号切り替えの際にランプがフェードアウト,フェードインするのが一般的であったような気がします.冒頭の動画はそれを意識してCV値を設定しました.

シグナルデコーダーの設定例.”LED time home signal string”が点灯,消灯時のフェードアウト,フェードイン時間の設定,Fading home signal stringが切替時の両方のLEDの消灯時間の設定です

m84デコーダーは回路のON \OFFを行う機能を持ったデコーダーでCV79で4種類のモードが指定できますが,今回はCV79の値を2(8 switches 8 addresses)に設定しました.またレイアウト上の照明はDC9VとDC15Vを使用しています.今回2種類の電圧を使用した理由ですが,レイアウトの照明の一部には12Vの米粒球を使用しているため12V以下の電源電圧が必要であったこと,駅のホールの照明に用いる表面実装型のLEDは取り付け部のスペース上配線の簡素化が必要で,そのためにLEDを直列接続で使用することが必要であり,その際に各LEDにかかる電圧を一定値(順電流)以上にするために12V以上の電源電圧が必要であったためです.

m84はCV値を8 Switches,8 Addressに設定

各モジュールを接続するコネクタは下表のとおりです.考え方はDsubコネクタを信号用,DINコネクタおよびマイクコネクタを最大数Aが流れる走行用の回路の接続に使用するという考え方です.ただ上記のようにパワーパック(CS 3)が流せる最大電流が最大3Aであるのに対してDINコネクタの定格電流は1Aです.そのため走行用電流の接続には1回路で2端子を使用していますがそれでも容量不足です.このため走行用電流の接続は全てマイクコネクタ(最大電流5A)に変更し,現在Dsubで接続しているUncoupler 動作用の回路とともにマイクコネクタに変更することを考えています.現状では特に支障はないのですが短絡時の保護回路の動作の確実性も考えるとコネクタの容量は大きいに越したことはないと思われます.ただ現在の接続方法でも短絡検知時の保護動作に特に問題はないようです..

なお上表には記載していませんが車両検出用のLink s88はModule外に配置し,リボンケーブルでModule1と接続しています.これはLink s88に取り付けられているCANケーブルが収納の際に邪魔になること,Link s88には外部電源の接続が必要となること,セクション外のC Trackに接続したs 88コンタクトの接続性を向上させるためです.

運転用機器,Module間コネクタの接続状態.Link s88はモジュール外に設置しリボンケーブルでModule2と接続.
Module2とModule 3はマイクコネクタで接続

以上が電気関係の使用の概要です.次回はデコーダーの配置やケーブルの引き回し方法等さらに具体的なところを紹介したいと思います.
最後までお読みいただきありがとうございました.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(4) -台枠と線路-

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介は今回から構想ではなくより具体的に各部を紹介していきたいと思います.まずは線路と台枠から説明を始めます.その前に待機線から駅に向かうBR182の動画をご覧ください.

待機線から駅に向かうBR182,SIEMENS社製インバーター装置の磁歪音も過去のものとなってしまいました.

線路と台枠について仕様書には以下のように記載しました.
3 詳細仕様
3-1 線路関係
a) 使用する線路はMärklin K Trackとする.レイアウトと他線路はC Trackで接続することとし,接続部に接続用線路を配置する.
b) 制御方式はMärklin Digitalとし,線路には車両留置用のギャップを設置しない.
c) 線路にはEvent制御および自動運転用のs88コンタクトを設置する.
d) 分岐器の切り替えは#75941 Electric turnout mechanism をベース上面に設置し,#60832 m83 Decoderを用いて制御する.
e) 駅の各ホームには#2297 Uncoupler trackを設置する.制御は#60832 m83 Decoderで制御する.
3-2 台枠
台枠は以下の3分割構造とする
a) Module1:車両留置部
b) Module2:駅ホーム
c) Module3:発着線ホーム終端部
・ 線路配置(使用線路型番)はFig1,台枠寸法はFig2を参照のこと

使用した線路はMärklin K Trackです.K Trackの発売開始は1969年ですのでかなり古い製品ですが日本の篠原模型店発売のフレキシブルレールや分岐器はそれより古い発売でメーカーは替われど現在も発売が継続されています.これらのレールの構造を見ると製造用の型は結構複雑そうですし,種類も多岐に渡りますのでMärklinのような鉄道模型メーカーとしては大きなメーカーでもシステムを全面的に刷新するのは容易ではないのかもわかりません.また,このレールの3rd Rail用接点は4箇所あり接続で接触不良を起こすことはほとんどないため,設計は古いものの信頼性のレベルは今でも高く,この完成度の高さがデジタル全盛時代になってもシステムの刷新には至らない一因なのかもわかりません.ただPC枕木のフレキシブルレールはあっても良いのではないかという気がします.一方このセクションはCトラックに接続しますのでa)項に記載したように接続用の線路が必要になりますのでそれを考慮した線路配置の検討が必要です.

K Trackの3rd Railは接続時互いの4箇所の接点で接続されます.C Trackは3rd RailもGND Railも接点は4箇所あります

線路配置が決定したら線路の敷設を始める前には線路の設けるギャップの位置を決める必要がありますが,それに関連した記述が上記のb)項とc)項です.このレイアウトはデジタル制御かつ3線式ですのでショート防止のためのギャップは不要です.デジタル制御でもStaging Yard(隠しヤード)等に車両留置用のギャップを設け走行用電流をON \OFFする例はありますがそのような部分はこのレイアウトにはありません.昔からMärklinの信号機は赤信号の時に車両を停車させることが可能であることが特徴と言われており,現在のDigital信号機の基板にも赤信号の際に一定区間の電流を遮断するリレーが実装されていますが電流を遮断するとサウンドも途切れますのでデジタル制御ではこの機能をそのまま使用することはできません,したがってここでギャップ位置を検討するのは自動運転や信号制御に関連するs88コンタクトの場所のみになります.またd)項のポイントマシンの設置位置ですが,外観的には当然ベースの下側に設ける方が外観上は望ましく,床下取り付け用のキットも発売されていますが今回はベース上面への設置としました.私も以前ポイントマシンのベース下へに設置を行ったことはあるのですが,当時のポイントマシンは他社製のものに比較すると非力でリンク機構を介して動作させると動作不良を起こしやすく,一度動作不良を起こすとベース上面からは手動では切り替えができず,調整はベースを裏返して行う必要があるという不便さがありました.このため最近製作したレイアウトはポイントマシンは全てベース面上に取り付けており今回もその方式を踏襲しました.e)項のUncoupler Trackは発着線上での機関車の交換手順を考慮して位置を決めました.これらを考慮して決定した線路配置が下の図(Fig1)になりますがそのまま掲載すると図が非常に小さくなるため別に3分割で掲載します.

線路配置の全体図です
待機線部分の線路配置の拡大図です

レイアウト左側,待機線部分の線路配置です.下側の#24922がC TrackとK Trackを接続するための線路でこの先にC Trackを接続します.

プラットホーム部の線路配置の拡大図です

駅のプラットホームの部分です.一番下の通過線にも待機線との渡り線を設けました.上側の発着線にはUncoupler Track(#2297)を配して待機線に待機している機関車との機関車交換が行えるようにしてあります.2本の発着線の線路間隔は使用するプラットホームに合わせて102㎜としました.通過線と下側発着線の線路間隔は57㎜です.なお,線路型番の後ろに(-)が付与されているものは,型番通りの長さではなく短く切断してあることを示します(Flex Track(#2205)を除く).

駅の発着線終端部の線路配置です

発着線の終端部です.上から2板目の発着線に機関車を先頭に入線した列車はUncoupler Track(#2297)で客車から切り離されて列車の出発までホーム先端で待機します.こちらのC Trackとの接続部は#24922では長さが長すぎるためC Trackの#24172を短く切断してK Trackと接続するようにしてあります.

以上がこのレイアウトの線路配置です.なおこの作図にはRailModeller Proというソフトを使用しています.線路配置の作図ソフトはWintrackが有名ですがその名のとおりWindowsでしか作動せず私の普段使いのMacでは使用できませんのでこのソフトをApp Storeで購入しました.動作は安定しておりKATOやTomixの線路もリストにあり,最近もアップデートが行われたようですが現在入手できるかは不明です.

次は台枠について記載します.台枠は線路を敷設するベースになるため本来仕様書での項立ては線路配置より先に来るべきという気がしますが,今回の台枠は分割しますので線路配置が決まらないと台枠の寸法が定まらないため仕様書状への記載は線路配置の後としてあります.まずは全体寸法を下図に示します.台枠は仕様書どおり3個のモジュールに分割しています,全体の寸法は長さ3220㎜,幅280㎜です.ここのモジュールの寸法は以下のようになります.

台枠の全体図です(Fig2)
Module1の平面図です
Module2とModule3の平面図です

構造は厚さ9㎜のシナ合板の左右に厚さ12㎜,幅40㎜の杉角材を取り付けたコの字型の形状です.床面からの高さは以前製作した”ALTENHOFのクリスマス”の線路高さと同じにしてあります.そのため下の写真のように設置場所に並べて置くと待機線の奥に本線があり,その上に町並みがある情景を演出できます.

収納場所で待機線に停車するV220 の写真

Module1とModule2の接続はModule1の両側の檜角材の内側に取り付けたガイド板をModule2に差し込む事により行ないます.レールにはジョイナーを取り付けてありますが,ガイド板の差し込み部のガタを極力無くす事により調整なしでジョイナーは相手レールに嵌まります.

Module1とModule2の接続部

Module2とModule3の結合も同様のガイドで行いますがこちらはガイド部材として10㎜角の檜角棒を用いています.

Module2とModule3の接続部

これらのガイド部材を精度良く仕上げるにはModuleの素材を切り出した後,線路取り付け前のModule組み立て時にガイド部材を取り付ける事が必要です.この時モジュールを裏返した状態でガイドの摺動面をクランプで挟んで両側に取り付ける角材とガイド部を組み立てます.すなわち摺動部の隙間を予め確保して組み立てるのではなく,隙間0で組み立て,接着後もしはめ込みがきつかったらガイド部を紙やすりで削りながらスムーズに着脱できるようになるまで調整を繰り返すことでガタを無くします.欧州製の車両(NEM規格のフランジ形状の車両)はフランジが高いため正しく敷設された線路では脱線事故はほとんど起こりませんがこのようなモジュールでは足を引っ掛ける等で生じたモジュール間のずれに気づかずに運転すると脱線事故につながります.特にDCC車両は脱線によるショートでデコーダーを破損するリスクがあるためガイド部設計の際は片方のモジュールを多少動かしても接続したモジュールがその動きに追従するようにガイド部を精度良く製作し,脱線事故発生の可能性を極力排除することが必要です.

Module1とModule2の接続部,電気的接続に関しては次回紹介します

以上で台枠と線路配置に紹介を終わります.次回はモジュールの電気的接続方法等,電気的な仕様について紹介したいと思います.最後までお読みくださりありがとうございました.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(3) -線路配置とシーナリー・ストラクチャーの構想-

基本構想に続いて3回目の今回は線路配置について紹介します.今回も仕様書の記載項目に沿って説明を進めたいと思いますが,まずは駅を通過する列車の動画をご覧ください.

駅を通過するLufthansa Airport Express

2.線路配置
駅は3線構造とし通過線1線,発着線2線とする.駅ホームに対向する機関車留置線は3線とし,そのうち1線は機関車2両の留置を可能とする.停車可能な列車の長さは通過線がUIC-X客車5両+機関車,発着線がUIC-X客車6両+機関車が発着できることを目安とする(UIC-X客車はMärklin製の全長284㎜の客車を想定

言葉ではわかりにくいため,実際の線路配置を示し,この線路配置とした理由を説明します.下の図の青い部分が今回製作したレイアウトセクションで,赤部分はセクションに繋がる線路(セクション外)になります.非常に細長いセクションのため,モバイル端末では図が小さくなり非常にわかりにくいと思いますがご容赦ください.

このセクションは設置場所のスペースの関係上長さは3,400㎜以下とする必要があります.また収納の関係上レイアウトは数個のモジュールに分割する必要があり,これが線路配置を検討する上での最上位の制約条件となります.当然分割したレイアウトをどこに収納するかも重要です.また収納場所まで移動させるためには重量に制約もあります.私は今までレイアウトセクションを何種類か製作してきましたが,その経験からいうと分割したモジュールの取扱性に関してはモジュールの幅が重要であると感じます.鉄道模型のモジュールは一般的には長さは長くなりますが,同じ長さでも幅が違うと取り扱い性に大きな差がます.例えば私が以前製作した市街地のレイアウトセクション(ALTENHOFのクリスマス)の幅は450㎜,最近製作した日本型の北海道の機関区のレイアウトは300㎜ですが,両者の取り扱い性には大きな差があります(長さはいずれも1300㎜前後です).幅が大きくなれば当然重量も増えますし,収納場所(棚等)から下ろす時の取り回し性も悪化します.わずか150㎜の差ですがその差は寸法以上に大きいと感じますし,取り回し性(設置性)は使用頻度(運転頻度)にも影響します.概略検討の結果,今回のレイアウトの最大長は1500㎜強になると思われため,保管場所のスペースも勘案し,幅は機関区セクションより狭い280㎜に決定しました.この280㎜幅のスペースで主要駅(Hbf)の雰囲気を出すことは容易ではありませんが無理をして途中で製作を断念したり完成後に取り扱いに困っては元も子もないのでこの寸法に決定しました.
280㎜幅ですとプラットホームの幅を確保した上で敷設できる線路は3本が限界ですのでそれを前提にして考えると次に決定すべきことは通過線を2本にするか3本にするかですが,私は通過線を1本としました.理由は停車できる列車の長さが発着線の方が長くできること,比較的大きな規模の駅ですので駅でのすれ違いや列車交換はあまり気にしなくて良いと考えたためです.頭端式のホームでは当然到着した客車列車の折り返しをどうするかが問題となりますが最近では機関車牽引の長距離列車でもプッシュプル方式の列車が増えていること,プッシュプル列車ではなくても到着列車はホームに対向する位置にある機関車の待機線で待機する機関車と機関車交換が可能になることも通過線は1本で良いと判断した理由です.私は実際に見たことはありませんが欧州の頭端式の駅では頭端側で機関車を解放したのち反対側に別の機関車を連結し,列車発車後の開放された機関車がその後を追うように発車し待機場所まで戻るという例があるようです.そこでプッシュプル方式ではない機関車牽引列車の折り返しはこのような手順を想定し,発着線には開放ランプを設置してすることとしました.分岐器は分岐側半径902.4㎜の大型の分岐器とダブルスリップスイッチを使用し,線路間隔は並行する線路が57㎜,島式ホームを挟む部分が102㎜としています.この102㎜という寸法は使用するKibri 39565(Platform hall Bonn)に付属しているプラットホームの幅に合わせて決定しました.発着線の出口はダブルスリップスイッチを配して発着線で客車を解放した機関車はこのダブルスリップスイッチを通って待機線に向かう配線としました.ダブルスリップスイッチは欧州の駅では多用されており,スペース上も有利であるため欧州のレイアウトプランでは多用されています.今回のプランでは小規模の駅となるためダブルスリップスイッチは1個しか使用していませんが欧州の比較的大きな駅の雰囲気を出すには不可欠?のアイテムのような気がします.また下の写真にもありますが,日本ではほとんど見かけることのないクロッシングもよく使用されているのを見かけます.なお,2線式のダブルスリップスイッチはフログの極性の切り替えが複雑になりますが3線式の場合は何もする必要はありません.

ダブルスリップスイッチやクロッシングが使用されているDüsseldorf駅構内

駅のホームに対向する機関車の待機線は3線あります.仕様書では3線のうち1線に2両の機関車2両を留置可能と記載しましたが,このレイアウトはデジタル制御ですので待機線に留置できる機関車は留置線の有効長と機関車の長さのみで決まります.ここでの2両が留置可能という意味は3線のうちの1線にはs88コンタクトを2箇所(他線は1箇所)設け,自動運転プログラム(Eventプログラム)で2両の機関車を留置可能にするという意味になります.

続いてシーナリー.ストラクチャーの構想は仕様書に以下のように記載しました
3.シーナリーとストラクチャー
a) 地面は起伏のない平坦面とする.
b) 主要駅の雰囲気を出すためプラットホームにはドーム状の上屋を設ける.またホーム上には行き先案内板や売店  等, 主要駅に相応しい設備(施設)を設ける.
c) 駅と信号所の境界付近に信号所と付帯設備の建物を設置する.留置線は機関車の留置のみを行なう施設として照明灯以外の機関車の整備作業を行う設備は設けないこととする.    
d) 路線は電化路線とし,架線柱,タワーマスト,クロススパンを設置するが架線は省略する.

このレイアウトの性格上いわゆるシーナリーと呼ばれるものは地面の表現のみとなります.一方,ストラクチャーは主要駅の雰囲気を出すためにプラットホームはドーム上の上屋(Bahnsteighalle/Plathorm hall)を持ったものとします.この上屋はFrankfurt HbfやHamburg Hbf等非常に大きな構造物もありますが,このセクションはそのようなものではなくもっと規模の小さなものとし,この上屋はViessmann社Kibri ブランドの#39565(Plathorm hall-Bonn)を使用を前提に線路配置を構想しました.

駅に停車中のLufthansa Airport Express

このキットはキット名のとおりBonn Hbfの上屋を模したものです.私の世代は学生時代地理を学んだ時点でまだ東西ドイツは分断されており,当時の西ドイツの首都はボン(Bonn)でした.このBonnはベートーベンの生誕地であり,またシューマンが最晩年を過ごした街で浪漫派のクラシック音楽の愛好家には有名ですが,現在ではあまり話題になることはないようです.また当時も暫定首都という位置付けでした.そのせいか駅舎は立派ですが構内の規模は首都という割には小さい感じです.ただかつては西ドイツの首都であったため各方面に向かう列車が通る駅となっており今回のようなレイアウトセクションのイメージを構築するには参考にするには好適な気がします.私はBonnには行ったことがないのですがWEBサイトに掲載されているこの駅の多くの写真を見て自分なりのイメージを構築しました.下の写真はDuisburg HbfのPlathorm hallの写真です.Bonnの人口は約40万人,Duisburgの人口は約40万人で,東京では世田谷区や八王子市の人口と同程度ですが,もちろん人口密度はことなるものの,この程度の人口を要する都市にもPlathorm hallを持ったHbfはあるようです.

Platform hallのあるDuisburg Hbf

またc),d)に記したように待機線と駅の間には信号所と建物をを設けることとしました.また手元にある車両には電気機関車や電車も存在するためレイアウトは電化路線として架線柱,タワーマスト,両側のタワーマストを結ぶクロススパンを設けますが,架線は省略することとしました.

駅側から待機線方向を見た風景

以上で線路配置・シーナリー・ストラクチャーの構想の紹介を終わります.次回からは使用した製品等,より具体的にこのレイアウトセクションの紹介をしようと思います.
最後までお読みいただきありがとうございました.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(2) -基本構想-

今回から本レイアウトセウションの紹介を始めますが,前回記載したように紹介は仕様書に記載した項目に沿って進めたいと思います.具体的には仕様書に記載した内容を太字で示し,そこに補足を加える形で紹介を進めます.

駅のホームに停車しているLufthanza Airport Express
信号所の横を通り待機線から駅方向に向かうV200と待機線で待機するV160.
  1. レイアウトセクションの基本構想
    本レイアウトセクションは欧州の主要駅(Haupt Bahn Hof)の雰囲気の再現を目標とし,通過線1本と頭端式の発着線2本を設けた駅とする.また駅ホームと対向する位置に機関車の待機線を設け,頭端式の発着線では機関車の交換を可能とすることにより運転に変化をつけられるようにする.制御方式はMärklin digitalを使用し,セクション内にはs88コンタクトを設置して列車の発着時および列車が発射する際のサウンドシーケンスや機関車交換時の制御,信号の制御を一部自動化する.なお,通過線はMärklin C-Trackを接続可能とする.

    日本語では”主要駅”と呼ばれるHauptbahnhofはFrankfurtやHamburgのように多くの頭端式のホームを持つターミナル駅からホームが数本のみの比較的小規模な駅まで各種ありますが,私の感覚では長距離列車が発着するその都市(地域)の拠点駅というような感覚です.今回はスペースの関係上あまり大規模な駅を製作することはできませんので駅の規模は小規模なものにならざるを得ませんが,長距離列車の発着を考えるとホームの有効長はそれなりの長さとする必要があります.
    実は私がこのような駅を製作するのは初めてではなく,以前製作したZゲージレイアウトでは頭端式の駅を製作しています.
Zゲージレイアウトの頭端式のターミナル駅

このZゲージレイアウトの線路配置は数に示すとおりでリバースループを持つエンドレスの周回線から分岐した部分に終端駅を設けてあります.この線路配置はメインとなる駅を終端駅としたレイアウトでは比較的多く用いられるものですが,今回製作したものは駅部分のみのレイアウトセクションでこのレイアウトの周回線の部分に相当する部分はシーナリー無しのフロアーレイアウトになるため駅を終端駅にすると列車が駅に戻るためには周回線にリバース区間が必須となるため今回は駅の部分に通過線を設け,フロアーレイアウト部分を単純なエンドレスとしても連続運転が可能となるようにしました.それに伴い通過線のホームの有効長は短くなりますがそれはやむなしと判断しました.また上記のZゲージレイアウトでは列車がエンドレスを周回している間に駅に停車した列車の機関車交換を行えるようにしましたが,今回製製作するレイアウトセクションでも同様の機関車交換ができるような線路配置としてあります.

Zゲージレイアウトの線路配置.下部が頭端式のターミナル駅

制御方式は従来から使用しているMärklin Digitalを採用しています.前回の記事で記載したように今回のレイアウトに外国型を採用した理由はレイアウトにあるテーマを設定した場合外国型を採用した理由はその方が多彩な車両をを楽しめるということのほかにDCC制御の車両が比較的安価に手に入ることもその理由の一つです.また私は以前からデジタル制御方式にMärklinの3線式のシステムを採用していますがさらにこのようなレイアウトセクションではDCC制御に加えて3線式のシステムに大きなメリットがあるようにも感じます.なぜなら3線式ならばこのセクションに接続するフロアーレイアウト部分の線路配置はリバース区間を設けようが設けまいが全くその時の気分次第でまさに子供がプラレールの線路をつなぐのと同じ感覚で自由に線路を配置できるからです.さらに分岐器の道床部分にポイントマシンとデコーダーを組み込んでおけば分岐器をどこに配置しようとそのアドレス(名称)さえ把握していれば分岐器をどこに配置してもコマンドステーションから分岐器の制御が可能になります.また2線式のシステムでフロアーレイアウトを敷設する場合には複線で2列車同時運転をしようとした場合2線式では渡り線の部分は必ずリバース区間になりますのでそのための配線とスイッチが必要になります.スペースの関係上なかなか固定レイアウトが普及せず車両工作主体の日本の鉄道模型ではもしかしたら気軽に運転を楽しむ最も最適なシステムは3線式のDCC制御なのかもわかりません.

駅に停車しているEra IVの食堂車.

なお,今回のレイアウトセクションでは完全な自動運転を行う予定はありませんが,列車の発着時案内放送や汽笛の吹鳴等のシーケンシャルな制御を行うこと,駅に設けた信号機の制御を行うことを目的に各線にs88コンタクトを設けることとしました.駅の出発時の案内放送は一部の車両ではファンクションの中に実装されていますが,Märklin CS3には自動運転機能(Event)の一部として外部スピーカーからSDカードに格納したサウンドファイルをシーケンシャルに再生できる機能もありますので将来的には(音源があれば)その機能も使用したいと考えています(CS3はスピーカーを内蔵していますので,CS3から音を出すことも可能です).日本のNゲージではサウンドボックスなるものが発売されていますが,私は本来車両から出る音は車両から,周囲から出る音は周囲のスピーカーから出すことが鉄道模型のサウンドの本来のあり方であると考えます.その実現に際してはHOゲージレベルのサイズなら技術的なハードルは全くないと思われます,日本のメーカーがDCC制御を積極的に普及させようとしない理由が私にはわかりません.メーカーや販売店にはユーザーサポートのためにそれなりの知識が必要になることが普及のネックになっているのでしょうか.

ドイツでは最新のICEにも供食設備のある車両が連結されています.

以上で基本構想の説明を終わります.最後までお読みいただきありがとうございました.