前回、北海道仕様のC55を紹介したときにModel Railroader誌の2022年12月号のFrom the Editorに掲載されていた上記の言葉を引用しました。その際にも記載しましたが、このRealism Level(意訳すると実物の鉄道を模型で再現する時の本物らしさ(再現度)のレベルということでしょうか)をどこに設定するかということは非常に難しい問題です。その基準は一度設定したらその後はその基準で制作を進めることが理想ですがこの基準は自身の考え方、技術力によっても変化しますので長年この趣味を続けている間に変化しますので変化を恐れたり、変えることをためらう必要はないと思います。私は90年代前半までこれまでご紹介したように比較的ディテールにこだわった車両模型を製作していましたが、その後そのそれとは全く異なる分野である外国型レイアウトの製作を始めて現在に至ります。今回は上記のコラムに関連し、私がなぜ外国型Zゲージのレイアウト製作を始めたか、その経緯をご紹介してみたいと思います。車両のディテールアップと外国型Zゲージのレイアウト製作はある意味鉄道模型では対極的な分野だと思いますが鉄道模型の新しい分野にチャレンジしようとしている方の参考になったら幸いです。
まず初めにModel Railroader誌の2022年12月号のFrom the Editorの要点を簡潔に記載します。このコラムではまず、模型とおもちゃの違いはルールの存在であり、我々は鉄道模型を始めるにあたりこのルールの一つであるrelism Levelの基準を自分で決める必要があることを教わると述べています。そして自分が満足するレベルでその基準を決め、それに従って各部を製作する必要があるという有名モデラーの言葉を紹介しています(日本と異なり米国(欧米)では鉄道模型はレイアウト製作が一般的ですのでこのコラムはそれを前提として述べていると思われます)。続いてその方の意見、”superdetailed locomotive とrolling stockがcardboardで作られた街の中を走るレイアウトは車両とシーナリーのバランスをもう少し考えたほうが良い(シーナリーに注力したほうが良い)” と言う意見を紹介します。しかし編集者のWhite氏は 模型でできる限り実物に忠実なoperationを再現しようとしているモデラーは、線路配置がそれを実現できるものであればシーナリーには拘らないという事例を紹介し、realistic lebelの考え方は人それぞれであると論じます。次に自分がかつてレールや車輪の形状を実物通りに再現する規格であるProto87に則りでレイアウトを作成しようとして技術力と忍耐力不足により挫折した経験し、そこから試行錯誤しながら自分のrealism level が確立していった経緯を語ります。そして最後に結局ealism lebelは人それぞれであると結論づけます(元々英語はあまり得意ではありませんので間違っているところがあったらお許しください)。日本の鉄道模型はかつては車両の製作が中心で、過去TMS誌上で山崎喜陽氏は細密化と走行性能のバランスを述べておられました。私も今まで製作してきた作品ではこの点には留意してきたつもりです。ただ車両工作が中心の日本では上記コラムにあるような”車両とレイアウトのバランス”についてはあまり述べられていなかったような気がします(車両をレイアウト上に置くと細かいディテールは気にならなくなるということはよく言われていましたが)。現在日本の鉄道模型雑誌は車両、レイアウトともメインとなる(目玉の)記事はコンテストの入選作であることが多く、素晴らしい作品が掲載されています。私はその記事を読むと「素晴らしい」と思うと同時に「自分にはとてもできない」と思ってしまいます。欧米の雑誌の紹介されるレイアウトも同じレベルの作品なのかもわかりませんが、通刊1000号を超える雑誌の編集者が実例や体験も交えてモデラーが製作する模型のレベルは人それぞれで良いと言うことをコラムで述べることは私のような「不器用なモデラー」に勇気を与え、結果雑誌を読んで鉄道模型をやってみたいと思う方を増やすような気がするのは私だけでしょうか。
私も車両製作を行なっていた頃には車両とレイアウトとのバランスと言うことは考えませんでした。私がそれまでに製作した車両を走らせるために保有している線路はエンドウのプラ線路で待避線と引き込み線ができる分岐器数個で、今でも今まで製作した車両はこの線路で走らせています。その線路を走る列車の動画を下に示します(製品を紹介する際撮影にに使用している線路はMärklinのC-Trackですが、これは道床の色合いを考慮して選択しています)。