鉄道(資料)写真:国鉄一般型客車の細部 <その2:10系>

前回のスハ43系客車に続き、今回は10系寝台車の床下の写真をご紹介させていただきます。

札幌駅で発車を待つ急行 狩勝。北国での酷使のせいか、外板の日積が目立ちます。 1981.3 札幌

1980年ごろ、東北新幹線開業までは、早朝の上野駅には夜行寝台急行列車が各地から到着していました。これからご紹介する写真は、それらの列車に使用されていた10系寝台車の写真です。

急行 男鹿の連結されていた秋田区のオハネフ12。10系客車は晩年まで屋根は銀色に塗装されていました。特急電車の根が瓶色の塗装されなくなった後も出場直後の10系客車の屋根は、鮮やかな銀色でした。

<スハネ16・寝台側>

スハネ16 ¥のデッキとトイレ。10系客車のデッキの窓は晩年まで2段サッシでした。トイレ流し管の手前にジャンパ線のケーブルが見えます。
スハネ16の寝台側。手前より発電動機、燃料タンク、ディーゼル発電機、蓄電池箱、弁装置箱と続きます。燃料タンクの右下にはコックが見えます。
弁装置箱に続いて一体型の給水、兼水コック、吸水口、ブレーキシリンダー、エアータンクが並びます。手前側を通る配管(ブレーキ管?)はスハ43系より太く、目立ちます。
発電動機、燃料タンク、ディーゼル発電機、蓄電池箱のアップです。各機器への配線が目立ちます。
エアータンク部のアップです。梯子状の部材がありますが、用途は不明です。

<スハネ16・廊下側>

廊下側は水タンク、検・給水コック、蓄電池箱、ディーゼル発電機、発電機起動装置、付属品箱の順に並びます。水タンクは筒形のもの(FRP製)に換装されています。
水タンクのアップです。下部から配管が立ち上がっています。
ディーゼル発電機のラジエーター部のアップ。(スロ62)

<オロネ10>

非デッキ側から見たオロネ10の全景。オロネは屋根は銀色ではなく、20系客車と同じ黒に近いグレーです。水タンクは左右に分割されて2個ついています。
水タンクの次には消化器収納箱、冷房装置、蓄電池箱(新型)、燃料タンク、ディーゼル発電機起動装置が並びます。燃料タンクはB寝台車と形状が異なります。
写真からわかるようにこの車両は金沢運転所の車両ですが、ディーゼル発電機のラジエーターにカバーが取りつけられているように見えます。
秋田区所属のオロネ10のディーゼル発電機のアップです。B寝台車やスロ62の発電機に比較してラジエーターの面積が小さく見えます。燃料タンクの容量も少なそうです。発電容量の関係で床下クーラー用の発電セットはB寝台車やスロ62のセットとは少し異なるのでしょうか。
台車付近。洗面所流し管には色々な形状があるようです。
上の写真の反対側です。水タンクと弁装置箱、電暖装置(柱の後方)、冷房ダクト、ブレーキシリンダ、エアータンク、蓄電池箱、ディーゼル発電機、発電動機の順に並んでいます。
電暖装置、冷房用ダクト、ブレーキシリンダ付近のです。冷房用ダクトの側面に雪が付着しており、ダクトの曲面形状がよくわかります。
ブレーキシリンダ、エアータンク、蓄電池箱のアップです。クーラー背面のルーバーも見えます。蓄電池箱は結構厚みがあります。車両とは関係ありませんが、当時はホームの線路脇に給水設備が多数並んでいました。

<オハネフ12 寝台側>
オハネフ12は寝台側の写真しかないので、簡単に紹介します。10系客車としての新製車なので機器配置はスハネ16とはやや異なります。

燃料タンク、ディーセル発電機、蓄電池箱という並びは同じですが、発電動機、弁装置箱は見当りません。蓄電池箱は新型です。ブレーキシリンダの奥に電暖装置、消火器収納箱が見えます。

以上、10系客車の床下機器をご紹介させていただきました。これらの機器類はほぼ全て良好な形態のパーツが入手できます。それらを並べれば10系客車の床下はほぼ再現出来ますが、それでは個性を出すのはなかなか難しいような気もします。あえて個性を主張するのであれば、あまりモデルでは見かけない各機器への電気関係の配線でしょうか。そこまで再密度に拘らなくても良い気も致しますが・・・。

最後に常磐線の普通列車に連結されたオユ10と西日暮里付近を走行するオハネフ12の写真を掲載してこの項を終わりとしたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

常磐線普通列車の最後尾に蓮活されたオユ10。軽量客車の端梁の形状がよくわかります。 1980.3 上野
西日暮里付近を走るオハネフ12。屋根にクーラーの水抜き管が目立ちます。 1982.11