レイアウトの製作:自動運転を前提としたレイアウトセクションの製作 <9>

前回、石粉粘土、シーナリープラスターによる地面の造成作業の前段階までを説明しましたが、今回はその後の地面の造成作業とバラストの散布を説明させていただきます。

<駅部分のベースの作成>
地面は駅の部分一帯も含みますので、地面の造成にはまず駅の構想を練ることが必要です。駅の構想の大まかな部分は最初のイラストの段階で概ね決めました。そのイメージで作った駅舎と駅の製作途中の写真が以下の写真です。

<駅のプロトタイプの選定>
話が前後してしまいますが、まず駅のプロトタイプ選定の経緯について説明します。駅の構想をすると言っても外国のローカル線の終着駅などもちろん行ったことはなく、皆目具体的なイメージがわきません。そこで、自分の行った日本の終着駅の規模感をイメージしながら、駅のホームは大社駅では立派すぎ(もちろん駅舎は論外)、湧別駅では寂れすぎ、稚内駅ではホームの上家が立派すぎ・・・とか考えながらかたっぱしからwebサイトを漁りました。

具体的には「ドイツ」「駅」「支線」とかいう言葉をGoogle翻訳でドイツ語に訳して(Deutsch 、bahnhof、 Nebenstreckeとか)画像を手当たり次第に検索して自分のイメージに合う画像を探すという作業をしました。
その結果見つけたのがドイツ中部にあるGroßfurraという駅で、駅舎はその駅舎をプロトタイプに作成しました。Großfurra駅は終着駅ではないようですが、ホームはコンクリート(アスファルト)ではなく土ですので、ホームも土のホームとしました。

検索画面の例。中央がGrossfurra駅

土のホームの寸法は前回説明したMärklin Magazinに断面図がありましたので、その断面図を参考にしました。

<製作の手順>
工作は、まず前回説明した側壁に檜の角材で作成したホーム上面部分を接着します。また、それに続く駅舎の土台部分をありあわせのホウ材やホーム上面を作成した際のヒノキ角材等で作成します。階段上の部分は以前作成した建造物キットの余剰材を利用しています。

今回、ホームの地形は土が盛り上がった状態を表現しますので、粘度が低いプラスター水溶液ではなく、石粉粘土を使用することとし、Fandoという粘土を用いて造形しました。昔は石膏プラスターとか焼石膏で地面を造成したものでしたが、今はフィギュアを作るという当時は全くなかった趣味が一般的?になったので、このての造形材は選択に迷うほどたくさんあります。しかしどれがどう違うのかはよくわからないので一般的と思われるものを使用しています。販売単位も少量ですのでむだになりません。

駅の部分の地形の造成が終わったら、貨物ホームの部分に台座となるプラ板を貼ってTomixのシーナリープラスターを流していきます。石粉粘土もそうですが、この時にはベースに木工用ボンドを塗布して、ベースとなる板と粘土やプラスターが接着されるようにすることが必要です。

シーナリープラスターは焼石膏等に比較して乾燥時間は遅く、地形の凹凸の造形を余裕をもってできますが、今回は凹凸の表現はほとんど必要なく流し込んだプラスターをペインティングナイフで平滑に仕上げていく作業になります。

プラスターが乾燥したら、地面に色をつけます。私は油絵具をタミヤのエナメル用シンナーで溶いて塗りました。色は土の糸としてローアンバーという色を使用しました。後でほとんど隠れてしまうのでグラデーション等は気にせずこの一色をべた塗りしました。

油絵具が乾燥したらバラストを撒きますが、地面のところはバラストの下がいきなり土となるのは不自然なので、バラストと接触するところの地面には砂利を巻くこととし、KATOのユニトラック用のバラストを線路側(プラスターの端部)に撒いてあります。木工用ボンドを塗って砂利をまぶして乾燥後掃除機で吸い取ります、

砂利が固着されたらしたらいよいよバラストの散布です。まずバラストの色を選びます。この色がレイアウト全体の印象を左右するので慎重に選びます。ブレーキ粉のサビが付着した茶色系、砕石の散布したての明るいグレー等が考えられますが、私は欧米のレイアウトでよく使用されているダークグレーを選んでみました。あまり日本ではない色のようですが、欧米のレイアウトではよく使用されており、先に紹介したMärklin Insider のレイアウト製作記事にもこの系統の色が使用されています。また実物写真を見てもこのような色はあるようです。 私はHekiの3171を使用しました。

地面が完成したらいよいよ散布作業に入ります。用意するのはバラストの他に木工用ボンドの水溶液とスポイトです。いろいろな資料に解説されているように、木工用ボンドの水溶液には中性洗剤を一滴たらして表面張力を低下させてバラストの隙間に水溶液が浸透し易くします。

枕木間のバラスト、レールとホーム側壁間のバラストは、線路上に撒いたバラストを筆で広げていき、その後枕木上に残ったバラストを枕木間に落とし込んでいきます。この作業にはタミヤの調色スティックの平坦な側を使用しました。根気のいる作業ですがこの程度の面積であれば比較的短時間の作業で修了します。説明が遅れましたが下の写真のように駅の線路と線路の間には通路を設けてあります。これはホーム側壁と同様プラスティックの角棒に糸鋸で筋をつけたものです。ホーム側壁同様、バラストの肩部に斜面の表現は不要ですのでレールと通路の間にバラストを充填していきます。散布が修了したら木工用ボンドの溶液を流します。

ホーム以外の部分はバラストの肩部の表現が必要ですが、バラストの今回はバラストの厚さがあまりないので肩部の傾斜にあまり配慮する必要がなく、散布する領域に気を付ければ割と簡単に散布できます。まず線路と線路の間にバラストを散布し、その後両端部に散布します。両側は散布して一度外側に掃き出して幅を合わせながら再度線路側に寄せるという手順で散布しました。余分なものは別の領域まで移動して同じような作業を行います。

分岐器の部分は動作を妨げないように散布部分を限定します。この部分は枕木間にはタミヤの調色スティックのスプーン状になった側でバラストをすくって枕木の間に散布します。筆でならすとバラストがバラストを散布したくない可動部の方に行ってしまいますので手間がかかりますが1箇所ずつ慎重にバラストを散布していく必要があります。一部の分岐器はノーズ可動式の製品ですが、この製品はリードレールの下等に動作用のリンクがありますのでその部分を避けて散布することが必要です。両側は他の部分と同じ方法で散布します。散布が終了した写真が下の写真です。バラストの固定で使用した木工用ボンドがサードレール頂部に付着すると枕木塗装の時と同様に終電不良になりますので付着した接着剤はしっかり除去し、再度集電性の確認を入念に行うことが必要です。

これでバラスト散布までが終了しました。次は地面の作成に入りますが、その前に、次回はGroßfurra駅の駅舎の工作を説明させていただきます。

<参考>
以前紹介させていただいたALTENHOF機関区のジオラマ に使用しているのは茶系のバラストです。その写真を参考に掲載します。茶系のバラストを使用するとレイアウトの雰囲気がかなり変化するのではないかと考えられます。こちらのバラストの品番はBUSCH #7063です