C12が牽引するローカル線の貨物列車を紹介させていただきます。C12はカツミのシュパーブラインシリーズのバラキットを組み立てたもので、1977年ごろの作品です。貨車はそれ以降に購入、製作したものです。
私が鉄道模型を始めたのは前回の東京オリンピックの年である964年ですが、その頃模型店やデパートのショーウインドウに鎮座していた蒸気機関車がカツミ模型店製のシュパーブラインシリーズでした。そのC62の価格は1万円を超えるもので、とても庶民に手の届くものではありませんでした。当時の小学生にとってはスケールモデルはとても入手できるものではなく、お年玉をためて増備できるのはカツミ模型店のEB10、つぼみ堂模型店のCタンク等でした。
それから10年以上が経過し、大学生になって蒸気機関車のキットを組み立てようと思った時に目に止まったのがカツミのシュパーブラインシリーズのC12でした。この時はC12に特別思い入れがあったわけではありませんが、中学生の頃に乗ったC56が牽引していたた小海線の八ヶ岳高原号のような列車をイメージしたローカル線の小列車を再現したいと思い購入しました。前述のようにシュパーブラインシリーズは非常に高価格というイメージがあったのですが価格も1万5千円程度と当時としてはそれほど高くなかったので早速買い求めました。購入したのは四谷三丁目にあったみどりやさんでした。購入したC12はキットでありながら完成品と同じ立派な箱に入っていました。
付属の取扱説明書です。「この機関車キットは自分で組み立てるために作ったキットですから組み立てを模型屋さんに任せるようなことはないようにしてください」というようなことが書いてあります。部品点数は多いですが主台枠はカシメで組み立て済みとなっています。
なにぶん初めての蒸気機関車のキットの組み立てなので組み立てはほぼ説明書通りに組み立てました。当時のTMS誌には定期的にキットの組み立て方法が掲載されていましたので、その記事を参考にして組み立てていきました。購入の数年前に掲載されていたなかお・ゆたか氏のアダチ製作所のD51キットの組み立て記事等は非常に参考にさせていただき、ディテール工作の前の基本部分の工作がいかに大事かを学ばせていただきました。
その意味で購入したキットは基本部分が非常にしっかりしたキットであり、組み立て時大きな修正を加えなければいけないところは殆ど無かったと記憶しています。
追加したロストパーツはテールライト、ATS用発電機、砂薪管元栓,塵濾し、汽笛、調圧機等です。空気分配弁は客車用ブレーキシリンダの先端部で代用しました。またヘッドライトは庇付きのロストパーツ(79618用?)に交換しました。
端梁には自作のスノープラウを取り付けてあります。カプラーはKDカプラーです。
右側面には空気作用管を追加してあります。ナンバーはC1260としましたが当然特定ナンバー機ではありません。ナンバーの下には楕円形の汽車会社のメーカーズプレートを取り付けました。
テールライトは円盤付きのものを片側に取り付けてあります。ヘッドライト同様実例があるかはわかりません。この辺りは自分の好みでパーツを選択しています。当時は今ほどパーツが充実しておらず、形式や部位によってはパーツは似た形状の代替品で済ましていたせいか、細部に好みの形態を採用することにあまり抵抗を感じませんでした(今も私の製作する模型にはその傾向があるようです)。
ブレーキシューはプラ製のものが付属しておりましたが、その取り付け穴に付ける形でブレーキロッドを追加しました。真鍮帯板と真鍮線で作成しました。塗装がだいぶ痛んでおり見苦しい限りですがご容赦ください。いずれ再塗装をしたいと考えております。
動力装置は棒型モーターを斜めに取り付けたオーソドックスな方式です。
色々苦労はしましたが初めての蒸気機関車キットは約半年で完成しました。もとのキットのプロポーションが非常に良いので初心者でも何とかC12の雰囲気は出せたのではないかと思っております。
次にC12が牽引する貨車をご紹介します。前述のようにキットを購入した時は数両の客車を牽引させることを考えていたのですが、客車を2両も連結すると機関車の存在感がなくなりどうもしっくりきません。そこで貨物列車とすることとして手持ちの貨車を数両組み合わせました。
選んだ貨車は天賞堂のレ1200、ツ2500、アダチ製作所のホワイトメタル生キットを組み立てたトラ30000、それにホビーモデルのワラ1です。ちょっと現代的な雰囲気を出すためにワラ1を混ぜました。天賞堂のレ1200、ツ2500は一成形品でツ2500に至っては形式番号まで成形で浮き出されています。いずれもかなり古い製品の再生産品です。材質についてはエボナイト(ゴム)ともベークライト(樹脂)とも言われていましたが実際の材質はわかりません。燃やしてみるとわかるかもわかりませんが。台車(軸受け)は2段リンク式のダイキャスト製の2段リンク式です。カプラーをベーカータイプからKDカプラーに交換し床下にはエコーモデル製のブレーキロッドをつけてあります。形式、換算表記はいさみや のインスタントレタリングです。
トラ30000、ワラ1はそれぞれキットをそのまま組んであリます。トラ30000の表記は付属のデカール、ワラ1はいさみや のインスタントレタリングです。
最後に実物の写真を言いたいところですが、私は実機が実際に運用についているところを見たことがありません。保存機以外の唯一の写真は、八高線の蒸気機関車サヨナラ列車運転の際の高崎第一機関区公開時に足尾線引退直後のC12を撮影した下記の写真です。
以上、C12が牽引するローカル線の小貨物列車を紹介させていただきました。このような小列車を製作すると最低限欲しくなるのがシーナリー付きの展示台(ジオラマ)ですが、製作から40年以上経っても残念ながらそれはまだ実現しておりません。作成前にメルクリンのレイアウトやジオラマを製作してしまいました。