レイアウトセクションの製作:蒸気機関車が活躍していた時代の機関区(9) -ストラクチャーの製作(2) : 給砂塔と砂焼き小屋 –

給水タンクに続き紹介するのは給砂塔と砂焼き(砂煎り)小屋です。今まで紹介してきたストラクチャー(建物)は基本的に木造建築であり、製作法はペーパー製の車両にも通ずるものがありしたが、給砂塔は塔の部分が鉄骨製でありプラ素材を使用した工作となりますので今までの素材に紙と木を使用した工作とは少し異なった工作になります。以前の記事にも記載したのですが、この給砂塔という設備はこのレイアウトを製作しようと思い立つまでその存在を殆んど意識していませんでした。今回改めてその理由を考えると、思い当たることがありました。かつて60年代から70年代のTMS誌にはレイアウト製作のための参考資料として駅や機関区の設備の実例を写真とともに紹介した記事が多数掲載されておりました。その記事は80年代に”シーナリー・ストラクチャーガイド”等の名称でTMS誌の別冊として出版されており、当時私も熱心に読んでいたのですが、今読み返してみると私が読んでいたそれらの別冊(シーナリィガイド/シーナリィ・ストラクチャーガイド1/レイアウトテクニック)の中に給砂塔の解説記事が掲載されておりません。どうもそれが給砂塔を注目していなかった理由のような気がします。レイアウトの一角に作る機関区ではスペースが限られますので、そのような機関区ではこの給砂設備は省略されることが多かったのかもわかりません。

完成した給砂塔と砂焼き小屋

それはさておき、まずプロトタイプの選定を行いますが、どうも蒸気機関車の活躍末期の給砂塔は標準化されていたようで、両側の線路に給砂するために砂を貯蔵するタンクを櫓の両側に2基備えたタイプと片側に1基備えたタイプの差はあれど、それらの外観は写真で見る限り全国の機関区でほぼ同一のようです。一方、砂焼き(煎り)小屋は各種のタイプがあるようです。最初に給砂塔を製作しますが、図面は入手できなかったため、写真を参考にして数種類のイメージ図を作成しました。実際に製作した形状は右側の図に近い形状です。

給砂塔のイメージ図です. 図では櫓の根本部はストレート形状となっています.

まず給砂タンクを載せる櫓を製作します。櫓の主柱材と水平材はEvergreen社製の1.5㎜アングル材、斜材は同じくEvergreen社製の幅0.75㎜、厚さ0.38㎜の帯板を使用しました。塔は下側が広がった形状になっていますが、この広がりは水平材の長さを変えることにより主柱材を湾曲させています。湾曲量はわずかですので湾曲による主柱材のねじれは認められません。なお、下の写真のように水平材の端部は主柱材に合わせて加工してあります。接着にはGSIクレオス社製のプラモデル用接着剤Mr. CEMENT Sを使用しました。余談?ですがこの接着剤に限らず鉄道模型の製作に使用する接着剤、溶剤、塗料等の中には危険な化学物質を含む可能性のある製品があるような気がします。危険。有害な化学物質を含む製品には危険性や取り扱い時の注意等を国連が定める書式で記載したSDS(製品安全シート:Safety Data Sheet)が作成されますが、この接着剤にはSDSが存在します。一般的には生産現場等で日常的に使用する化学薬品等についてSDSが存在する製品についてはその記載内容(危険性)の把握と掲示等での使用者に対する周知徹底が求められます。模型に使用するこのような薬品類は日常的に使用するものではありませんが、自分が使用する製品にどのような危険度があるかを明確に知りたい方は一度その製品のSDSの有無と記載内容をチェックしてみると良いかもわかりません。

主柱材と水平材はEvergreen社製の1.5㎜アングルを使用しました.

主柱材と水平材の組み立てが完了したら斜材を主柱材に接着します。斜材は中央部でクロスし撓みが発生しますが接着時はこの段差は無視して組立てます。

斜材を接着する際は斜材がクロスする部分のたわみは無視して接着します.

接着剤が固着したら片方の斜材がもう一方の斜材とラップしている部分をカッターナイフで除去します。

斜材を接着後, ラップしている斜材の一方を切断した状態の写真です.

片方の斜材のラップ部分を切取り後、交叉部分にプラの小片から製作したガゼットプレートを貼り付けます。これで斜材は完成となります。

斜材中央部のガゼットプレートは幅2ミリの帯板から作成して取り付けます.

上記の作業は2面については平板上での作業が可能ですが、他の2面についてはまず水平材を取り付けて箱上に組み立てた後斜材を取り付けます。その後の斜材の切断作業は組み立てながらの空中作業となりますが、材料の厚さが薄いため歯が薄くよく切れるデザインナイフを使用して切断部に当て板を当てながら切断すれば比較的簡単に斜材の切断は可能です。完成した塔は結構頑丈になります。

完成した櫓の2面をに水平材、斜材を接着して櫓を完成させます.

砂を貯蔵するタンクはペーパーで製作します。図面から展開寸法を求めて木工用ボンドで組み立てます。

砂を貯蔵するタンクはペーパー製です.
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