前回、デジタル制御を導入するために欧州製の機器を導入する場合の費用の概算を紹介しましたが、物価高や円安等の状況もあり私が導入した当時の感覚と比較すると意外と多額の費用がかかることがわかりました。また自動運転に対応したソフトもそれほど安くはないようです。とは言っても日本型の真鍮製のモデルに比較すれば安いですが・・。一方、私の感覚では、メルクリン製のモデルは国内でも海外でも総じて高価であるという印象がありますが、Command Station+Throttleに関しては、1台でデジタル制御の機能の大部分が使用可能であるMarklinのCentral Station3(CS3)は意外と「安い」ような気もします。日本では鉄道模型の自動運転というと完全にコンピューターソフトに知見のある専門家が行う(できる)ものという感覚がありますが、私の感覚ではメルクリンの自動運単プログラムの作成方法のレベルはそこまで専門的ではないという印象です。例えば、コンピュータプログラムに精通していなくても学生時代に大学等で実験等でマニュアルを見ながら測定機器等をシーケンシャルに制御してデータを取得した経験がある方でしたら簡単にプログラムを作成できるレベルであると思いますし、そのような経験のない方でも一度簡単な自動運転プログラムを作成してその設計の考え方を理解してしまえばそれほど難しいものではないと思います。また、最近小学生でもプログラミング教育の重要性が叫ばれていますが、もしかしたらそのような教育にも利用できるかもわかりません。自分が作成したプログラムで電車が動く(失敗すると事故を起こす)というのは結構面白い体験かもわかりませんし、もしかしたら鉄道模型愛好者の増加に貢献するかもわかりません(Märklinのニュースレター(Web Site?)で実際に教育現場で活用されているという記事があったような気がします)。ただ、そうは言ってももいきなりデジタル制御による本格的な自動運転を行うのはやはり少しハードルが高い気もします。
一方、私は以前、デジタル制御を楽しむ第一歩として小規模なレイアウトセクション(ジオラマ)を製作し、そこにデジタル制御を導入しサウンドデコーダーを搭載した車両を導入して動画を撮影して楽しむのも「アリ」ではないかということを述べました。今回はその実例を紹介してみたい思います。まずは下の動画をご覧ください。
この動画は現在制作中のレイアウトセクションで、駅で列車が出発していくシーンを撮影したものですが、音が存在することにより、実際に眺めても動画にとっても音がない場合と比較して臨場感が全く異なります。
また、下の動画は以前このブログでも紹介した『ALTENHOFのクリスマス」というレイアウトセクション(ジオラマ)上で撮影した動画です。このレイアウトセクション(ジオラマ)はどちらかというと列車の運転というよりは欧州の市街地の風景の再現をテーマにしたもので、線路は長さ1300㎜程度の複線の線路があるだけですが、そこに車両を走らせて見るとやはりサウンドありの車両となしの車両では実際に眺めても動画として鑑賞してもそこには大きな差があるように感じます。
上記の動画はいずれもCentral Station3を用いてサウンドやライトは手動でON/OFFしています。例えば駅の発車シーンの動画は機関車に実装されているOperation Sound(機関車のブロワー音等)、Departure Announcement、ヘッドライト、キャブライト、汽笛をそれぞれ手動でON \OFFしています(Departure Announcementは出発のアナウンス、車掌の笛、ドアの閉まる音が含まれています)。下の走行中の動画ではOperation Soundと汽笛を操作しています。動画の中で聞こえるコンプレッサ音はOperating Soundの一部としてランダムに発生します。なお、VT08はStation Announcementと車掌の笛、ドアの開閉音は別のファンクションとなっていますが、BR103のような駅の出発シーンも可能です。なお、動画に登場するBR103は2018年、VT08 は2006年に発売された製品です。
“デジタル制御で何ができる?(7):デジタル制御における運転の楽しみ方について(2)−レイアウトセクションにおけるサウンドの効果の実例–” の続きを読む