模型車両の紹介:キハ10+キハ11
フェニックス模型店のキットを組み立てたキハ10とキハ11を紹介させていただきます。1980年頃に製作した作品です。キハ10、キハ11は、DMH17エンジンとトルクコンバーターを用いた一連の一般型気動車の礎となり当時400両以上が製造されたキハ17の一族でキハ10がWCなし、キハ11がWC付きの両運転台車です。
東京在住の私の年代ですと、小学生の頃には房総方面にはまだ蒸気機関車が牽引する列車が少し残っており、夏休みに海水浴に行く際に利用することもありました。蒸気機関車が牽引する列車に乗車すると夏の暑い中、トンネルに入るたびに窓を閉めなければならず、目的地に着くまでには衣服や髪の毛も煤で汚れてしまっていたことを覚えています。キハ17系の車内設備はその頃使用されていたオハ35等の客車に比較して大きく改良されているとは言い難いものですが、このような煩わしさがないという所には大きな差があり、気動車列車の快適さを実感したものでした。
車体はキットをそのまま組んでありますが、キハ11にはキハ12をイメージした耐寒感型のタイフォンをつけてみました。エコーモデル製のウエザリングブラックを用いてウエザリングをしてあります。
車体中央部の屋上にはエコーモデル製の細密パイプでを用いて排気管を表現しました。
その他信号炎管、ジャンパ栓、デフロスタ、幌枠等を同じくエコーモデルのパーツを利用して取り付けました。
このキットは車体キットですので台車は日光モデルのDT19を購入しました。駆動装置は天賞堂のパワートラックWB24.5をキハ11に取り付けてあります。
床下機器は日光モデルの製品です。日光モデルの気動車用床下機器はダイキャスト製の精密なものです。推進軸と多少の配管を追加してウエザリングを施してあります。またエンジン周りにもパイプを少し追加して銅色に塗装してあります。17系気動車はエンジンの関係上床面が高く、当時のプラットホームが低かったこと合間って停車中にエンジン周りがよく見え、油汚れしたDMH17Cエンジンがカラカラと回っていたのを覚えています。その時のイメージの再現を試みました。レタリングはいさみや 製のインスタントレタリングです。非常ドアコック位置を表す三角形の表示も同社のインスタントレタリングを使用しています。
前面床下にはロストワックス製のエアーホースを追加し、自作の複線型のスノープラウを取り付けてあります。カプラーはKDカプラーです。
最後に実機の写真を数点掲載させていただきたいと思います。下の写真は小宮駅から多摩川橋梁に向かうキハ17系の3両編成です。当時はまだ八高線にD51,C58牽引の貨物列車が走っていました。
小淵沢駅に停車中のキハ10です。当時はの小海線お普通列車はほとんどがキハ52で運転されていました。高原野菜の積出用でしょうか、後方に通風車の姿も見えています。
旅客列車ではありませんが、常磐線にはかなり遅くまでキハ51の改造車であるキニ55を使用した荷物列車が運転されていました。常磐線の利根川橋梁での写真です。
一般型気動車は次の量産車であるキハ20から大型車体となり、初期のロットはキハ17と同様バス窓で台車もDT19でしたがほどなく窓は2段窓、台車はDT 22となり当時の電車に近い形態となります。キハ17系は当時の非力なエンジンという技術的制約の中で車体の小型化、軽量化が行われておますが、その制約が外観上の特徴として現れており、模型にしても多形式との差異が明確にわかります。これが今回ご紹介したモデル製作の動機のひとつでした。