レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(11) -情景6(架線関連設備)-

前回の信号機に続き今回は架線柱をはじめとした架線関連設備を紹介します.これらの設備も信号機同様実物の電化区間では必須の設備ですが,模型の機関車や電車を列車を運転するのに必須の設備ではありません.一方今回のような固定レイアウトではない可搬式のレイアウトセクションでは架線関連設備はは非常に破損しやすい設備ですので取り付け強度等,製作にあたっては色々考慮すべき点も多くあります.今回はその辺りについても述べてみたいと思います.それではまず最初にクロススパンの下を撮って駅に侵入するDouble Deckerのプッシュプル列車の動画と架線下に停車する電機の写真をご覧ください.

タワーマストに吊られたクロススパンの下を通過するDouble Decckerの近郊列車
レイアウト上のBR193とBRE10.3.パンタの構造に関わらずパンタ上昇時の摺板高さはほぼ同一です.

仕様書には基本となる構造と使用する製品の名称,架線柱とクロススパンの概略位置,ブラケットやクロススパンの高さ等を記載しました.
d) 架線柱
架線柱,タワーマスト(アンカーマスト)はSommerfeldt製の製品を使用する.
ブラケットおよびクロススパンは真鍮線による自作とする.クロススパンは直径0.6㎜の真鍮製.ブラケットは直径0.7ミリの真鍮線を使用し,はんだ付けにより組み立てて後ラッカー塗装を行う.
架線は省略する
使用する製品と使用数は下表のとおりとする

架線柱の概略配置図を下図に示す.架線柱,タワーマストの感覚は360㎜前後として適宜配置する.またパンタグラフの摺板と高さ方向で干渉する恐れのある部材の高さはレール上面より78㎜以上とする.

レイアウトに用いる架線柱のタイプはドイツ鉄道(DB)で多く用いられているLattice-type(格子構造)のタイプとしました.最近の高速新線等の架線柱はコンクリート支柱が用いられているようですが,Era III~EraIVの時代の車両が走るレイアウトにはやはり緑色に塗装されたLattice-typeの架線柱が似合います.日本では鉄道に用いられている碍子はほとんどが白色ですが,ドイツの鉄道では茶色の碍子が一般的なようです.また,機能はよくわかりませんが,架線柱の中には1本の架線柱に同方向に延びる2個のブラケットが装着されているタイプもあり,日本に比較してブラケットが大型で架線の上下寸法も大きいため線路が輻輳している駅構内では日本より架線設備が目立つ印象を受けます..

一方,ヤードや複々線区間では線路脇に建てられたタワーマスト間に渡したクロススパンで各線路の架線を支持しているいるところも多く,こちらはタワーマストが外側の線路の脇に建てられているのみであり,線路間には架線柱がなく,架線を支持する鉄製の横桁もないため見通しがよく,広々とした印象です.

日本ではタワーマストとクロススパンで架線が支持されている例は多くありません.私が知る限りでは東北本線の郡山駅の一部や奥羽本線の東能代駅で見ることができました.ただし東能代駅ではクロススパンで鉄製の横桁を支持しており,欧州の一般的なクロススパンによる架線支持方法とは異なります(写真は80年代のもので現存しているかは不明です).そこで今回は欧州の雰囲気がより感じられるように待機線とホーム上屋の間の架線支持方式にはタワーマストとクロススパンを用いました.

Lattice-typeの架線柱とTower mastはSommerfeldt,Märklin, Vollmer(Viessmann)社等から発売されていますが,仕様書に記載したように今回使用した架線柱とタワーマストはSommerfeldt社の製品です.Sommerfeldt社は鉄道模型の架線システムとパンタグラフを主に発売しているメーカーで架線柱は各国の種々のタイプを製品化しています.一方各社とも架線柱はパンタグラフによる架線集電に対応させているため,ブラケット付きの架線柱を使用してそのままベースに取りつけると架線を張らない場合はブラケットとパンタグラフが干渉してしまいます.Sommerfeldt製のブラケット付きの架線柱には嵩上げ用の部材が入っていますがそれを用いると実感を損ねてしまいます.それでもSommerfeldt製の架線柱にはブラケットがない架線柱がありますのでブラケット部分を自作すれば架線を張らなくてもパンタグラフと干渉しない架線柱が製作可能です.またタワーマストも色々な高さの製品が用意されており,その中から製作するレイアウトに適した製品を選択することが可能です.一方この架線柱は他のメーカーの架線柱と異なり架線柱に下部に固定用のM3-M4のボルトがついており,ベースに穴を開けて裏からナットで固定することにより架線柱やタワーマストをベースに強固に取り付けることが可能です.また本体は金属であり,多少何かをぶつけても樹脂製の架線柱のように折れることはありません.

Sommerfeldt製の架線柱は柱に固定されたボルトとナットによりベースに強固に固定することが可能です.

これは今回のような可搬式のレイアウトでは大きなメリットになります.反面,取り付け部が強固であるがゆえに何かが柱に強くぶつかると変形してしまい,形状がLattice-typeであることと相まって修復が大変(最悪の場合は交換)になりますので注意が必要で,特に今回のような床面に置くレイアウトでは足を引っ掛けないように注意が必要です.Sommerfeldt製のタワーマストの高さは140,160,200㎜の3種類ですが,私はその中で一番高さの低い140㎜のマストを使用しましたが実物のマストの高さはかなり高く,タワーマストを左右間隔約250㎜で配置する今回のレイアウトではタワーマスト間に渡すクロススパンの上下寸法が実物の印象より小さくなり実物の印象と少し異なってしまいます.しかし高さが高いと取り扱に支障をきたし,破損のリスクが高くなるように感じたためあえてこの高さの製品を採用しました.一方架線柱に取り付けるブラケットとTower mastに取り付けるクロススパンはパンタグラフと干渉しない形状として真鍮線により自作しました.欧州では架線集電の際の架線高さと車両のパンタグラフの高さはNEM規格(Normen Europäischer Modellbahnen(独語),英語ではStandards for European Model Railroads)で規定されており,架線高さはNEM201: Power wire Location でレール上面から60-73㎜(標準値69㎜),車両のパンタグラフの摺板高さはNEM202:Pantograph with Oveehead Wire Operation でレール面上から60-75㎜と規定されています.実際に手持ちの車両の摺板位置を測定すると73㎜前後でこの規格に適合しています.ちなみにNEM202にはパンタグラフの摺板の幅も国に応じた2種類が規定されておりNEM201にはカーブでの架線の許容変異量から架線柱の間隔を求める計算式が記載されています.このNEM規格と実際の車両の摺板高さの即位亭結果からこのレイアウトではブラケット,クロススパン共にパンタ摺板位置の高さはレール面上から78㎜を基準として製作することとしました.その製作過程の写真は下のとおりで,方眼紙上に作図したブラケット,クロススパンの形状をベーク板状に罫書き,真鍮線をマスキングテープで固定してはんだ付けしました.真鍮線はクロススパンは直径0.6㎜,ブラケットは直径0.7㎜の真鍮線を使用しました.クロススパンに使用する真鍮線は280㎜程度の長さが必要ですが,最近模型店で販売されている袋入りの真鍮線は長さが250㎜前後ですので使用できず,長尺の真鍮線を販売している模型店で入手しました.なお,架線柱に取り付けるブラケットの形状は製品の架線柱に開いているブラケット取り付け用の穴に合わせて決めてあります.組み立てには温調タイプのハンダゴテを使用しましたが,小手先温度が一定のため各部をはんだ付けする際にハンダの流れが一定となり快適な作業が可能でした.

ベーク板状で組み立て中のブラケットとクロススパン

クロススパン,ブラケットは完成後ラッカーをエアーブラシで塗装し,碍子をはめて完成となります.碍子は茶色のSommerfeldt製のものを使用しました.

Sommerfeldt製の碍子.日本の碍子とは色も形状も異なります.

なお架線柱の間隔は360㎜を基準とし,適宜増減しました.基準寸法を360㎜としたのはMärklin製の架線の最長長さが360㎜であるためその寸法を基準値としたためです.ちなみにSommerfeldt社の架線の最大長さは500㎜です.発着線と待機線の終端には架線終端のアンカーマストを設置し,マスト間に0.6㎜の真鍮線で製作したワイヤーを渡してあります.最初の設計段階ではアンカーマストを建てるスペースをあまり考慮していなかったため,待機線側はマストを建てるスペースが十分取れず,アンカーマストは架線柱を利用したものとなっています.実物の写真からもわかるようにタワーマストやアンカーマストの根本部はかなり太いため,設計時にはその大きさを考えてベースの大きさや周囲の建造物の配置を考える必要がありますが,今回のレイアウトではその検討が不足していたことが反省点です.

またホーム上屋内には実物にならい架線を固定するバーに似せた形状の部品を真鍮線で製作しドーム内に取り付ました.

線路上に上屋がある部分では架線は横方向に渡したバーに固定されています(Düisburg).
ホーム上屋に設けた架線支持部材

日本と異なり欧州の車両はアナログ時代には多くの車両が架線集電に対応していたためもあり,NEM規格では架線システムに対する多くあり,今回も架線(ブラケット)高さ等の寸法を決めるにあたり,NEM規格が設計の根拠として参考になりました.日本では固定レイアウトが少ないせいか架線柱を販売しているメーカーはあれど架線システムを販売しているメーカーはありません.今回架線柱を製作するにあたり改めてNEM規格に目を通したのですが,欧州では各国のメーカーが標準寸法が異なる各国の車両を製品化しているせいか,それらの車両をレイアウト上で走らせるために多岐にわたる規格が制定されています.また架線の高さはNMRAもStandard(RP:Recomended Practiceではない)規定しています.一方日本の現状は,最も基本となるスケール,ゲージについて1/80で16.5㎜の線路上使用するという日本独自の規格を制定して以降,それに付随する規格(Standard)は存在していません.車輪の形状等はNMRA規格を適用することは可能ですが,架線システムは国や地域で仕様が大きく異なり外国の規格の流用はできません.DCCの普及により架線から実際に集電して走る模型は今後減少していくと考えられますが,今回のようなレイアウトを日本型で製作した場合,ブラケットのパンタグラフと最も近い位置に設ける部材の高さはどの値に設定すれば良いのかが少し心配になりました.私の手元には実物がないのでわからないのですが各社の種々の形式の車両を線路上に置いたときパンタの摺板高さは大体揃うのでしょうか.

SBBのCrocodileも摺板高さはDBの機関車とほぼ同一です.

以上がこのレイアウトセクションの架線システムの概要です.これで模型の運転には必須ではないもののレイアウトの情景としては必要である信号機と架線システムの紹介が終わりましたので次回以降は情景のさらに詳細な部分について紹介していきたいと思います.

架線柱の下に停車するBR110.3とBR189

以上,最後までお読みいただきありがとうございました.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(10) -情景5(信号機)-

建造物に引き続き今回は信号機を紹介します.信号機を”情景”カテゴリに入れるのはは少し抵抗がありますが「鉄道らしさを感じさせる景色を作り出すもの」としてここで紹介します.信号機は英語ではTrackside Accsessoriesというカテゴリに入るのかもわかりませんが,適切な訳語が見つかりません(線路関連設備?).信号機という重要な設備をアクセサリというカテゴリの中に入れるのは違和感があるような気がしますが,少なくとも信号機は模型の世界では必須のものではありませんし,多数の信号機の灯りが灯る夜の大きな駅やヤードは鉄道の情景としては魅力的な情景ですが模型で再現することはそう簡単なことではありません.ちなみにMärklin社のカタログでは線路,信号機,架線柱等は ”Accsessory” という項目にまとめられています.

夜のヤードの情景(函館本線 函館)

下の動画は駅を出発するBR218の動画です.この一連の信号機の動作(全て停止信号に切り替え(信号の初期化)→進路構成(分岐器切替)→信号機を進行現示→機関車通過→信号機を停止現示)はCS3のEvent Program(後述)で行なっています.なお,この動画では機関車は手動で制御しています.

信号の切り替えを汲み込んだEvent programによる運転の一例


信号機について仕様書には以下の様に記載しました.

c) 信号機
信号機はMärklin製のデジタル信号機(mfx/DCC)を使用し,下表に示す製品を使用する(一部は計画).
停止信号の際の走行電流遮断機能は使用しない.
信号の切り替えはs88コンタクトを使用したEvent Programにより行う.
使用する製品を下表に示す.このうち駅入口に設置する#76471は将来増設を予定する信号機とする

信号機の概略位置を下図に示す


以下,信号機に関する説明を記載しますが,今回は項目を分けて記載します.
<信号機の外観と機能>
まだ表面実装型のTEDチップがなかった時代,鉄道模型の信号機は使用する電球がオーバースケールであったため鉄実物のイメージとはかけ離れたものでした.しかし2005年頃にMärklinがLEDチップを使用した信号機を発売し,DBの信号機に関してはほぼスケールどおりの形態の信号機が入手できるようになりました.

レイアウト上に配置した信号機

また,信号機はこの改良と同時にデジタル化され,信号機はコマンドステーション(当時はCS2)から制御可能となりコマンドステーションによる運転ではそれまでのコントロールボックスやユニバーサルリレーによる制御は不要になりました.ただ最初に登場した製品は最初のCS2への信号機のインストール手順は結構複雑であったようです.その後2013年にシグナルデコーダーはmfxプロトコルに対応しました.私が使用している信号機はこのmfxに対応した世代の信号機ですのでCS3は信号機の種類を自動で認識するとともにしアドレスを自動設定してくれますので設定にほとんど手間はかかりません.このようにMärklin社の信号機の外観と機能はほぼ満足できる製品になっていますが使用に際して考慮すべきことはその設置場所です.特に今回のレイアウトのように床に置く形のレイアウトは信号機の設置場所を決めるにあたってはまず運転する位置からの信号の灯火の見え方を把握しておく必要があります.

信号機の点灯状態

上の写真は信号機のシグナルボードを正面から見た写真です.当然ですが灯火の状態ははっきりと確認できます.実物の世界でも我々が駅等で信号機を見る際はシグナルボードをを見上げる位置から見ており,信号機の点灯状態は容易に視認できます.

実物の信号機.Märklin製品にもついているシグナルボード下の3個のランプがついた箱は信号機故障時に備えた日本でいうところの手信号現示装置のようです.

<信号機設置時の留意点>
一方今回レイアウトセクションのように床面に置くレイアウトでは信号機は上から見下ろす形になります.そうすると信号機の点灯状態が視認しにくくなります.これは今回使用した信号機のシグナルヘッドがほぼスケール通りに作られているがゆえに庇が長く,ランプが奥まった位置にあるためです.下に示す写真は信号機を見る視線の角度によって灯火の見え方を示した写真です.最初はシグナルボードの高さから信号機を見た時の写真ですが,上の写真と同様,灯火は確実に視認できます.

一方,信号機を上から見下ろす形で見ると比較的浅い角度で灯火が庇に隠れ始めます.

さらに角度をつけて視線(レンズの光軸)が水平から20度くらい傾いた状態から見ると灯火は庇に隠れて見えなくなってしまいます(写真の赤色はLEDが庇に反射している光です).

このように,信号機の点灯状態はかなり水平に近い角度から見ないと視認することができません.電球を使用した信号機は電球がオーバースケールであるためランプがシグナルボードから飛び出ているものが多く,灯火も明るく光に指向性がないので上方から点灯状態を視認できる領域は広かったのですが,この信号機は頭部がスケールに近く,発光部(LED)がシグナルボードに対して奥まった位置にあるため灯火を確認できる範囲が狭くなっています.このようにこの信号機はシグナルヘッドが実感的であるが故に灯火を視認できる範囲が狭いという欠点?があります.もちろん通常の固定レイアウトのように台枠が床面から高い位置にあるレイアウトでは信号機は目線に近い位置にあるので灯火が見えないということはありませんが,このレイアウトのような床面に置くレイアウトではこの特性は信号機の設置場所の検討の際に十分考慮し,情景として効果的な位置に信号機を配置する必要があると感じます.もちろんカメラやスマホで低い位置から「映える」写真を撮るためには運転時の信号機を見る視線の角度を考慮することはないのですが信号機は高価ですし映える写真を撮るためだけに無闇に信号機の本数を増やすのも本末転倒のような気がします.この点を考慮して私が今回決めた信号機の位置が上の図面の場所になります.運転位置は通常図の右側,Module2の横を想定したので信号機は出発線の出口と通過線の左回りの駅出口に設置しました.入換信号機の設置を検討中としているのは信号の方向が運転位置からだと後ろ向きになり灯火が視認できない一方,一般的なコマンドコントローラーはスマホ画面でも制御でき,その機能を使用すれば運転位置は比較的自由に決められますのでModule1側で運転することも考えて設置しても良いのではないかと思い思案しているところです.
次に線路に対する信号機の位置を決めますが,DBは原則右側通行ですので信号機は進行方向に対して右側に配置します.ただ通過線は右側に配置するスペースがないため左側に設置しました.
<信号機の制御>
信号機の切り替え制御は主にs88コンタクトの在線検知により行っています.実際,信号機を設置して手動で切替を行なってみると列車を運転しながら列車位置に応じて適切なタイミングで信号機の切替を行うことはなかなか難しく,運転中の作業が煩雑になり運転に集中できなくなるため運転の楽しみが半減します.そのため信号機の切り替えは何らかの自動化が必要です.その方法としてはKATOの自動信号機のように信号機を列車の先頭が通過した時点から一定のタイミングで現示を切り替える方式もありますが,列車の長さがまちまちで信号通過時の列車の速度が比較的遅い出発信号機では時間による制御では少し使いにくいのではないかと思われます.また自動で信号を制御する回路は雑誌にもよく発表されていますが,それらは全てディスクリート回路で回路設計に関するな知識がなければ設計は難しく,記事通りに製作するだけでも素人には困難です.しかしシグナルデコーダーで制御する信号機をs88コンタクトで制御すればそのハードルはかなり下がります(ただ2線式のDCC制御では在線検知は3線式より複雑になります).今回は最も簡単な例として,冒頭の動画を撮影した時に使用したEvent Programを紹介します.
<Event programの一例>
下図はCS3に作図したこのレイアウトの線路配置図です.通過線の信号機がDep1,発着線の信号機がDep2とDep3です.

CS3に作成した今回のレイアウトの路線図

まず最初に全ての信号機を停止現示に設定するEvent programを作成します.

信号現示を全て停止現示に設定するEvent program.

上のProgramを組み込んだ下のEvent programがレイアウト図の上側の発着線(3番線)から列車を周回線に向けて発車させるときのEvent programで,上記のプログラムを実行後3番線から周回線への進路を設定し(分岐器を切替えて),その後3番線の信号機を進行現示とし,s88コンタクトK6が列車を検知すると信号が停止現示となるようにプログラミングしています.画面では分かりませんが信号機とK3の位置関係からプログラムではK6が列車を検知して0.5秒後に信号が停止現示となるようにDelay時間を設定しています.

冒頭の動画の信号機制御を行うを行うEvent Program.

今回は機関車は手動で制御していますがこのEent programに機関車発車時汽笛吹鳴等を行うのシーケンスを記述したEvent programを組み込めば冒頭の動画の信号,機関車の動きを全て自動化することが可能です.このようにDCC制御ではこの程度の簡単なプログラムで信号の制御が可能です.また列車の制御を自分の意思で行いたい場合(機関士気分を味わいたいとき)は上記のプログラム,駅で列車を眺める気分を味わいたい時には上記のプログラムに機関車発車時のシーケンスを組み込んだプログラムを使用すればそのときの気分に応じた運転が楽しめます.ただ,今回説明したように信号機を設置して実感的に動作させるには実際に信号機を設置する前に種々の検討が必要なようです.
最後までお読みいただきありがとうございました.次回は架線柱について紹介したいと思います.

レイアウトセクション・ALTENTAL HBFの紹介(9) -情景3(駅以外の建造物 )-

前回の駅の建物の紹介に続き,今回は駅以外の建物について紹介します.その前に待機線から今回紹介する建物の前を通過し駅に向かうBR140の動画をご覧ください.

パンタをあげて待機線から駅方向に向かうBR140

駅以外の建物に対する仕様書記載項目は以下のとおりです.仕様書には建物の種類,使用キット(自作の建物は素材),レイアウト状の位置及び照明に関する仕様を記載しています.
b)  HBF以外の建造物
HBF以外の建造物は下表のとおりとする 

建物はいずれもModule1に配置し,その概略位置は以下のとおりとする.

各建物に設けた照明及びランプの種類,ON /OFFパターンを下表に示す.

信号所は上表に記載したようにKibri製のキット,#39486,Signal tower Rottershausenを使用しました.この信号所は1階部分が煉瓦造りで2階部分が木組構造のいかにもドイツの建物らしい信号所です.このキットは比較的新しい?(少なくとも30年前のカタログには掲載されていない)キットで,そのせいか,各部がConnection Systemと称する突起と爪で組み合わさる構造になっていたり,2色成形で成形した部品が採用されています.この2色成形の部品は2階の木組構造の壁の柱と壁,窓枠と窓ガラスに採用されています.この2色成形の部品は接着作業がなく,部品同士も密着している等,組み立て上のメリットも多いのですが反面プラの質感を消すために塗装を行う場合はマスキングに非常に手間がかかります.今回私は壁面の柱と壁は塗り分け塗装をしましたが,窓と窓枠はマスキングに自信がなかったため未塗装としてあります.塗装は主にHumbrol製に塗料を使用しましたが,今回2色成形部品の塗り分けにはドイツレベルしゃの塗料を使用しました.

ドイツレベル社のエナメル塗料

この塗料は欧州のMärklin Magazinに掲載されるレイアウトの製作記事でよく見かける塗料で,日本では比較的入手しにくい塗料ですが,私が使用した感想ではHumbrol製の塗料より乾燥は早く,塗膜の強度は比較的強い印象です.前述のMärklin Magazinでは金属製のレールの塗装にも使用されている記事もありました.最近の日本のホビー市場では国産塗料が主流で海外製の製品はあまり流通しておらずなかなか入手しにくい状況ですが,ホビー用の素材は海外の製品に目を向けてみるとまだ日本にはない特徴のある製品があるかもわかりません.
キットは入口灯と照明灯にLEDランプを組み込んだ以外はほぼキットの説明書通りに組み立てましたが,このキットは”Connection system”のおかげで接着剤青使用せずとも壁面が箱状に組み立てられ,接着剤を流す作業を非常に簡単に行なうことができました.

Kibri製の信号所.信号所には駅名と略号が表示されます

信号所の制御室は内部も製作しました.窓の張り出し部分にはこんトロールパネルを設け,内部に照明を組み込んであります.また反対側の緑色のボックスは電源設備の配電盤という想定で,その中にも照明を組み込んであります.屋根は”Connection System”で壁にしっかりはまりますので接着はしていません.

信号所の室内.手前の緑色のボックスが照明を組み込んだ配電盤です.

これらの照明は照明用の9Vの電源を接続した時点で常時点灯するように接続しあり,室内灯が消灯している際も信号システムは稼働していることを表現しています.どちらも白色のLEDを使用しましたが配電盤は旧式であることを表すために電球色のLEDでも良かったような気がします,

また入口灯と照明灯,室内灯は別々にOn/Offが可能な配線としてありm83デコーダーを使用して点灯状態はCS3から切り替えられるようにしてあります.

入口灯はキットのパーツの電球部分を削り直径0.15㎜のポリエステル銅線をはんだ付けした表面実装型の電球色LEDを取り付け,銅線は支持部材に巻きつけて建物内部に引き込んでいます.また照明灯もパーツのランプ部分を座具って表面実装型のLEDを取り付けましたがこちらは白色のLEDを用いました.なお,これらのLEDの制限抵抗は建物内部に組み込み,建物からベースへの配線本数を減らしています.

入口灯に組み込んだLED. 発光部の上にはエポキシ系接着剤を垂らして電球を表現しました.

詰所はKibri製のレンガ壁の素材(#34122:Plastic red brick sheet)で壁を作成し,以前使用したキットの残部品の窓枠,ドア部品を使用して組み立てました.屋根はプラバンとEvergreen社製のプラ素材で製作しました.煙突はプラ板と真鍮線で,雨樋は金属とし,軒樋はエコーモデル製のパーツを使用して縦樋は真鍮線,縦樋の支持部材は真鍮帯板で製作しました.

煉瓦造りの詰所の外観.入り口の扉はプラ製キットの残材です.

内部にはLEDによる照明を設け,建物の入り口には入り口灯を設けました.どちらも電球色(Warm white)のLEDを使用しています.LEDの制限抵抗は建物の内部に設けましたが両者はm84デコーダーの異なるアウトプットに接続するため建物からは4本の電線が出ています.

電気室及び物置はコンクリート造りとしてプラ板から製作しました.屋根は電気室がプラ製建物キットの残パーツ,物置はプラ板およびEvergreen社製プラ素材からの自作です.照明は物置の荷物置き場のみに電球色(Warm white)のLEDを取り付けました.物置の寄棟形状の屋根は薄手のプラ板を組み立てました.寄棟形状の屋根が高さと傾斜角を決めて展開寸法を算出すれば比較的容易に製作可能です.継ぎ目の処理を環t欄にするため薄手のプラ板を使用するのが簡単に製作するコツのようです.組み立てれば強度は十分確保できます.

実物の写真を参考に製作した物置と電気室の外観.

建物の表示類はWebから取得した素材等をカラレーザープリンタで出力し,表面に透明テープを貼り付けて表面を保護した後両面テープで貼り付けました.写真で見るとわかるように小さい表示は厚みが気になるため,これ以降に製作したレイアウトでは表示は両面テープではなくゴム系接着剤で貼り付けています.

信号所の前に停車するV200.1

以上がレイアウト上に設置した建物になります.なお,建物周囲のアクセサリについては別項で紹介させていただきます.次回は信号機と架線柱を紹介したいと思います.最後までお読みいただきありがとうございました.